下着の捨てどき (文春文庫 ひ 20-12)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167916473

感想・レビュー・書評

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  • 私も50代に入り、こんなはずじゃなかった、と思うことが多くなってきた。
    若い頃は目を背けて済ませられたことも、中年ともなると否応なしに前面に出てきて、啞然とさせられることしばしば。
    平松洋子さんの所謂”しょっぱい現実”を読みながら、自分の”しょっぱい現実”と比べてみる。私から見れば平松さんには気持ちの余裕が感じられるけれど、この気持ちの余裕がこの先を生きていく上できっと大事なんだろうな。
    オススメの塩豆腐はぜひ作ってみたい。

    自分の目前に立ちはだかるのは、自分自身の老いの現実。老眼、白髪、皺、しみ、たるみ…書き出すと止まらない老いのオンパレードに、もはやため息しか出ない。
    そして老親の介護、看取り、相続、家の始末と課題も山積。
    考え出すと滅入るばかりの中にあって、少しずつでも楽しみを見つけていけたら。
    自分の老いと向き合いつつ身辺整理を試みながら、もう少しがんばってみようか、そんな気持ちを蘇られせてくれるエッセイだった。

  • 難しいのに一大事な眉毛、鏡につけた拡大鏡。平松さんは、いつも見て見ぬふりしているところにちゃんと向き合っている。時折登場するレシピもいい。電車に乗って旅するお囃子や、本や映画のお話もよかった。こんなふうに日常をなんとかやりすごしている人はすごいと思う。

  • じっくり味わうように読んだ。
    チンチン電車の話や、本と映画とうまいもんの話が大好き。手元に置いてまた読みたい。

  • 子育て中は目の前のことで必死で、このイバラを抜けたら自分の前に立ちはだかっているのは、自分自身だった。

    っていう。著者の言葉。

    こわっ。自分の前に立ちはだかる自分自身。
    ただ、薄々感じてはいる。20代の頃のようにはいかない体と、写真に写れば写るほど老いる自分。笑
    わかってはいるけどここまでか!!!!って思うのは毎年更新記録達成。笑笑
    そんなふうに思いつつ読むと、あーなんかわかる時がきそうだし、すでにわかる気もするものも。

    そして、この方の描き方がなんだかスッキリとしいて、困ったことや、立ち止まったこと、ちょっぴりだけ寂しくなったり、悲しかったことが、ラムネの瓶越しに見てるような、薄いブルーのスッキリとした景色で。

    読んでて、くぁーってなる。飲んだ後のくぁー、ってきもちになる。笑
    すごく上手く日常の些細なこと、こんなスッキリ語れるなんて、悪魔に魂売り渡した人だな。と。おもってしまいます。

  • 軽やかで楽しくて気づきも多くて最高。
    やっぱり平松洋子さんだぁ。

    同じ人生でも、平松さんみたいな文章に書きつけて行くような気分で過ごしたら、振り返ったときの色合いがぐんと明るくなりそう。

  • 日常の中にある些細な出来事、感じること。誰もがふと思ったり感じたりすることはあるが、それを文章にすることはない。しかし、文筆家平松洋子の筆にかかるとさもない出来事が、読むものに共感をよぶ文章になる。
    いつもながらの男前な文章、キレがあり、リズミカルな文章で私を平松ワールドへ誘ってくれる。同年代ということもあるからか、若い頃観た映画、食べ物、お店、料理、日常の家事に思うこと、など「そうそう、そんな感じだった」と相槌を打ちたくなる。言葉の多彩さ、感性の鋭さを感じる。

  • 平松洋子さん初読み。食と暮らしのエッセイ。タイトルに惹かれて手にしたんだけれど、その表題作はいまいち響かなかった。「夏のひとりごと」は本当に独り言っぽく、夏の身辺雑記で他のエッセイと毛色が違ってよかった。特に目新しい文章や題材はなかったけれどそれはそれで味わいとする。

  • 気取らず肩肘はらず。好きなものを好きと語り、愛しいものを愛しいと語る平松さんのエッセイは、雑事におわれてささくれだった心に沁みる。年を取ることを恐れず、変化を恐れず、日々を楽しむ。そんなポジティブな気持ちを気づかせてくれる。喫茶店が「町の止まり木」だって言ってみたり「八月の午睡は、そのものが夢のなかのできごとみたいだから」っていうその心持ちが好きだ。

  • 読みやすくサラサラと読めた。
    共感する部分もあったり無かったり。

  • 平松洋子さんは、やっぱり食べ物エッセイが好きかなあ。
    神保町の過ごし方は超共感。

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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