宇宙が始まる前には何があったのか? (文春文庫 S 20-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907815

作品紹介・あらすじ

宇宙物理学の最先端を平易に語ったベストセラー!『種の起源』に匹敵する宇宙論のパラダイム・シフト。私たちのいる宇宙はビッグバンで誕生した。では、その前には何があったのだろう。宇宙は「無」から生まれたのか――? 物質と反物質のわずかな非対称が生んだ私たちの宇宙。なぜ「無」からエネルギーが生じたのか。宇宙はいかにして終わりを迎えるのか。・宇宙は加速しながら膨張しており、やがて光速を超える・99パーセントの宇宙は見えない・未来には私たちがいま観測している宇宙は観測困難となるなどなど、最先端の研究成果ともとに、気鋭の宇宙物理学者が宇宙の意外な像をわかりやすく描き出す。リチャード・ドーキンス氏、推薦。

感想・レビュー・書評

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  • ローレンス・クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?」読了。現宇宙の創生はビッグバンより始まった事はなんとなく知っていたが、量子重力の点から宇宙が僅かな非対称性の為、空間や時間のない無から生じたとの事に驚いた。また非対称性の程度が変われば物理法則すらも変わるとの説も。圧倒的な読み応えに大満足です!
    あとファインマンダイアグラムの解説がわかりやすくて良かったです!

  • 人間の叡智は現実に先駆けて科学原理を見出すことがある。例えばルメートルが指摘した宇宙膨張説、相対性理論による時空の歪み、ブラックホールも観測される前から既に予想されていた。更に面白いのは発見した科学者の思惑を超えて原理が自己主張を始めることだ。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/03/blog-post_4.html

  • 本書は、宇宙物理学の最新の成果(=宇宙の始まりや終わりに関する、常識的にはなかなか受け入れ難いビジョンだが)を紹介した書。

    何もないと思われていた銀河と銀河との間に光を発しない暗黒物質が存在している(宇宙を平坦なものにするために不可欠)とか、空っぽの空間にも暗黒エネルギーが含まれている(加速的に膨張する宇宙の挙動を説明するために不可欠)とか、我々が存在している宇宙以外に無数の相異なる宇宙が存在している可能性がある(マルチバース)とか、宇宙は無から自発的に生じたらしいとか、宇宙毎に物理学の基本法則が違うかもしれない(自然界の基本定数が今のような値になったのは、たまたま)とか、無限の未来には無がふたたび宇宙を支配する(暗黒で空っぽの世界、「陽子と中性子は崩壊し、物質は消滅し、宇宙は最大限に単純で対象性の高い状態に近づく」)とか、とにかくぶっ飛んだ内容で、とても頭の中にイメージすることができない。ここまでいくとSFも真っ青。哲学そのものという感じ。

    「われわれはみんな、真空――それは本質的に無であり、何もない空っぽの空間である――の量子ゆらぎのおかげで、今日ここに存在する」なんて、さらっと言われてもなあ。

    宇宙の成り立ちに興味は尽きないが、理解が追いつかないもどかしさが残る本だった。昔読んだ「百億の昼と千億の夜」、思い出すなあ。

    なお、著者は、反神論者として随所で神学者に痛烈な批判を加えているが、日本人的に、自然の営み=神、自然の驚異=神々しさと捉えれば、科学と宗教もそれほど鋭くは対立していないと思えるのだが。キリスト教世界の呪縛?

  • ずっと気になっていて、文庫になっていたのでようやく手にすることができました。
    物理学の知識なんてあまりない私には難しかったです。それでも、一般的な専門書のような堅苦しい文章はなく、むしろ砕けた感じの文章に止まることなくすらすらと読むことができました。ただ、本文中にたびたび登場する『神』という言葉だけは引っかかってしまいました。科学と宗教がどう関係しているのだろうと。そんな疑問も最後まで読み進めると作者の考えが記されていたので納得。日本では到底起こりそうもない論争だなあと思いました。

  • 「昨日のない日」
    ジョルジュ・ルメートルは、アインシュタインに「あなたの数学は正しいが、あなたの物理学は忌まわしい」と否定されながらも、宇宙の始まりの時をこう名付けたのだった。

    137億2000万歳
    WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射から得られた宇宙の年齢。

    突然、宇宙の膨張を加速させる何かが起こったわけではなく、膨張にブレーキをかける力(物質のエネルギー密度)が膨張によって弱まり、ダークエネルギー(空っぽの空間のエネルギー)の方が上回ったために、膨張が加速した。
    ダークエネルギーが宇宙の膨張を支配するようになったのが、過去50億年かそこらの比較的最近。p163

    第七章がこの本の真骨頂。
    今から二兆年後、われわれの銀河団を除いて、すべての天体は観測不可能になる。
    かつて可視光線だったものは、波長が伸びて赤外線やマイクロ派になり、いずれその波長は、宇宙のサイズよりも長くなる。
    そのような未来の観測者たちは、1915年の観測者たちが見ていた宇宙「広大で空っぽの静的な空間の中に、われわれの銀河だけが存在している宇宙」を見ることになる。

    「物理学は環境科学なのか?」
    われわれが知る物理法則は普遍的なものではなく、たまたまこの宇宙で成り立つローカルな法則に過ぎないのか。

  • 最先端の現代科学によって解明されている、宇宙の謎の最新のお話。

    難しい話を、一般人でも理解できるようになるべく平易な内容で解説を試みています。・・・ですが、やっぱり難しい(苦笑)

    日本人の場合、宇宙の成り立ちが宗教に結びつくことはあまりありませんが、欧米では、やっぱり“神”の存在との関連を指摘されてしまうようです。著者は科学者であり、『反神論者』。宇宙の成り立ちの謎を“神”の存在に逃げようとする姿勢はなく、あくまでも科学的にアプローチしていっています。当たり前ですが。

    NHKの白熱教室で、著者の授業があった様です。見たかったなあ。

  • 2020-5-20 anazon

  • 何も存在しない空間でのエネルギー寄与はかなり大きいという事を宇宙科学史の発展を含めて一から解説している。しかしながら、平坦な宇宙までの説明は優れているが、それ以降の「無」についての説明が弱いと言わざるを得ない。まだ未解明の内容なのだろうが、そこが特筆点であり、この本を読んだ人が最も知りたいことではなかっただろうか・・。
    ところで、最後の著者との一対一の質問内容がバカすぎて興ざめである。なぜ、あんなくだらない質問をさせたのか。本当に余計な内容であり、著者がバカにされているように感じるため、印象は最悪である。

  • NHKを見て興味を持ち、疑問点を明らかにするために購入。
    一部の謎は解けたけど、後半ちょっと微妙かな。

  • 前から気になっていたが文庫版が出ていたので読んでみた。安心の青木薫氏の訳も含めて平易に記されており読みやすい。
    ただアメリカ人である著者がキリスト教文化、ひいては人間中心主義である相手との対決姿勢を露わにし過ぎている。諸行無常、八百万を知る日本人からすると正直煩わしい。
    カバーする範囲に多少差異はあるが、先に読んだ講談社ブルーバックスの『宇宙に「終わり」はあるのか』の方が、宇宙の創生から終焉までを無駄な情報なく遥かに整理されてわかりやすかった。

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