四人組がいた。 (文春文庫 た 39-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911706

作品紹介・あらすじ

これぞ高村流エンターテインメント!とくに名物もない山奥の山村に、ヒマを持て余して集まる元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんの老人四人組。村は、いつものように平穏のはすが……。気球を使ったモダンアーティスト、若い保険外交員の娘、小学校の生徒、町史編纂する役場の職員、テレビクルーに女優……そしてたくさんの動物たちが、村でひと騒動を起こしていく。四人は、AKBを見ながら過疎を愁い、ネットショッピングをしながら限界集落へと思いをはせる。「日本の田舎」から今を描く、黒い笑いに満ちた短編連作。

感想・レビュー・書評

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  • 高村薫『四人組がいた。』文春文庫。

    これまでのシリアス路線から一転、高村薫が書いたブラック・ユーモア小説。連作形式で12編が収録されている。

    結論から言えば、全く面白くなかった。この手のブラック・ユーモア小説の場合、畳みかけるような小気味良いユーモラスな描写と小粋な捻りが面白さ鍵になると思うのだが、どちらにも欠け、些か無理矢理っぽい感じがした。

    車すらめったに通らぬ山奥の寒村に暮らす元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんの老人四人組の良からぬ茶飲み話を中心に村で起きるちょっとした事件を描く。後半はやけくそ気味のようなレベルの低い描写が続き、高村薫のイメージが壊れるので、もう止めてくれという感じ。

  • 「高村薫」の連作短篇集『四人組がいた。』を読みました。
    「高村薫」の作品は、2007年(平成19年)に読んだエッセイ(雑文集)『半眼訥訥』以来なので久し振りですね。

    -----story-------------
    これぞ高村流エンターテインメント!

    とくに名物もない山奥の山村に、ヒマを持て余して集まる元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんの老人四人組。
    村は、いつものように平穏のはすが……。

    気球を使ったモダンアーティスト、若い保険外交員の娘、小学校の生徒、町史編纂する役場の職員、テレビクルーに女優……そしてたくさんの動物たちが、村でひと騒動を起こしていく。
    四人は、AKBを見ながら過疎を愁い、ネットショッピングをしながら限界集落へと思いをはせる。
    「日本の田舎」から今を描く、黒い笑いに満ちた短編連作。
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    2008年(平成20年)から2014年(平成26年)に、文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に発表された作品、、、

    「高村薫」作品初のブラックユーモア小説… 笑いを堪えるのが大変でしたね。

     ■四人組、怪しむ――(「明るい農村」を改題)
     ■四人組、夢を見る――
     ■四人組、豚に逢う――
     ■四人組、村史を語る――
     ■四人組、跳ねる――
     ■四人組、虎になる――
     ■四人組、大いに学習する――
     ■四人組、タニシと遊ぶ――
     ■四人組、後塵を拝す――
     ■四人組、危うし!――
     ■四人組、伝説になる――
     ■四人組、失せる――

    限界集落の郵便局兼集会所で、元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母さんの老人4人が毎日ヒマをつぶしている… 地域のことは何でもお見通し、、、

    謎を残して終わった気球の里計画、レストランに化けたラブホテル、青白く光る豚…… アオムシを乗せたキャベツは逆襲し、若返りの泉でヤマメがしゃべる。

    老人ばかりの村にタヌキのアイドルグループ(TNB48)が誕生し、獣や鳥が人間と肩を並べ、最後は閻魔様まで… 日本の田舎から今を描く、痛烈なブラックユーモア小説でした。


    弾け過ぎている感じがして、最初は物語に入り込み難かったのですが… 読んでいるうちに、独特な雰囲気やリズムに飲み込まれてしまい、いつの間にか村民になった気持ちで読んでいましたね、、、

    スローライフやエコといった純朴さとはかけ離れた里山… みんな欲深くて、儲け話にすぐに飛びつき、意地悪、好奇心、男女のあれこれも全部むき出し… 地方を舞台にして、今の日本の姿をユーモアとシニカルを交えて軽妙に描き出した作品だと思います。

    「高村薫」作品にしては珍しく気楽に読める一冊でした。

  • 2023.10.09

  • ちょっと飽きちゃった。語り口はさすがといえるんだけど、毎回ほぼ同じような展開ではね、雑誌の中にある4コマ漫画みたいに長編に疲れたときにくすっと笑える短編という感じで読むといいかもね。

  •  皆さん同様、まずショックだったのが「あの高村薫センセがユーモア小説を!?」という驚天動地(゚д゚)!
     小説作品だけでなくエッセイやインタビュー記事を読んでもこれまでユーモアのユの字すら一切感じられなかった、あの冷徹ど真面目機械作家(褒め言葉)の高村センセがユーモア小説を!?(゚д゚)

