- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167912314
作品紹介・あらすじ
残酷にもほどがある!凶悪殺人犯を取材し続けた男が、もっとも戦慄した10人の肉声とは?新章 筧千佐子(近畿連続青酸死事件)を増補!『殺人犯との対話』を改題。誰でも一瞬の激情にかられて人を殺してしまう可能性はある。だが何度も、何人も殺害してきた連続殺人犯は、「悪に選り分けられた者たち」ではないか――?数多の殺人事件を取材してきた著者が、拘置所の面会室で、現場で、ゾクリと震撼させられた10人の連続殺人犯の声を綴る。「蚊も人も俺にとっては変わりないと」(北村孝紘・4人殺人)「私の裁判はね、司法の暴走ですよ。魔女裁判です」(松永太・7人監禁殺人)「ふざけんなっ。おら、フイルム出せって言ってんだろが」(畠山鈴香・2児殺人)「頭のなかが真っ白になって、逃げ出したかった」(下村早苗・2児虐待死)「私の『生』そのものがあるべきではなかった」(山地悠紀夫・姉妹強姦殺人)「血が汚れている」(角田美代子・8人殺人)「どこでくらしても、女ですもの。女ですもの……」(筧千佐子・4人殺人)解説・重松清CASE 1 北村孝紘 【大牟田連続4人殺人事件】「きさんか?(貴様か?)つまらん記事ば書いとうとは」。面会室で罵倒してきたのは、金目当てで4人を殺した「史上最凶一家」の次男。だが面会を重ねるうち、暴力団一家に育った男は意外な表情を見せ、ある頼み事をしてきた。CASE 2 松永太 【北九州監禁連続殺人事件】「先生、私の裁判はね、司法の暴走ですよ。魔女裁判です」。饒舌に、にこやかに語る男は、自らは手を下さずマインドコントロールで一族7人を監禁し、殺し合わせた。悪魔とは、意外とこんな屈託のない存在なのかもしれない――。CASE 3 畠山鈴香 【秋田児童連続殺人事件】実の娘と近隣の男児との連続殺害容疑がかかる“被害者の母”は、つめかける警察と報道陣に、「ふざけんなっ」と取り乱した。憑依されたかの如き爆発、沸騰した体温を至近距離で感じて、私はなぜか確信した。これは殺っている――。CASE 4 鈴木泰徳 【福岡3女性連続強盗殺人事件】愚かなのか、恐るべき無自覚なのか。男が3人の女性を強姦・強盗目的で殺害したのはトラック配送業務中。しかも被害者の携帯電話を奪い、アダルトサイトに利用したことで犯行が発覚した。尋常でなくキレやすい男の足跡を追う。CASE 5 下村早苗 【大阪2児虐待死事件】真夏のマンションに閉じ込められ、脱水と飢餓で2児が死亡。だが風俗嬢の母はその間も遊び歩き、SNSに投稿していた。世間を震撼させた犯人の実父が今ようやく語りはじめる。彼女もネグレクト(育児放棄)を受けていたことを。CASE 6 山地悠紀夫【大阪姉妹殺人事件】「母親を殺したときのことが楽しくて、忘れられなかった」「死刑でいいです」。無辜の姉妹を強姦殺人した22歳の男が主張したのは「快楽殺人」だった。それは本心なのか。少年審判時の弁護士と精神科医が無念とともに語る、その実像。CASE 7 魏巍 【福岡一家4人殺人事件】面会室に現れたのは、小柄で色白な青年だった。わずかな金銭のために一家4人を惨殺し、海に遺棄した中国人留学生グループの一人だ。両親に「悔」一字を大書した手紙を送った彼と対話を重ね、中国へも取材し、心のうちを追う。CASE 8 高橋裕子 【中州スナックママ連続保険金殺人事件】かつて「白雪姫」と呼ばれたお嬢様音大生は、美貌のスナックママになり、いつしか、交際した男を恐喝し、保険金目当てで二人の夫を連続で殺害する「魔女」へと変わっていた。なにが彼女をそうさせたのか。その“魔性”の証言。