11/22/63 上 (文春文庫 キ 2-49)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907211

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、長かった。

    ようやく読み終わった。ほぼ8ヶ月。

    その間、自分のこの事件(ケネディ大統領暗殺事件)に関する知識を補完するために、結構調べたり、映画やドキュメンタリー番組を見たりしながら読み進めてたので、そりゃもう時間がかかった。

    作者のキング氏はあとがきで述べているように98%オズワルド単独犯説の支持者であるわけだけれども、作中のアルは95%ととの描写がある。
    しかしとてもじゃないが数ある陰謀論を退けて、あの奇跡の、まさに針の穴を通すような軍前の積み重なりによる暗殺が成し遂げられたとは、個人的にはほとんど信じられない。

    まあ、それはともかくとして。

    もし、時間をさかのぼって歴史を改変できたら、というSFの中でも最も魅力的なテーマのひとつを、稀代のストーリーテラー、スティーブン・キング氏がその魅力溢れる筆致であますことなく我々に与えてくれたこの一冊(実際には上中下3冊の分冊だけれど)これは素晴らしかった。

    とても楽しい250日間だった。

  • 文庫本3冊にわたる長編小説、その上巻を読み終えました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    2010年代、英語教師をしていた主人公のジェイク・エピングだったが、ある日、料理屋「アルズ・ダイナー」の店主・アルから、ひとつの頼まれ事をする。

    それは過去へとさかのぼり、ある出来事を阻止してほしいという依頼だった。

    そしてジェイクの前にあらわれたタイムトンネル…それがこれから続く、長い物語の幕開けだった。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    久しぶりに翻訳の長編小説を読んだので、翻訳特有の字の多さや、言葉尻をとったユーモアのある言いまわしがつかみきれず、少々くやしいです。
    第1章と第2章はじめまでは、なかなか世界観が描ききれず、亀のような読書スピードでしたが、第2章中盤からはスイスイいけました。
    登場人物の名を連ねたページがあったおかげで、なんとか読みきり、大筋はとらえられた感じです。
    伏線になりそうなところもを見逃していそうな気がしますが、物語が進んだところで必要があれば戻り読みしようと思います。

    上巻だけで478ページにもなり、第2章ではこれだけで別の小説になるようなひとつの事件が書かれているにも関わらず、この本はあくまでも“序章”にすぎないのだから、驚きです。
    しかも次巻以降でわかってくると思われる、不穏な空気のする伏線もあり、そうした違いがどうなっていくのかが、読み続けるモチベーションにもつながっています。

    語り手が主人公で、しかも下巻までの出来事がすべておわってからこの物語を書いた様子です。
    この本をわたしが読めているということは、おそらく下巻を終えても主人公は生きているはずです。
    最終的に主人公はどんな形で、“いつ”を生きていることになるのか?
    ここが創造つかないところも、タイムスリップものの醍醐味ですね。

  • スティーブンキング、おもしろい。
    僕が今まで読んだことのある小説の中ではITが最高傑作ではないかと思っているが、この11/22/63はそれと同じか、それに次ぐ面白さだった。

    主人公、ジェイコブ・エピングは行きつけのハンバーガー屋の店主・アルから1963年の過去に行き、JFケネディ大統領暗殺を食い止めてほしいというぶっとんだことを頼まれる。そう、ザ・タイムワープ!主人公ジェイクは、その依頼を受けるべきか受けざるべきか、過去のアメリカに行くべきか行かざるべきか迷うが、行きます。もちろん。

    この小説が発表されたのは2011年。その時点から考えて50年前の過去に行き、そこに住み生活し、大統領暗殺を食い止めるというミッションを果たすためには様々な困難を乗り越えなければならない。金も稼がなくてはならないし、住居も見つけなければならない。未来の(つまり2011年の)友達とは離れ離れになるし、現在の(つまり1963年の)人々とうまくやっていかなくてはならない。(50年のジェネレーションギャップ)
    読者としては、なんでそこまで苦労して大統領暗殺という大ミッションを、主人公が自分の使命としてやるものだと考えているのかちょっと謎だが、ともかくも彼はやる。やろうとする。

    そこで一番のテーマは、主人公アンバーソン(偽名)が過去の世界で見つけた恋人セイディーとのあれやこれや。彼女との恋愛の描写は本当に素晴らしく、読者の心を持っていく。また、セイディーと過ごしたジョーディーという街で出会った人々の温かさ、彼が与えたもの、彼が与えられたもの・交流の様子も素晴らしくて、スティーブンキングはすごく残酷な物語も書く一方で、すごく温かい物語も書くんだなぁ、歴史に残る天才だと思います。

