ネメシスの使者 (文春文庫 な 71-3)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914363

作品紹介・あらすじ

死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が殺される事件が起きた――。殺害現場に残された“ネメシス”のメッセージの謎とは?ネメシスとはギリシャ神話に登場する「義憤」の女神。事件は遺族による加害者への復讐か、はたまた司法制度へのテロか?ネメシスの真の狙いとはいったい……?ドンデン返しの帝王が本書で挑むのは「死刑制度」。『テミスの剣』の渡瀬刑事が追う社会派ミステリー最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 死刑判決を逃れた殺人犯の家族が殺される〜
    (殺人犯当人は、塀の中で手出し出来ない)
    これが、個人的な私怨なら、まだ良いが、何も関係ない人が正義の名を振りかざしてなら…
    誰が犯人かの特定は難しいし、特定しても、また、別の人がするってなると…
    これは、司法制度が!
    極刑=死刑ではないという考え方は一理あるのかもしれん。なら、終身刑というヤツになるのか。
    被害者からしたら、一瞬で終わる死刑より、一生続く終身刑の方が、加害者をより苦しむと…これには、人道的でないとかの批判もあるみたいやけど、賛成反対言ってる人に、自身が被害者の人がいてるんか?
    改善はされて来てるんやろうけど、加害者の権利ばかりが守られるのはねぇ…
    でも、加害者の家族は守ってあげて欲しい。
    守るべき人は守って〜

    今回も色んなシリーズで常連さんの渡瀬警部、岬検事と活躍してる。岬検事は大丈夫かと心配になる。
    相変わらずの大どんでん返しは、そう来るか!
    う〜ん…やっぱり、岬検事が心配や〜

    楽しませて貰いました(^_^)v

  • テーマは死刑制度
    死刑と無期懲役、日本の司法制度と被害者の想い、怒り、執念が深く語られた骨太の社会派ミステリー
    このメッセージはぐっと心に刺さります。この手の物語は大好きです。

    ストーリとしては
    死刑相当の凶行を行いながらも、死刑判決を免れた殺人犯の家族が次々と殺される事件が発生。現場には「ネメシス」の血文字のメッセージ。

    岬次席検事と渡瀬がその事件の捜査にあたります。

    被害者による復讐なのか?
    司法に不満を持つ人間のテロなのか?
    ネメシスは誰なのか?

    犯人は意外な人物なわけですが、そこで終わらないところが深い

    死刑制度について考えさせられる物語です

    とってもお勧め

  • だいどんでん返しくるとはわかっていたのですが、見事。読みながら予想していた人ではなかったです。

  • なんとも言えない感情になるテーマだった。
    犯人のやり遂げる覚悟がものすごい。
    でも日本は加害者に甘く、被害者に塩を塗る国だなぁとしみじみ思う。
    被害者家族の悲しみははかりしれず。
    問題は加害者家族。
    自分は確かに悪い事してない。
    でも家族が殺人を犯したら…
    世間は普通に生活することを許してくれないんだよねぇ。
    もう、本当に難しい!!
    胸が苦しくなりながらそうだよねぇ、と思いながら読んだ。

    渡瀬刑事シリーズは続くのかな。
    続き楽しみにしています★

  • 「連続殺人鬼カエル男」シリーズで著者の作品と出会い本作が3冊目の読了となりました。

    社会派ミステリーの醍醐味を堪能することが出来ました。

    社会派:死刑判決を免れた殺人犯。
    「死刑制度」自体に斬り込んだテーマであり、司法という権力に潜む闇に焦点を当てた作品。

    ミステリー:どんでん返し。
    まさかまさかのどんでん返しが待っていましました。



    説明
    内容紹介
    死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が殺される事件が起きた――。

    殺害現場に残された“ネメシス”のメッセージの謎とは?
    ネメシスとはギリシャ神話に登場する「義憤」の女神。

    事件は遺族による加害者への復讐か、
    はたまた司法制度へのテロか?
    ネメシスの真の狙いとはいったい……?

    ドンデン返しの帝王が本書で挑むのは「死刑制度」。
    『テミスの剣』の渡瀬刑事が追う社会派ミステリー最新作。

    内容(「BOOK」データベースより)
    死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が、次々に殺される事件が起きた―。現場に残されていたのは、ギリシア神話に登場する「義憤」の女神を意味する「ネメシス」という血文字。事件は遺族による加害者家族への復讐か、それとも司法に対する挑戦か?司法システムと死刑制度を正面から取り上げた社会派ミステリ。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    中山/七里
    1961(昭和36)年、岐阜県生まれ。会社員生活のかたわら、2009年、『さよならドビュッシー』で、第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 義憤・復讐を司るというギリシャ神話の女神〈ネメシス〉。

