- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167914110
作品紹介・あらすじ
「お金儲けは悪いことですか?」 2006年6月、ライブドア事件に絡みインサイダー取引を行った容疑で東京地検に逮捕され、のちに執行猶予つき有罪判決を受けた村上ファンドの村上世彰氏。逮捕間際に言ったその言葉が印象的だった。以後、表舞台から姿を消したが近年株式取引の世界に復帰。その動向が注目されている。 本書は、その村上氏の初の諸著であり、半生記であり、投資理念の解説書でもある。 灘高―東大法―通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何をしたのか。事件となったニッポン放送株買い占めにおいて、いったい何があったのか。彼の投資哲学、日本企業への見方はどうなのか。今後何をしようとしているのか。 嫌われ者を自認する村上氏が、その実像と思いを自らペンをとって書き上げた話題作。解説・池上彰
感想・レビュー・書評
-
めちゃくちゃ面白い本でした。
インサイダー取引で逮捕され、ハゲタカファンドと呼ばれ、著者に対してはいいイメージがありませんでしたが、事件の背景や自身の考え方などが赤裸々に書かれており、著者へのイメージが変わりました。
日本の社会制度や風土に馴染まないところがあったかもしれないですが、著者の考え方や事物の見方に賛同しましたー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020/05/22読了
もの言う株主として有名な村上世彰氏の
ルーツが書かれた1冊。
世の中では銭ゲバ投資家といった
悪いイメージを持った人が多いが、
一貫して「企業価値を高めること」を
重要視している。
投資家だけで無く、組織で働く人みんなに
読んでもらいたい。 -
ライヴドア事件の時のメディアからの叩かれ方は、鮮烈に印象に残っている。
ただその時は、ことの本質を全く理解してなかったとも言える。今ほんの少しだげだが投資の世界に片足を突っ込んでいて、村上さんの主張は少しだけ実感を伴って理解できる。にしても、なんであんな叩かれ方をしたのか。
日本にはまだまだ、汗水たらさないでお金を左から右に動かすだけで利益を上げることに、根強い抵抗がある様な気がする。お金は天下の回りものなので循環させないと意味ないのだが。
これを是正するには教育が必要なのは間違いないと思う。これも中々大変だろうな。
最後に、お嬢さんのくだりは強烈でした。この事だけでも色々考えさせられます。 -
「投資という観点から巷で言われる日本オワコン」という理由を考えさせられる作品。
個人的に内容はファイナンスや会計の基礎をかじっている方がより楽しめる。
おすすめは、簿記の基礎知識をつけ、ざっくりファイナンス、さおだけ屋はなぜ潰れないのかの二冊を読むとより深く理解できると思った。(Kindleunlimitedで全て無料)
要約
主張は一貫して、
コーポレートガバナンスを重視した経営を行うことで、経済の活性化が進む。というものであった。
前半
投資家としての人生に触れつつ、投資とは何か。株式会社は株主のもの。株式市場は会社の成長のためのシステム。という真っ当な事実を元に日本の上場企業が株主への利益還元を最優先すると言う本来あるべき形になっておらず、その結果経済の流動性が滞ってしまう。と語られている。
一方米国では、株主への利益還元を最優先にすることで更なる投資が生まれ、お金の流動性が高まり経済が活性化する。
中盤
コーポレートガバナンスを重要視すべきだ。と言う軸の下現在の有名企業の創設者とのエピソードや、ファンドを立ち上げ「もの言う株主」として健全な企業経営を促進すべく活動を行なっている話。
また、そういった中で投資家という視点から企業の経営コンサルを引き受け企業の価値を本来あるべき姿にし、健全な経済活動を行えるような体制を作り上げて行くという流れである。
後半
刑務所を出てからの、株式市場以外への投資活動について語られている。
NPOや介護事業、震災復興や飲食業、不動産投資など様々である。
感想
コーポレートガバナンスを重視することによって株式市場のお金の流動性が高まり経済活性化が進む、そうではなく安定を求めるなら上場廃止する方が良い。という話は大いに賛成できる部分であった。しかしながら、そういった理由から日系企業の内部留保が多いことを完全に否定して良いものではないと考える。なぜなら、日本は他国と比べて企業が従業員を簡単に切れないという事実があるからだ。