  • 上巻読了。
    ネタバレはないと思います。
    評価が割れがちなキング作品の中では結構好評なのかな?と読む前に感じてました。
    読み始めてすぐ、あ~なるほどこれは評判いいのも納得だわ。
    恐らく一般的な読者が途中で挫折するキング色が排除されてますね、しかも意図的に。
    いつもならくどいほどの人物の背景描写が本作ではないに等しく、序盤から結構なギアが入った状態。
    唐突に読者を引き込む力技がもう素晴らしいの一言。
    そのくどさが大好きな熱烈ファンに向けては旧作への目配せがてんこ盛り。(いちいち不穏な空気)
    デッドゾーンと似たテーマですが、あの美しくも悲しい作品を超えてくるのか今後の展開が楽しみです。

  •  う~ん、すばらしい。こんな純愛小説があるだろうか。このわかりにくいタイトルは1963年11月22日、すなわちJ.F.ケネディが暗殺された日のことだ。このSF小説は過去に通じる「うさぎの穴」を見つけた男ジェイクが、ケネディが暗殺されない世界の実現のためにオズワルドの犯行を阻止する、という話だ。このうさぎの穴、何度も行き来できるが必ず過去の同じ時点にしか行けず、一旦戻って再度過去に行くと前回の改変はすべてリセットされるというしかけになっている。ケネディ暗殺ほど大きな事件がなくなればその影響は計り知れないし、事実大きな犠牲を払ってまでそれを成し遂げたジェイクが現在にもどってみたものは想像を絶したが、本書の読みどころはそこではない。過去に暮らすうちにセイディーと恋に落ち、一旦はその危機を救ったものの、暗殺阻止作戦のさなかに悲劇が起こる。ケネディ暗殺阻止などという大それたことをやらなければセイディーと楽しく暮らして行けたかもしれない。もう一度最初からやりなおそうと過去へ向かうジェイク。しかし、過去の改変はほんのちょっとしたことでも思わぬ変化を引き起こすのも事実。考えに考えた末にまた彼女に出会ってやりなおすのを断念する。
     「さよならセイディー。きみがぼくを知ることは永遠にないけれど、ぼくはきみを愛しているよ、ハニー」
     第6部最後のノートの最後に置かれたこの哀切極まりないジェイクの心の叫びこそが、本作の価値だ。ここまで読んできて涙しない読み手はいないだろう。これではあんまりだ。ジェイクがかわいそう。だがしかし、その先におかれた意外なエンディングのすばらしさ。キングはほんとうにヒューマンな書き手だと思う。

  • 上下巻感想。

    物語の導入はめちゃくちゃワクワクしたし、ラストは切なくて良かったけれど、中盤で主人公が普通に過去生活を満喫する辺りはどうにも長過ぎて退屈。

    それがラストに繋がるのは分かるものの、流石に長すぎて違うジャンルの作品を読まされてるような気がしてしまった。

  • 2019年12月25日
    【いわた書店選書】
    物語の核心部分へはまだまだといったところ。無駄な描写が多い気がするが、伏線になってるのだろうか。

  • 海外もの特有の想像力がかき立てられない文化の違いを強く感じてるけど、最後の方は勢いよく読めた。
    私も生まれてない時代だけど、今より生きやすかったのかなぁと思ったり。
    取り敢えず、続きを読みます。

  • (下巻まで読み終えての感想です)

    文庫本で上中下巻の3冊、ページ合計で1400ページ以上(しかも他の文春文庫本より文字が小さいので密度が高い)の大変なボリュームの作品でした。おかげで読み終えるのにかなり時間とエネルギーをかけてしまいましたが、その分読了後の余韻が言葉では言い表せないほど深く残っています。

    タイムトラベルにロマンスを絡めた話をキングが書いたのだから、面白くないわけがないでしょう。・・・と書きつつも実は上巻の途中までは、読んでいて話の展開が遅いなあという印象で、ちょっと挫折しかけました。メインテーマのはずのケネディ暗殺阻止とは全く関係ない話がずっと展開されるので、あれ?まだプロローグ続けるの?という感じで。でも最後まで読んだ後に振り返ると、これはこれで意味があったことがわかりました。なので投げ出さずに我慢して読みましょう。たぶん中巻の主人公とセイディーとの出会いあたりからは一気読みだと思います。

    さすが稀代のストーリーテラーだけあって、うまいなあと感じるところは多々あるのですが、やっぱり本作のキモは、JFK暗殺事件をタイムトラベルの5年後に設定した点でしょうね。解説にあるとおり、セーブポイントの無いゲームで、やり直すなら最初から、という制約が非常にうまく作用していると思いました。歴史改変モノとしてもよくできていると思います。本作を読んで映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思い出しました。

  • タイムトラベル物の大傑作。泣けるキングです。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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