西洋菓子店プティ・フール (文春文庫 ち 8-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912222

感想・レビュー・書評

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  • ケーキの描写から美味しさが伝わってきて口の中が甘くなった。登場人物のその後が気になります☺︎

  • 職人憧れるなぁ。柔らかいシュークリームが食べたくなる

  • 嗜好品を生み出す仕事を卑下するようなセリフが出るけれど、たぶん、あのシュークリームのように人のこころを何度も落ち着かせることは、生命に直結するような仕事には、なかなかできない。

    フォンダン・ショコラには怨念みたいなところが、たしかにある。

  • いつも行く本屋さんのコーナー歩き回って今回手に取ったのがこれでした。
    重い話もなかにはありますが、手間暇かけたお菓子を味わうことで落ち着くというか、少しほっとする時間ができて頑張ろうと自分に言い聞かせた本でした。

    短編のタイトルは洋菓子の名称なので、それぞれ登場する主人公の心情や話の内容になぞらえているのだと思いました。
    お菓子を作る描写が丁寧で甘い物が無性に食べたくなります。

  • フランスで修行したパティシエールの亜樹は、訳あって祖父が営む西洋菓子店「プティ・フール」で働いている。

    店を訪れるお客達や祖父母、婚約者、そして亜樹に恋心を抱く後輩との人間模様が丁寧に描かれた、素敵な短編集だった。

    最初想像していた内容とは少し違っていたけれど(もっとメルヘンチックなものかなと)、仕事を第一に考えてしまう主人公の気持ちもわかるし、悩みながらもプティ・フールを続けていこうとする亜樹を応援したくなった。

    お菓子作りの描写も、お菓子そのものの描写もとても魅力的で素晴らしい表現力。

  • 西洋菓子プティ・フール。
    商店街にある洋菓子店。
    主人公?の亜樹が働いている店であり、亜樹の祖父母の店でもある。
    この洋菓子店に関わる人たちの視点から書いた連作小説。
    亜樹、亜樹の後輩男性スミ、客の女性、スミの女友達ミナ、亜樹の婚約者祐介。脇をかためる紅茶専門店の長岡さんもミステリアスで魅力的なキャラクターだ。

    亜樹は捉えどころがなくて、私も祐介さながら、亜樹にふりまわされてしまった気持ち。
    千早茜さんの書く物語は、甘美で、切なくて、苦しい。
    まさに亜樹の作る菓子のようだ。
    特に、一つ目のお話の亜樹が学生時代の同級生(今は変わってしまった彼女)を思う気持ちは、千早茜ワールドだなって思った。その後は話を進めるごとにそれは薄まりマイルドになっていき、一般的な恋愛話ぽさもあった。

    亜樹が作る菓子と、祖父が作る菓子は全然違う。
    亜樹の菓子は、フランス菓子。バニラビーンズやアルコールもたっぷり。素材を吟味してるし、おしゃれだ。
    祖父の菓子は、昔ながらの洋菓子店のお菓子。ショートケーキややわらかいシュークリーム。
    私はどちらも好きだ。亜樹の菓子のような特別感のあるものを、美味しいお茶とゆっくりいただきたいし、祖父の菓子を3時のおやつに食べたい。

    亜樹のおじいちゃんの秘密とは?
    最後まで読んでもはっきりと答えは書いていない。
    一年に一度、重箱にプティフール、正統派な小さなフランス菓子をぎっしり詰めて墓参りをしていること。
    長岡さんが教えてくれた「許嫁のある女性と、逃げた」ということ。
    その女性が誰なのか、その墓には誰が眠っているのか、肝心なことはわからない。
    私は、お祖母さんに毎年許してもらっているというお祖父さんの発言から、そのお墓に眠っているのはお祖父さんがかつて好きだった女性、一緒に逃げた許嫁のある女性、なのではないか?と推測しました。が、こんな単純な話じゃないんだろうな〜とも思います。
    秘密は、誰にでもありますね。
    秘密にするという行為や気持ちを尊重したいです。
    本当のことを知りたいと言うより、私以外の読者さんたちはどう思ったんだろう?っていう、多くの人の考察が知りたいな〜。
    考察することは、自由、ですよね…?

  • スイーツ小説は増えてきたけれど、最近読んだもののなかでは個人的にはかなり上位にランクイン。専門的すぎるのに思わず調べずにはいられない用語が多くてもお話をひきたてる大事なアイテムなのかも。おんなじ人物でもこうまで違った見方になるのかというのが連作短編の醍醐味。それが遺憾なく発揮されていて。特にネイリストのお姉さんの切ない恋心が痛いようで実は違った。魅力的な登場人物がたくさんで彼らの人となりを知るごとに深みを増していくストーリーは最高だった。シュークリームを始めとする数々のケーキの味わいの表現も香り立ちながらも視覚的にも訴えてくるのがすごかった。最後のパティシエさんとの対談も面白かった。

  • 登場人物がみんな、クリームを溢れるほど詰めたシューのように、力一杯生きていますね。亜樹さん、爺ちゃん、澄孝くんのお菓子、長岡さんの紅茶、美波ちゃんのネイル、素晴らしい仕事が、丁寧に語られています。

  • とても良い本だった。お菓子のお店を取り巻くほんわかした話を想像していたが、良い意味で裏切られた。登場人物が皆、どこか情けないのが良い。

  • 普段、スイーツはほとんど食さない(間食もしない)が、スイーツを楽しんでいる人を眺めている時間は心地いい。それと同じ感覚。
    嫉妬、甘え、憧れ、焦り...。あるよ、あるよ! ただ蓋をして包んで平静を装っているだけ...。身も心も溶けてしまいたい。
    とにかくじいちゃんがカッコイイ。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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