大名倒産 上 (文春文庫 あ 39-20)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919283

作品紹介・あらすじ

260年の泰平の間に、積もり積もった借金はなんと25万両!
この世のものとは思えぬ負債を知った長男はショックで急死してしまった。
丹生山松平家12代当主は、次男三男を飛び越えて庶子の
四男・小四郎に後を継がせて隠居すると、
ひそかに「大名倒産」の準備を進め……

何も知らずに大名家の家督を継いでしまった21歳の
小四郎、糞がつくほどの真面目さ誠実さを武器に
なんとか倒産を防ごうと必死の「経営再建」に乗り出すが。

参勤行列を整える金にも困窮つつ
三万石の御領国・丹生山へ初のお国入りをした小四郎は
倹約また倹約、殖産産業の鮭の養殖、国家老も商人も巻き込んで
なりふり構わぬ金策。しかし焼け石に水…
健気な若殿の大逆転はなるのか。

万策尽きた時、人の世を眺めていた七福神たちが動き出す⁉

<逃げ切りを目指す親世代ⅤS巨大な負債を押し付けられた若者>

笑いと涙がてんこ盛りの豪華エンターテインメント!!


巻末対談 浅田次郎×磯田道史 

感想・レビュー・書評

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  • 義母本。
    浅田次郎を初めて読む。
    ときどき つっかえるも、さすがの読みやすさ。
    主人公の若殿の、背筋がピンとのびた感じがいい。
    それだけが取り柄の彼を、担ぎすぎな気がしないでもないが。
    そして何よりも、鮭の守(かみ)が面白すぎる。
    下手なグルメものより、よっぽど食欲をそそられた。

  • 義母から借りたシリーズ3作品目。
    江戸時代の話だから難しいと思ったら、面白くてさらさらと読めてしまった。

    江戸時代の武士にはよく分からないしきたりや決まり事が多かったことが分かりました。武士はお金のことに関わっちゃいけないとか、殿様への挨拶の仕方とか色々決まってて大変そうでした。

    それにしても小四郎がちょっと可哀想。どうにか立て直してほしいと応援したくなる。ご隠居にも考えがあるのかもしれないけど、やっぱり小四郎が不憫で肩を持ちたくなる。

    そして小池越中守めっちゃ良い人!鮭に目がないのもなんか可愛い。笑
    これからも越中守が小四郎のことを助けてくれるといいな。下巻も読んでみよう。

  • とっても面白い!
    文字数は多くてもすごく読みやすいのでページをめくる手が止まらない。
    真面目な問題にもコミカルな表現で笑わせてくるし、かと思えばいきなりしんみりさせられる。
    上巻ではまだ問題解決にはほど遠いけれど、下巻でどうなねぇるのか楽しみ!

  • 楽しい

  • 悪い親父だな〜(怒)
    こんな悪だくみで家督を継がされたんじゃ
    たまったもんじゃござんせん。
    越後の小藩の四男坊・小四郎、受難。

    貯蓄がないならないで
    倹しく暮らせばいいとも言えないのが
    大名のつらいところ…参勤交代もあるしね。

    最初は頭を抱えるだけだった小四郎が
    古狸たちからノラクラかわされてるうちに
    だんだん腹立ってきて
    本気で借金返したろう!と思う気持ちが
    よ〜くわかります(T ^ T)

    諸事情により跡目を継げなかった
    次男・三男が、いい味のキャラで。
    問題も多いけど、心根が温かいっていうか。
    彼らの存在が支えになった気がする。

    『武士の家計簿』ともまた違う展開で
    知恵はこうして働かすものなのかと
    上下巻なかなかに楽しませていただきました。

  • 貧乏を絵に描いた様な越後3万石の藩内で、新しく藩主になった小四郎。前藩主はあまりの借金に藩を計画倒産させることで、現状を打破しようとしますが、クソ真面目な小四郎は、倒産そのものを回避しようとする。

    小四郎の人柄が、兄の祝儀を良い方向に運んだり、参勤交代の行列でも、兄の妻の実家が助けに入ったりと、危機を回避していく。
    信念があり謙虚なひとの元には、人が寄ってくるのですね。

    上杉鷹山の藩政改革を思い出しますが、改革は内部の人間では、上手くいかないのだなと改めて思いました。
    下巻も気になりますが、貧乏神や仏様も登場したりと、どのように危機をくぐり抜けていくのか楽しみです。

  • 主人公は殿様の庶子として生まれた松平小四郎。
    9歳になるまで顔を見たこともない実父より、実直で愛情深い育ての親を慕っているが、急遽家督を継ぐことになった21歳。
    小四郎には兄が三人いたので、当然家督を継ぐなんてことは誰も考えてもいなかったが、長男の急死、次男のうつけ、三男の病弱ということからそういう流れになったのだ。

    しかしそこには裏があった。
    先代の殿、つまり小四郎の実父は、借金まみれで身動きの取れなくなった藩を倒産させ、その責めを小四郎に負わせ(つまり切腹)て、なんとか生き延びようと裏で画策しているのだ。
    頭が切れて人情味などの持ち合わせのない先代と真面目で誠実だけが取り柄の凡庸な跡継ぎの、藩の経営をめぐる戦いが始まる。

    これは普通に考えれば、凡庸な若造に勝ち目はないけれども、物語的にはいろいろ考えられるよねえ。
    私も、小四郎の人柄にほれ込んだ人たちが力になり、先代一味をコテンパンにするのではないかと思いながら読んでいた。

    ま、阿呆な次兄の正妻の父なんかも、旗本中の旗本という役職もキャラクターも強烈な人物も、気がつけば貧乏で真面目しか取り柄のない小四郎の力になってくれたりする(ちょっと迷惑)し、他藩の勘定役だった人物も支えてくれはする。

    が、どうもそれだけではない。
    藩に取りついていたはずの貧乏神が不本意ながら小四郎たちのために七福神を呼んだり、何なら仁王様(いえ、仁王丸です)までも味方になるのか?
    小四郎チートじゃん。

    いやいや浅田次郎だもの。
    まだ上巻。
    結果はハッピーエンドとしても、まだまだ二転三転するはずだ。
    映画化のこと知らないで借りてきたので、予約が増える前にさっさと下も読みたい。

  • 溜まりに溜まった負債をどうするか…時代は違えど、今もよくありそうな話。事情を知らず、お家を継いでしまったお殿様の実直な人柄もあり、ついつい応援しながら読み進めた。
    途中から貧乏神やら、薬師如来やら、この世のものではないものも登場。どうなっていくのか続きが気になります

  • 普通の時代小説かと思いきや、そこは浅田次郎作品。そこかしこに笑いあり、たまに涙あり、ついでに貧乏神も登場するという、単なる時代小説ではない、読み応えたっぷりの作品。
    自藩の財政立て直しを必死に図る主人公、その父親で計画倒産を密かに企み、全てを息子に押し付けようとするご隠居。この善と悪の構図に、様々な個性豊かな人物や、本当に臭ってきそうな神様までからんできて、どうおさまるのか、とにかく続きが気になる!
    下巻が楽しみ。

  • 私が浅田次郎作品で好きなのは「プリズンホテル」「きんぴか」である。
    すなわち、本作は「そっち系」の時代小説だ。笑いあり、人情あり、企みあり、ついでに貧乏神付きである。
    この貧乏神がお気に入りである。さても、下巻に何をやってくれるのか楽しみである。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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