というのも数年単位で不況が訪れる現代社会において、他国に比べ人件費という固定費を簡単に削減できない日系企業は、内部にキャッシュを豊富に溜めることでそういった危機を回避する方法は合理的であると考えるからだ。
このように考えると、政治と経済は密接に結びついており一方を改善することで問題解決とはならない。日本の経済成長のためには投資よりも先に、前提となる政治制度を見直す必要があるだろう。
-
投資家村上世彰氏の投資家の信念を書いた本。村上ファンドのイメージは、ハゲタカファンドの如くイメージが極めて悪かったが、この本の内容や他の著書を読む限り、投資と言うものの本質を突き詰めて行動されていただけであると言う事がわかった気がする。村上氏のお金、投資に関する考え方について、もっと学んでみたい。
-
村上さんが投資を通して訴えかけてきた、コーポレートガバナンスがいかに大事か、なぜ経済成長に不可欠かを語っている。
昔、村上ファンド事件で逮捕されたことだけは知ってたけど、当時幼稚園〜小学生だったから詳しく知らないゆえ、先入観なしでシンプルに投資家の自著として読むことができた。そしてその信念の強さに圧倒された。
この人の考えが先端を行き過ぎてて、やっと今時代が追いついてきたように感じる。
小学生から株式投資して、生涯投資家はカッコよすぎる。 -
元村上ファンドの村上世彰氏の自叙伝。
ライブドア事件の回想でも書いてあれば、何か仕事の参考になることがあるかもしれんなあ、といった軽い気持ちで読み始めたが、最初から最後まで共感しかなかった。
なんというか、パーソナリティや文体も自分に近いものを感じて、親近感さえ感じてしまった。
スチュワードシップコードもコーポレートガバナンスコードも伊藤レポートも存在しなかった2000年代初頭では、村上氏のコーポレート・ガバナンスの考え方は早すぎたんだろう。
社会心理学に少数者影響理論あるいはマイノリティ・インパクトと言われる理論がある。
社会が同一性を保ちながらも変化していくのは、同一性を担う多数派に対し、変化を担う少数派がサブリミナルに影響を与えるから、という理論と認識している。
村上氏の早すぎたコーポレート・ガバナンスへの取り組みを読んで、そんな理論を思い出した。 -
村上ファンドが何で話題になっていたのかほとんど理解できていなかったので読み始めた。村上世彰氏が村上ファンドを創設するに至った経緯、コーポレート・ガバナンスをキーワードに投資案件を発掘するプロセス、経営者とのコミュニケーションの舞台裏等、村上ファンドが何をしていたのかがよく分かった。
筆者の半生の自伝とも言えるが、株主になることの根源的な意味を平易な言葉と簡単な数字で語っているので(個人投資家というよりは)ファンドマネージャーへの案内書としても読める。
官僚時代に形作られたコーポレート・ガバナンスの普及という大義名分やそれをファンド運用を通して実現しようとしたことはとても共感できた。
なお、ファンド運用の片隅にいる自分の感覚からしても「株主利益を最優先に」と繰り返す論調は極論に聞こえるし、これからの時代も多くの経営者の反発を買うメッセージだろうと思った。ただ、メッセージは一貫していて日本企業ひいては日本経済の構造的問題を詳らかにしているし、日本はどうすれば良いのだろうかという問いに対して一つの出発点を示していると思った。
同様に、日銀やGPIFの株式投資や郵政三事業の近年の動きに関する筆者の提言は「言うは易し」という印象はあるものの示唆深い。
図書館で借りたけど、買って手元に置いておくことにした。 -
毀誉褒貶が激しい人物ではあるものの、本書を読むと株式会社における資本と経営の分離という原則に基づき、著者が一貫してコーポレートガバナンスというものの重要性を訴え続けてきた、ということがよく理解できる。
もちろん、投資家サイドから見た経営サイドへの様々な要求は、一般論としては正しいにしても、実の経営においては多少ケースバイケースで判断されるべきものもある。例えば、成長投資に充てない現金は抱えるべきではなく資本効率を高めるために配当や自己株買いに回すべき、という考えは一般論としては同意するが、極めてボラティリティの高いビジネス(その典型はゲームやエンタメビジネスであろう)においては、多少の許容の余地はあっても良いように思う。
とはいいつつも、投資家の目線で株式会社の経営というものを考え、投資家が何を求めているのかを理解する上で、一読の価値は必ずある。読み物としても非常に面白い。 -
でも付き合いたくはないキャラだよな。