CASE 9 角田美代子【尼崎連続変死事件】小さなトラブルから家庭に入り込み、財を吸いとり、犠牲者ファミリーを拡大する――死者は事件化されただけで8名、「鬼女」「モンスター」と言われたその手口を、家族を「被害者」と「加害者」に分断された父が苦渋とともに語る。CASE 10 筧千佐子【近畿連続青酸死事件】〈どこでくらしても、女ですもの、女ですもの……〉拘置所からの手紙で、面会室で、筆者に秋波を送ってきた〝後妻業の女〟。彼女の周囲では20年間に10人以上の高齢男性が死去していた。「あの人は殺めました」と告白する虚無に迫る。
感想・レビュー・書評
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面白かったけど、いまいちコンセプトが不明。
面会できた人・できなかった人もいるし、どういう括りでこのラインナップにしたのだろうか。 -
小野一光『連続殺人犯』文春文庫。
21世紀の10大連続殺人事件の闇に迫るノンフィクション。『殺人犯との対話』を改題し、新章に『筧千佐子 近畿連続青酸死事件』を増補。
同じ人間とは思えない残虐非道の凶行を繰り返した連続殺人犯たち。余りにも身勝手な犯人たちの声には反省や後悔は全く感じられない。
『CASE 1 北村孝紘 大牟田連続4人殺人事件』。金銭目的で4人もの人びとを簡単に死に至らしめた狂った家族。 家族ぐるみで凶悪犯罪に手を染めるなど有り得ない。
『CASE 2 松永太 北九州監禁連続殺人事件』。自らは手を下さずにマインドコントロールにより7人の一族を監禁し、殺し合わせた悪魔の所業。反省の色を全く見せない忌むべき悪魔。
『CASE 3 畠山鈴香 秋田児童連続殺人事件』。実の娘はおろか、無関係な近隣の男児までも殺めた秋田の鬼女。確かにテレビに出た段階で怪しかった。
『CASE 4 鈴木泰徳 福岡3女性連続強盗殺人事件』。3人の女性を強姦と強盗の目的で余りにも簡単に殺害した男の全くの身勝手。
『CASE 5 下村早苗 大阪2児虐待死事件』。 自らの遊興を優先し、幼い2児を真夏のマンションに閉じ込め、脱水と飢餓でにより死に至らしめた若い女性。最近はこうした育児放棄や虐待のニュースを耳にしない日は無いように思う。
『CASE 6 山地悠紀夫大阪姉妹殺人事件』。かつて実母を殺害した男が全くの無関係な姉妹を強姦の揚げ句に殺害するという快楽殺人。
『CASE 7 魏巍 福岡一家4人殺人事件』。
中国人留学生グループによる金目当ての一家4人惨殺事件。捕まったのは犯人グループの1人だけ。後の2人は帰国後、行方をくらましている。モラルが欠如した中国人には来日して欲しくない。
『CASE 8 高橋裕子 中州スナックママ連続保険金殺人事件』。保険金目当てで2人の夫を殺害し、交際した男たちを恐喝した魔性の女。
『CASE 9 角田美代子 尼崎連続変死事件』。金銭目的で8人を惨殺した主犯が獄中で自殺したことから、真相の完全解明は困難になった得たいの知れない複雑怪奇な事件。
『CASE 10 筧千佐子 近畿連続青酸死事件』。金銭目的で20年間で10人以上の高齢男性を殺害し続けた後妻業の女。 -
気分が重くなる1冊。著者のように犯罪者の心理を垣間見えるかと思い半ば好奇心で覗いてみたが、想像以上に理解できなかった。中国人留学生のように深く反省している殺人犯はいたものの、ほとんどの殺人犯は反省していないし、中国人留学生の事件も真相(指示役)は闇の中のようだ。幼少期の家庭環境の歪みが大きく影響しているらしいのは共通項だろうか。ともかく自分と彼らを分け隔てている何かはさっぱりわからない。北九州監禁事件はやはり恐ろしすぎる。尼崎変死事件も概要を初めて知ったが戦慄を覚えた。
九州や関西方面に凶悪事件が多い気がするのは気のせいなのか。 -
