- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167914363
作品紹介・あらすじ
死刑判決を免れた殺人犯たちの家族が殺される事件が起きた――。殺害現場に残された“ネメシス”のメッセージの謎とは?ネメシスとはギリシャ神話に登場する「義憤」の女神。事件は遺族による加害者への復讐か、はたまた司法制度へのテロか?ネメシスの真の狙いとはいったい……?ドンデン返しの帝王が本書で挑むのは「死刑制度」。『テミスの剣』の渡瀬刑事が追う社会派ミステリー最新作。
感想・レビュー・書評
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死刑判決を逃れた殺人犯の家族が殺される〜
(殺人犯当人は、塀の中で手出し出来ない)
これが、個人的な私怨なら、まだ良いが、何も関係ない人が正義の名を振りかざしてなら…
誰が犯人かの特定は難しいし、特定しても、また、別の人がするってなると…
これは、司法制度が!
極刑=死刑ではないという考え方は一理あるのかもしれん。なら、終身刑というヤツになるのか。
被害者からしたら、一瞬で終わる死刑より、一生続く終身刑の方が、加害者をより苦しむと…これには、人道的でないとかの批判もあるみたいやけど、賛成反対言ってる人に、自身が被害者の人がいてるんか?
改善はされて来てるんやろうけど、加害者の権利ばかりが守られるのはねぇ…
でも、加害者の家族は守ってあげて欲しい。
守るべき人は守って〜
今回も色んなシリーズで常連さんの渡瀬警部、岬検事と活躍してる。岬検事は大丈夫かと心配になる。
相変わらずの大どんでん返しは、そう来るか!
う〜ん…やっぱり、岬検事が心配や〜
楽しませて貰いました(^_^)v詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
テーマは死刑制度
死刑と無期懲役、日本の司法制度と被害者の想い、怒り、執念が深く語られた骨太の社会派ミステリー
このメッセージはぐっと心に刺さります。この手の物語は大好きです。
ストーリとしては
死刑相当の凶行を行いながらも、死刑判決を免れた殺人犯の家族が次々と殺される事件が発生。現場には「ネメシス」の血文字のメッセージ。
岬次席検事と渡瀬がその事件の捜査にあたります。
被害者による復讐なのか?
司法に不満を持つ人間のテロなのか?
ネメシスは誰なのか?
犯人は意外な人物なわけですが、そこで終わらないところが深い
死刑制度について考えさせられる物語です
とってもお勧め -
だいどんでん返しくるとはわかっていたのですが、見事。読みながら予想していた人ではなかったです。
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なんとも言えない感情になるテーマだった。
犯人のやり遂げる覚悟がものすごい。
でも日本は加害者に甘く、被害者に塩を塗る国だなぁとしみじみ思う。
被害者家族の悲しみははかりしれず。
問題は加害者家族。
自分は確かに悪い事してない。
でも家族が殺人を犯したら…
世間は普通に生活することを許してくれないんだよねぇ。
もう、本当に難しい!!
胸が苦しくなりながらそうだよねぇ、と思いながら読んだ。
渡瀬刑事シリーズは続くのかな。
続き楽しみにしています★ -
義憤・復讐を司るというギリシャ神話の女神〈ネメシス〉。
死刑となるはずの極悪な殺人犯が、〈温情判事〉によって懲役刑へと減刑されていく。残された遺族は悲憤を募らせるが、犯人は塀の中に居て手出し出来ない。しかも、彼らの人格には根本的な問題があるため、服役しても更正は到底見込めない。
そんな受刑者の家族達が(受刑者と同じ犯行手口で)殺害され、現場に〈ネメシス〉の血文字が残される、という事件が連続する。司法システムに対するテロリズムと騒ぎ慌てる法務省・検察幹部。果たして、〈ネメシス〉は被害者家族の復讐劇なのか、義憤に駆られた第3者の犯行なのか。渡瀬警部と岬次席検事がタッグを組んで真相に迫る。
「死刑」の是非、という問題を扱った重めの司法小説。死刑を出し渋る裁判所、死刑執行を躊躇する法務大臣の背景には、冤罪事件の存在がある。司法の存在意義・役割を問い直すという意味からも、本作は冤罪事件の扱った「テミスの剣」と対を成す作品だ。
意外なオチは全く予想出来なかった。「テミスの剣」同様、深みのある作品だった。 -
「ネメシスの使者」中山七里さん
1.まとめ
問題提起 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
テンポ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ミステリー⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
2.ネメシスの使者 概要。
第一、第二の殺人事件が起きます。
共通点は、被害者が過去の殺人事件の犯人/加害者家族であること、さらに現場に「ネメシス」なる血痕が残されていたこと。
ネメシスの語源は「義憤」です。
犯人は、過去の被害者/遺族の仇討ちが目的なのか?はたまた、その他が動機なのか?