     実際のところ、序盤はかなり硬めで読んでても笑っていいものかどうか戸惑ってしまうところ多々だった(>_<)
     しかし書き進めるうちにどんどん(真面目さを吹っ切る)コツを掴んでいったようで、後半からはもう文句なしにクスクス笑い(ゲラゲラとまではさすがにいかない)できるようになった( ´ ▽ ` )ノ

     内容としては、ど田舎で暇と煩悩を持て余してる老人四人組のお気楽無責任日常もの。
     我欲にまみれた村おこし・詐欺まがいの商業戦略が次々描かれ、すわ社会風刺小説かと思いきや そこに日本昔話風のとぼけたファンタジーが平気の平左で次から次へと織り込まれていく。
     幽霊は出るわ化け狸は出るわE.T.は出るわ、はては閻魔様や如来様もやって来るわ、山の獣どもがバスツアーを組んで上京するわ、もう何でもあり。溢れ出る想像力のお祭り状態。
     人を食ったという表現がこれほどぴったりくる小説も珍しく、筒井康隆の諸作品やアメリカほら話、イタロ・カルヴィーノ等々を彷彿。高村センセもこういうのやってみたかったんだなあ、と思わずにっこり。
     アイドルやアニメ等ポップカルチャーについてもけっこう詳しいっぽいのでちょっと驚いた。
     とにもかくにも、とても個性的で楽しい一作。
     面白く読めた( ´ ▽ ` )ノ

     これ、アニメ化したらけっこう海外受けするんじゃなかろうかと思う。最後の方なんか「ぽんぽこ」ぽかったし。
    2022/09/20
    #3483
     
     

  • 読み始めて「あれっ?」老人、田舎,ブラックユーモア?かなあ…確かに 保育園の話やドキュメンタリー製作の話、閻魔さまとあみだの話には うんうんとうなづいたけど、四人組のキャラクターもいまいちはっきりしないし、だいたい何者?なんか ひねりがあるだろうと読みきったけれども、うーん。

  • 旅行などに高村薫を持っていくことが最近多く、こんかい手にとったのがこれなのだが、他の作品と違って田舎に暮らす老人4人組がわけのわからない話をするというもので、たぬきが化けたり、若返りの秘法が登場したり、正直訳がわからない。みると裏筋にはブラックユーモア小説と書いてあるが、ブラックユーモアってこういうことなのか、と思ったりした。

  • 過疎の村の不思議な老人たち
    喜劇を

  • な、なんじゃこら?というのが、率直な感想です。うーん。なんじゃこら?面白いのか、面白くないのか、判断に困る、という感じ。どーしたらエエねん、これ。みたいな。

    なんせ、あの、髙村薫ですよ。あの。問答無用の途轍もない作品を、容赦なく読者に突き付けてくる、あの髙村薫が。こんな、ある意味トンデモな作品を、突きつけて来るとは。とわとわ。うーん。ビビった。そして、困った。というのが、ホンマに率直な、感想です。

    ブラックユーモア、ということなのだろう、うむ。そうなのだろう。と思うのですが、うーむ。ブラックユーモア、というより、なんだか、、、ヤケクソな悲哀を感じた。謎の諦念、みたいな。なんだか、妙に、読んでいて悲しくなった感じは、ある。

    個人的なイメージなんですが、髙村薫の文章、文体には、金属の柱に、ノミで、ガシガシと鋭利な文字を刻む、みたいなイメージ、印象を持っています。圧倒的に硬い。って感じ。或いは、容易に人を寄せ付けない、圧倒的に高い険しい山。峻烈!って表現が、いっちゃんピッタリの。とにかく怖い。とにかく孤高。とにかく唯一無二。

    そんな、畏れつつも憧れてしまう、見上げてしまうイメージは、ゴメン。この作品には、なかった。うん。なかった。

    でも、なんせあの髙村薫でっせ!という思いも、もちろん、ある。俺は、この作品を、ちゃんと読み取れていない。この作品の真の素晴らしさを、理解できていない。それは、俺の力量不足だ。無念です。すみません。という思いも、ある。それだけの思いを、抱かせる存在。それこそが髙村薫。という、なんだか変な思いも、あるんです間違いなく。

    10年後くらいに、また、読み返してみたい気がしないでもない、とか思いつつ、、、うーん。多分、読み返さないかなあ。それより、他の髙村薫作品を、手に取ろう。そして、ガッツーンと打ちのめされよう。そんな事を思った、ちょっと不思議な読書体験でした。

  • 高村薫さん「四人組がいた。」読了。硬派な高村さんの十二の短編からなるエンターテインメント作品って何?…と恐る恐る読み始める。二つ目のお話位まではピンとこなかったのですが、その後は、主人公の老人四人組のやんちゃ振りが無敵状態、無限にエスカレート…最後の話では脱力しました…高村さん…凄いなぁ…星四つ!

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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