1エピソード目から唸った
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先日読んだ「人殺しの論理」とかぶる部分も多いが、内容はこちらの方が深く濃い。
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10人の連続殺人犯。殺人鬼、ではないところが、実際に犯人やその関係者と相対しての印象なのでしょうか。
犯人たちの普段の姿は、本当に身近にいそうで、だからこそじわじわと怖くなります。隣にいるかもしれない、という恐怖。同情できるようなものはなくて、どれも身勝手なものばかりでしたが、親から暴力を振るわれたり売春させられたり、辛い過去を持っている人がいるのも事実。環境が少しでも違っていたら、もしかしたらこういう事件はなかったのかもと思うと、複雑な気持ちです。
それにしても、洗脳は怖いですね…。 -
北九州だけでも読む価値はある
全員歪だがそれぞれの殺人犯によって歪さが違う -
個人的には中国人留学生が起こした福岡一家四人殺人事件の項が印象的だった。故郷の家族の期待を背負ってはるばる日本にやって来た、かつては優等生であった青年。生活資金を遊興費に注ぎ込んでしまい、困った彼は悪い誘いを受け入れて大罪を犯すが、それと引き換えに手に入れたのはたったの一万円と、自らの死を持って罪を償うという結末。筆者は面会を通しての犯人との直接の対話を行うのは勿論、彼の母国にも足を運び、実父への取材を行っている。
「お前の犯した罪が少しでも軽かったのなら、私たちは受け入れることもできる。子どもが可愛くない親などいない。お前の母さんと私はことさらにお前を愛している。どうして事件を起こすとき、私たちのことを思い出さなかったのか……」
筆者に託された、覆るべくもない死刑判決を待つ、海の向こうにいる息子宛の手紙。そこからは「罪を犯す前に、子どもに何かしてやれることはなかったか……」という父親が抱く深い悔悟の念と同時に、子どもへの変わらない愛情が感じられた。それだけに、なんとも言えない気持ちになる。
後書にも書かれているように、読後けして爽やかな気持ちになる本ではない。この本に出てくる十人の『連続殺人犯』は、性別も年齢も違えば、その生い立ちも性格も、そして犯した罪も様々である。
筆者はとある被告人と面会した際、初対面にも拘らず、常に明るく人懐こく話しかけてくるその様子に、「悪魔とは、意外とこのような屈託のない存在なのかもしれない」と書き記している。また、別の被告人と対峙した際は、事件の話を振った瞬間、雑談時の明るい表情や口調とは打って変わって浮かべられた鵺のような昏い表情に、底知れぬ虚無の深さを感じたと言う。
ヒトは自身にとって未知のもの、また理解の及ばないものへの潜在的な恐怖があるように思うが、凶悪事件の犯罪者に対して感じる畏れも、そのようなものに近いのだろう。どの被告人も罪状を知れば、同じヒトというよりも、なんだか得体の知れない怪物のように感じる。怖い。けれど、怖いからこそ、少し離れた安全地帯からなら、そっと……。少しだけなら……。
『深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている』という有名なフレーズがあるが、この本を手に取った我々も、筆者の眼差しを借りて「底知れぬ人間の暗部」を覗くことが出来る。しかし願わくば今後も、彼らが犯した"許されざる一線"には触れることのないまま、この境界線の側で留まっていたいものである。 -
★★★
今月20冊目
こんなんばっか読んでて頭おかしいでしょう。
色々な人がいるんだという勉強です。
しかし胸くそ悪いね。かなり凶悪、こいつらは