警察そして検察側が調査を同時進行します。
2.ネメシスの使者。問題提起とは?
下記の視点です。
①事件の被害者遺族、加害者家族の視点。
②死刑、無期懲役の刑罰。
ゆえに、ひとくちに、ミステリー、また、大どんでん返しの展開のみで総括するには、惜しすぎる小説かもしれません。
3.ネメシスの使者より
「人が住む世界の規範は一朝一夕には変わらない。
歪んだ悦び、不健全な主義主張もいっときは
もてはやせれる。
しかし、やがて駆逐され、唾棄され歴史の中に
消えていく。」
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久しぶりの中山七里さん。
…ラストになって、あぁ!中山七里さんはこうだった!と嬉しくなってワクワクしながら読んだ。
登場人物も懐かしい名前がいくつも。
死刑の是非をテーマにした本は色々あるけど、どんな切り口からでも難しい。結局、誰も犯罪を犯さなければいいんだけど、それこそ絵空事。 -
『テミスの剣』続編。
女性2人の通り魔殺人を犯しながら、無期懲役となった軽部亮一の母親が惨殺された…
現場に残された『ネメシス』…
埼玉県警捜査1課・渡瀬は捜査を進めるが、犯人の手がかりすらつかめない…
そんな中、ストーカー殺人を犯しながら、同じく無期懲役となった二宮圭吾の父も惨殺され、現場には『ネメシス』と…
加害者家族を狙った復讐なのか…
最後の最後まで、犯人の姿が見えない、
え、なぜ、そんなにあっさりと…
渋沢判事の案件ではないのでは⁇
本当の目的はそうだったのか…
長くて、手間のかかる復讐劇だった…
死刑は廃止されるべきなんだろうか…
死刑を廃止するなら、終身刑とするべきではないだろうか。
無期懲役といっても、模範囚となれば、有期で出所できるわけで…
再犯の可能性を考えると、殺人のような重大な犯罪は終身刑とするべきであろう。
被害者家族からすると、死刑は当然である。
ましてや無期懲役で、模範囚でとなれば…
やりきれない。
死刑制度について、深く考えさせられる。
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またも、どんでん返しの仕掛けがあった!
犯人が捕まったのに、まだ頁が残っている。何かと思っていたら、もうひとひねりが待っていた。さすが、「どんでん返しの帝王」。
死刑制度の是非を問うとともに、加害者家族、被害者家族の問題にも焦点を当てた社会派ミステリー。
特にネット社会での匿名性は、加害者家族への正義感ぶった攻撃が先鋭化する。
そんな世論を味方につけた今回の犯罪=犯人にとって「神聖な犯罪」の裏の仕掛けに、あの渡瀬警部も乗せられてしまったか。
それでもぶれずに、犯人の意図を見抜いた炯眼に渡瀬の逞しさを感じる。岬検事との絡みも楽しく、中山七里ミステリーを堪能できた。
一方で最後、渡瀬と裁判官とが相対する場面での死刑と懲役刑との軽重問題は、読者にも突き付けられたテーマだろう。