- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167913465
感想・レビュー・書評
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本が先か、映画が先か。という議論があって、普通は、どちらでも良い、というのが結論なのだけれども、この文庫本に関して言えば、映画を先に観るべきだ、或いは小説を読んで忘れかけた頃に映画を観るべきだ、というのが私の偽らざる感想です。何故ならば、小説を脱稿しておそらく一年有余、脚本化に当たって大きな変更があったからで、小説を先に見ていたらそれが気になって鑑賞に集中できなくなるのが目に見えていたからです。私はラッキーだった。映画を観た翌日に、コレを紐解き、そして一気読みしました。
映画を先に観て良かった。登場人物は既に、松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、豊川悦司、中山美穂、神木隆之介、福山雅治以外の風貌と「声」以外では脳内変換出来なくなっています。ある程度は書いて良いのかもしれないけど、あえて粗筋紹介は省略します。ただ、何度も写された映画のCM映像は、わざとミスリードする様に作られているということは言っておきたいです。仙台の雨に濡れた遠野家、透明な少女たちの佇まいは、映画ならではでした。こっちは、単なるノベライズではありません。独立した小説でした。「ラストレター」の意味は、映画と小説では違います。
映画を観て違和感を覚えた方に言っておきたい。昭子祖母の老いらくの恋の経過があまりにも急展開だったのは、映画マジック。小説では、ちゃんと当たり前の時間が流れていました。
松たか子も、広瀬すずも、庵野秀明も、森七菜も、豊川悦司も、中山美穂も、神木隆之介も良かったのだけど、唯一福山雅治が2回「真相を知る場面」があって、その演技に納得がいかなかったのが、私がこの本を紐解いた動機です。結果は、小説でも描写できていませんでした。けれども、ストーリー全体を見渡した時に、私は福山のあの演技は未だ不十分と思っています。
男には、人生を左右するような「失恋」というものが、一回はあって、それを美しく描いた作品だったと思います。
「岩井俊二ほどロマンチックな作家を僕は知らない」と新海誠に言わせたのは、「君の名は。」でキュンキュンさせた世代が女性として成長した今、大人の女性としてキュンキュンさせたいと映画製作者側が考えたからに違いない、と私は踏んでいます。その狙いは、どうだったか。むしろ、小説の方が、あらゆる世代の女性(男性も)をキュンキュンさせるに違いないと、私は思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
想像以上に面白かった♪ヽ(´▽`)/
単純に感動作品系だと思い込んで読みましたが…
結構 笑えました。
しかし、最後は結局感動させられました。(゜ロ゜;ノ)ノ
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ずっと想い続ける気持ちがスゴいと言うか、女々しくもあり...
面白かったですが、そこまで想っていたのであれば何故⁉︎
未咲さんも何故その選択⁉︎ 裕里さんも一体どうしたいの⁉︎
でも、なんだかんだジーンとして良かったです。 -
本書を手に取るきっかけとなったのはGWの地域イベントの仮設図書館!その図書館には私の好きな作家(東野圭吾や伊坂幸太郎)の本がたくさんあり
既読の本の再読でもしようかと思っていたところ気になる一冊が!
数年前に映画化されており、当時の上司から勧められていた事と、宮城県が舞台となっていたことから、流し読みしようかと思い手に取ったところ、流し読みでは済まなくなってしまいました・・・
過去に映画になっていたことから、キャストをWikipediaで確認したため、登場人物達のイメージは良くも悪くもガッチリと固定されてしまう。
物語は、ある女性(未咲)の自殺から始まります。
自殺した未咲宛に送られてきた同窓会の招待状を見つけた妹(裕里)は同級生に、姉の死を知らせるために会場に向かったところ、幹事たちに姉の未咲に間違えられ同窓会へ出席するハメになってしまう。
しかし、そこで裕里は初恋の相手鏡史郎と再会し未咲のふりをして文通を始めることになる!?
今の自分に可能性を見出す事が出来ない鏡史郎が物語の語り部となり 物語は紡がれる・・・
裕里の家族を巻き込み死んでしまった未咲の喪失を埋めていく物語・・・
そして未咲の死から始まる物語
登場人物一人一人からぬくもりを感じる事が出来る小説でした!
自分の目から涙が出てきますので読む場所にはご注意下さい! -
2018年作品。読みやすい。若干、感傷的すぎるかなと言う感もありますが。中学時代の恋を忘れきれずに第三者的に見れば、大人になりきれていない40代半ばの男に共感してしまう60代の爺さんである私には「うん、うん」と思わせる部分が多々ありました。ただ、重要な人物の一人である美咲の心情が全くと言っていいほど描かれていないことに不満が残ります。二人の交際していた頃のエピソードや、どうして別れたのかなど触れられていたら、彼女の心情なども押しはかることができたのかも知れません。でも、面白かったです。
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再読。何十年もずっと想い続けている人がいるなんて.....。手紙を通してのやり取りもステキで、LINEやメールとは違った手紙のよさを改めて感じた。未咲はなぜ自殺したんだろう。未咲は鏡史郎のことをどう思っていたんだろう。よく分からないこともある。廃墟になってしまった母校で鮎美と颯香と出会ったのは偶然ではなくそれぞれの選択した行動から生まれた必然だと思う。最後に未咲が子ども達に遺した手紙、遺書が未咲と鏡史郎が2人で作った卒業式の答辞だったとは.....。未来への希望にあふれているステキな内容で心に残った。鏡史郎が書いた「未咲」という小説も読んでみたい。
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岩井俊二自身の、ノベライズなのか違う切り口なのかは映画を観ないと分からないが、私小説のような辛気くささがちょっとしんどい
映画を観て
先に読んだ本が乙坂の内面のドロドロを描いててしんどかったけど、その部分はあっさりで全体に明るく描かれていた。
その上で人を好きでいること、好きでいたことを、切なさもこめて。
松たか子、広瀬すず、森七菜がそれぞれの役を演じ分けてて、よかった -
冒頭「これは君の死から始まる物語だ」
末尾「お互いが等しく尊く輝いてたこの場所を」
去年、BSで観た映画をきっかけに『ラブレター』を読んだ。『ラストレター』も映画化するんだ、と思っていたら正月明けのブックオフで発見したので購入した。
主人公の乙坂鏡史郎は売れない小説家で、同窓会で昔の彼女に会えたら小説家を辞めようと出席する。するとそこには彼女の妹がいて彼女としてスピーチをしている。
姉を演じる妹からの一方的な手紙から物語が展開し、現在と過去、主人公たちの世代の話と彼女たちの子供の話と絡みながら進んでいく。ちょっと入り組んだ構造になってて混乱したときもあったけど面白く読めた。デジタル全盛の現代にあって、手紙がいい味を出してるのが面白い。
きっかけとなったのは24年ぶりの同窓会で、この作品が『ラブレター』から24年というのは偶然か。ラストには「続く」というような意味もあったなと思うと、ラストレターとはひょっとしたら最後の手紙じゃないかもしれないとこの後が気になった。 -
昨日小説を読み終わり、今日映画ラストレターを観ました。小説の方では乙坂視点で語られる感じが強くありましたが、映画では前半は裕里目線で、後半にかけて乙坂視点が強まっていく感じがして、小説と映画で味わい方が違うなぁとおもいました。小説の方では、乙坂の未咲への思いの強さがドラマチックな感じがあったけど、映画では固執というか、本当に囚われているって感じがしました。
未咲未咲って強調するからには未咲の名前になんか意味があるのか?乙坂が小説家として未だ咲かずという意味?なんて思ったり。
通勤のお供にと思って買ったら、スイスイ読める本でした。