御留山 新・酔いどれ小籐次(二十五) (文春文庫 さ 63-25)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919146

作品紹介・あらすじ

先祖の暮らした豊後森藩の地についに降り立った小籐次と息子の駿太郎。
地元の美味と、湧き出る豊かな湯、野湯と風景を味わいつつも、
特産の明礬を利用して権力を増大する国家老一派と、対抗する一派の
不穏な事情を知り、心は晴れない。

一方、山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。
もしや赤目一族と繋がりが? 

そんな中、藩主・久留島通嘉から小籐次に呼び出しが。
「明朝、角牟礼山本丸で待つ」—-
ついに、藩主・久留島通嘉が、江戸から小籐次を連れてきた本当の目的が明かされる。
そして、赤目小籐次一家の帰りを待ちわびる江戸の人々も、
ある計画を進めていた。

『御鑓拝借』から始まった物語が見事ここに完結!


巻末付録「森藩・玖珠山中をゆく~その時、小籐次の背中が見えた」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年2月から始まったシリーズが完結します。

    酔いどれ小籐次こと来島水軍流の達人である赤目小籐次と、嫡男の駿太郎との活躍の物語です。小籐次は、小籐次を襲った刺客の須藤平八郎から「それがしが身まかった場合、この赤子を赤目様の子として育ててくれ」と託された乳飲み子の駿太郎を我が子として育て、来島水軍流の剣術を教え、どこに出しても恥ずかしくない男子として育て上げました。

    豊後森藩主、久留島通嘉(みちひろ)が江戸城で大名四家から城なし大名と蔑まれて、下屋敷の厩番であった赤目小籐次が、大名四家の行列から御鑓先を斬った「御鑓拝借」騒動から始まった「酔いどれ小籐次」の物語も。
    最後は、小籐次親子と一緒に参勤交代で九州の豊後玖珠郡森へ帰って来た藩主が、小籐次に見せたものは、幕府の許しもなく秘かに陣屋(城のない小大名は、城の変わり)の背後の御留山に長年かけて作ってきた城であった。

    そして、それを助けたのが長崎での抜け荷などで巨万の富を手に入れ、国元豊後森では藩主以上の実権を持つ国家老の嶋内主石(しゅせき)であった。このまま行けば藩は改易、藩主久留島通嘉は切腹となるため。
    小籐次は、巨悪の国家老の嶋内主石を山奥の寺へ僧侶として出家させ、藩主に城を破却させることを決断させます。そして小籐次親子は、豊後森での仕事を終えて一路江戸へ向かいます。

    【読後】
    2004年2月から始まったシリーズも44冊で終わります。最初の一冊を読んだのが昨日の事のように思い出されます。展開も早く、テンポもよく、字も大きく、読みやすい物語でした。終わると寂しくなります。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    酔いどれ小籐次シリーズの44作目《完》
    御留山 ー 新・酔いどれ小籐次シリーズ(第二期)25作目
    2022.08発行。字の大きさは…大。2022.09.24~25読了。★★★☆☆
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 旧シリーズ19、新シリーズ25、スピンオフ1の45冊で完結。新シリーズは息子の駿太郎が主に闘うスタイルとなっていた。最後の3冊は元主君の久留島道嘉に頼まれての豊後森藩への随行だったが、行く理由が明かされずモヤモヤしたままだった。国家老一派との、これまたモヤモヤした対立で、国家老一派の掃討が目的かとも思ったが違ったようだ。
    久留島道嘉をWikiで調べると、豊後の三島神社を小城さながらの壮大に整備したとある。文中にも三島神社が出てくるが、表題の「御留山」として厳重に管理されている昔の山城が出てくる。
    小籐次の出発点は元主君の「城が欲しい」ということだった。この望みが完結編で出てくるとは・・
    最後の闘いは、このシリーズ後半と同様に穏やかな斬り合い。作者も80才。斬り合いのパワーが落ちたのか、円熟したと呼ぶべきか、淋しい。

  • 2022年8月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ25作目にして最終巻。森藩の殿様の真意が明らかに。ちょっとした驚きでしたが、まぁそんなもんなのかなぁとも。長いお話もようやくお仕舞いとなりました。佐伯さんお疲れさまでした。