    死刑となるはずの極悪な殺人犯が、〈温情判事〉によって懲役刑へと減刑されていく。残された遺族は悲憤を募らせるが、犯人は塀の中に居て手出し出来ない。しかも、彼らの人格には根本的な問題があるため、服役しても更正は到底見込めない。

    そんな受刑者の家族達が(受刑者と同じ犯行手口で)殺害され、現場に〈ネメシス〉の血文字が残される、という事件が連続する。司法システムに対するテロリズムと騒ぎ慌てる法務省・検察幹部。果たして、〈ネメシス〉は被害者家族の復讐劇なのか、義憤に駆られた第3者の犯行なのか。渡瀬警部と岬次席検事がタッグを組んで真相に迫る。

    「死刑」の是非、という問題を扱った重めの司法小説。死刑を出し渋る裁判所、死刑執行を躊躇する法務大臣の背景には、冤罪事件の存在がある。司法の存在意義・役割を問い直すという意味からも、本作は冤罪事件の扱った「テミスの剣」と対を成す作品だ。

    意外なオチは全く予想出来なかった。「テミスの剣」同様、深みのある作品だった。

  • 「ネメシスの使者」中山七里さん

    1.まとめ
    問題提起 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    テンポ  ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
    ミステリー⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    2.ネメシスの使者 概要。
    第一、第二の殺人事件が起きます。
    共通点は、被害者が過去の殺人事件の犯人/加害者家族であること、さらに現場に「ネメシス」なる血痕が残されていたこと。

    ネメシスの語源は「義憤」です。

    犯人は、過去の被害者/遺族の仇討ちが目的なのか?はたまた、その他が動機なのか?

    警察そして検察側が調査を同時進行します。

    2.ネメシスの使者。問題提起とは?
    下記の視点です。
    ①事件の被害者遺族、加害者家族の視点。
    ②死刑、無期懲役の刑罰。

    ゆえに、ひとくちに、ミステリー、また、大どんでん返しの展開のみで総括するには、惜しすぎる小説かもしれません。

    3.ネメシスの使者より
    「人が住む世界の規範は一朝一夕には変わらない。
     歪んだ悦び、不健全な主義主張もいっときは
     もてはやせれる。
     しかし、やがて駆逐され、唾棄され歴史の中に
     消えていく。」


  • 久しぶりの中山七里さん。
    …ラストになって、あぁ!中山七里さんはこうだった!と嬉しくなってワクワクしながら読んだ。
    登場人物も懐かしい名前がいくつも。

    死刑の是非をテーマにした本は色々あるけど、どんな切り口からでも難しい。結局、誰も犯罪を犯さなければいいんだけど、それこそ絵空事。

  • 『テミスの剣』続編。

    女性2人の通り魔殺人を犯しながら、無期懲役となった軽部亮一の母親が惨殺された…
    現場に残された『ネメシス』…

    埼玉県警捜査1課・渡瀬は捜査を進めるが、犯人の手がかりすらつかめない…

    そんな中、ストーカー殺人を犯しながら、同じく無期懲役となった二宮圭吾の父も惨殺され、現場には『ネメシス』と…

    加害者家族を狙った復讐なのか…

    最後の最後まで、犯人の姿が見えない、
    え、なぜ、そんなにあっさりと…
    渋沢判事の案件ではないのでは⁇
    本当の目的はそうだったのか…
    長くて、手間のかかる復讐劇だった…

    死刑は廃止されるべきなんだろうか…
    死刑を廃止するなら、終身刑とするべきではないだろうか。
    無期懲役といっても、模範囚となれば、有期で出所できるわけで…
    再犯の可能性を考えると、殺人のような重大な犯罪は終身刑とするべきであろう。

    被害者家族からすると、死刑は当然である。
    ましてや無期懲役で、模範囚でとなれば…
    やりきれない。

    死刑制度について、深く考えさせられる。

  • またも、どんでん返しの仕掛けがあった!
    犯人が捕まったのに、まだ頁が残っている。何かと思っていたら、もうひとひねりが待っていた。さすが、「どんでん返しの帝王」。
    死刑制度の是非を問うとともに、加害者家族、被害者家族の問題にも焦点を当てた社会派ミステリー。
    特にネット社会での匿名性は、加害者家族への正義感ぶった攻撃が先鋭化する。
    そんな世論を味方につけた今回の犯罪=犯人にとって「神聖な犯罪」の裏の仕掛けに、あの渡瀬警部も乗せられてしまったか。
    それでもぶれずに、犯人の意図を見抜いた炯眼に渡瀬の逞しさを感じる。岬検事との絡みも楽しく、中山七里ミステリーを堪能できた。
    一方で最後、渡瀬と裁判官とが相対する場面での死刑と懲役刑との軽重問題は、読者にも突き付けられたテーマだろう。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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