  • 新・酔いどれ小籐次シリーズ最終巻。3冊かけて森藩の絡みの物語であったが、正直今一つ乗り切れなかった。森藩への同行の目的がはっきりしないまま最終巻の半ばまで進んでいくので、モヤモヤが晴れないのだ。そのうえ殿様の願いが「あれ」では、ちょっと。剣戟シーンもほとんどなく、剣舞の奉納ばかりしている。照振町物のように人情物に重点を置いた方が面白いのではと思ってしまう。いずれにしても本巻で大団円を迎えた。長いシリーズであったが、育てたキャラクターに支え、全体としてみれば面白いシリーズであった。

  • 最終話に相応しく読み応えがあり。来島村上海賊が陸に上がって海を捨て、字を替えての久留島家。厩番赤目小藤次の出自が剣技からしてその来島村上海賊に関わりあるだろう話は興味深く、もう少しエピソードが欲しかったなあ
    今回は思わず地図を開きました。時代劇の本には地図も付けて欲しい。などと思っていたら、あとがきがまさかの現代の角埋山訪問レポートでした

  • これで最後か、寂しい。
    途中、不安になる展開もあったけど、おさまるところにおさまりましたね。

  • 新・酔いどれ小藤次シリーズ最終巻、完結。

    あの『御槍拝借』の事件の元となった控えの間の騒動。
    森藩、藩主の城を持ちたいと言う願望は潰えルコとなく、今の今まで続いていたのだった。

    藩領を海から山へと配置換えがあった当時からお留山と呼ばれ、維持管理だけが許されていた場所に、藩主廃止を積み上げ城の基盤を作っていた。
    その出費を贖おうと、国家老は御法度の密輸入をしてた大な財産を作り、もはや藩の中で、どちらが藩主だかわからない横暴を重ねていた。

    その改革。そして藩主を説き伏せ城を断念させる。


    最後の大きなご奉公を成し遂げ、江戸に戻り新兵衛の弔いをする大円団。

  • 最終巻

  • 誰もが想像しないような、体型と風貌の持ち主が、主従関係や武士の心構えなどを持ち、活躍する姿が、好きで、10年余りこのシリーズのファンであった。
    どの本も、サクサク読めたのは、作者
    佐伯泰英氏の執筆の上手さであろう。

    結婚相手に普通は 4Kを考える昨今、 おりょうさんという、才色兼備で素晴らしい相手と一緒になり、僅かな賃金の研ぎ屋で、立派な住まいに居ながらも、貧しい長屋の人々との交流も絶たずに、人間関係をつなげているのに、日本人として、好感が持てるからかも知れない。

    酔いどれ小籐次に続き、今回の新酔いどれシリーズも完結になるのだが……
    やはり、最初の「御遣拝借」で、殿様の悔しさは、城を持てない事の無念さが、尾を引いている。
    藩主が、御留山に城を造りたかったのも判る気がするが、お家断絶になるかも知れないのでは、賛成はできかねないだろう。
    小籐次に依頼をするのは、お門違いである。
    ならぬものはならぬ!である。

    その小籐次も、今まで考えても無かった血筋なるものを、息子に伝える。
    新しい娘三枝薫子をも養女にするのだが、よく考えると、この家族は、誰もが、血が、繋がっていない。 
    昔は、血縁関係で、身内の繋がりを深め、権力も、強めて行ったのだが、そんな思いも無く、家族の温かい愛情が、この絆を深めている事に、なぜか嬉しく思う。
    そして、剣の舞の凄さも、披露する格好良さも、武士道なる神髄を見るようであった。
    最後は、駆け足のように終わってしまった感があったけど、このシリーズは、楽しく読み終えた。

  • 2013年にNHKで放送された竹中直人主演のドラマを見て読み始めたシリーズ。それ以前に発刊されていた19巻+スピンオフ1巻からこの新シリーズ25巻の最終巻。合計45巻をほぼ10年掛けて読み終わった。最初の巻の発行は2004年なので、約18年半続いたシリーズ。佐伯さん、お疲れ様でした。最終巻は案外淡々と進んだ感じ。まあ、終わりに相応しいかな?

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著者プロフィール

佐伯 泰英(さえき やすひで)
1942年福岡県北九州市八幡西区生まれの小説家、写真家。日本大学藝術学部映画学科卒。当初は冒険小説や国際謀略小説を中心としたミステリー小説を執筆していたがヒットに恵まれず、編集者からの勧告に従って時代小説家に転身。初の書き下ろし時代小説『瑠璃の寺』がヒットし、以後作家活動は軌道に乗っていった。
代表作として、『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』のタイトルでドラマ化された『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズ、『吉原裏同心』シリーズなど。

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