Iの悲劇 (文春文庫 よ 29-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919313

作品紹介・あらすじ

Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、
過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。

無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を
再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。

市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、
課長の西野も新人の観山もやる気なし。

しかも、公募で集まってきた定住希望者たちは、
次々とトラブルに見舞われ、
一人また一人と簑石を去って行き……。

直木賞作家・米澤穂信がおくる極上のミステリ悲喜劇。

解説・篠田節子

感想・レビュー・書評

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  • 米澤穂信作品でタイトルに「悲劇」(『Yの悲劇』のオマージュかな)。やや身構えて読み始めるも肩透かしを食らう恰好となった。

    市役所職員が謎というか軽い事件を解決するミステリ仕立ての連作短篇なのだが、終盤まで特に山場がなく正直すこし退屈ともいえる展開。

    しかし、最終的に全て持っていくところが米澤さんの凄みで、やはり面白いなと。
    この終わり方をされるとまた別作品を読んでみたいと思わされる。

  • 過疎地域の再生プロジェクトで起こる様々な事件を短編連作で語られた物語。

    途中から、なんとなく展開がわかってしまいます。
    最終章で語られる主人公の思いは地方行政の問題をまさに浮き彫りにしていると思います。

    無人集落となってしまった蓑石地区を再生させるため、市長肝いりで始まったIターンプロジェクト。
    担当となった主人公の万願寺、やる気なしの課長の西野と部下の観山。万願寺は一人プロジェクトの実現に向けて東奔西走します。

    いよいよ、何組が移住してきますが、そこで発生するトラブル。
    そのトラブルの解決に万願寺は真摯に対応しますが、結局は一人、また一人と蓑石を退去していきます。

    そして、最終章で明かされるすべての真相
    といった展開。

    冒頭コメントしたとおり、地方行政についていろいろ考えさせられる物語でした。
    限られた予算で何を優先するのか..

  • 米澤さん2冊目かな。
    新刊で積まれてた&初読みの満願がめっちゃ面白かったという理由から購入。
    個人的には、期待高すぎたかもです。
    これは評価の★2個でなくて、私の好みの問題です。。

    なんか、最後まで、へえ〜って終わってしまい物足りなく。。おそらく私の知見が足りないから。
    過疎地と都会、市長や政治関連、公的なお仕事など、色々知らなかった事を学べたのは良かったけど、このあたりに詳しい人には、おそらく面白いのだろう。詳しい人というか、私が無知なだけの可能性あり笑

    期初で忙しく、全然読めてないー
    読書の秋にしたいですねー(╹◡╹)

    • 土瓶さん
      なんなんさん、こんばんは〜(⁠^⁠^⁠)
      わたしも米澤穂信さんには当たり外れが多いと感じています。
      あくまで個人の感想ですが、有名なところで...
      なんなんさん、こんばんは〜(⁠^⁠^⁠)
      わたしも米澤穂信さんには当たり外れが多いと感じています。
      あくまで個人の感想ですが、有名なところで言えば【黒牢城】はハズレでしたが【儚い羊たちの祝宴】は大当たりでした。

      わたしも最近全然読めていません(⁠ ⁠;⁠∀⁠;⁠)
      読みたい本ばかりが増えるのに……。
      2022/10/12
    • なんなんさん
      土瓶さん、こんにちは^ ^
      コメント嬉しいです!

      そのように言って頂けて安心です^ ^
      好みありますよねー、
      自分が本棚見返した時の記録と...
      土瓶さん、こんにちは^ ^
      コメント嬉しいです!

      そのように言って頂けて安心です^ ^
      好みありますよねー、
      自分が本棚見返した時の記録として、率直な気持ちを★に表してしまいました笑

      儚い羊さん、有名ですよね、今度読んでみます!!!

      積読本は本棚に登録してないだけで、たくさんあります笑
      2022/10/13
  • Iターン
    役所の仕事
    甦り課
    棄民

    できる職員はどっちだ⁈
    独りよがりで行き当たりばったりで職員を消耗させるだけのトップダウンには寒気がする
    早々にリタイアしようと万願寺さんを誘いたくなります

  • 無人になって6年が過ぎた山間の集落である蓑石を再生させるべく、Iターンプロジェクトが始動する。
    「甦り課」と名付けられた部署には、万願寺と課長の西野、新人の観山の3人が配属されたが、万願寺以外の2人はどこか本気が足りない。
    更に、集まった移住者たちは様々な問題に見舞われて、1組また1組と蓑石を去っていく。

    何かがおかしい・・・

    それぞれのトラブル発生から解決まで、米澤穂信さんらしい几帳面な論理思考が繰り広げられるので、読み手も伏線に気付きやすく、推理が進めやすい。

    しかし、読み進めるにつれて、蓑石が活気付くどころか寧ろその逆で、住民同士のトラブルや、お役所仕事の気詰まり感が、モヤモヤと鬱積してくるので読み進める手が遅くなってしまった。

    最大のミステリー要素である、「この集落、やはり何かがおかしい」という点については、徐々に気づいてくるタイミングで、最終章にて読み手が答え合わせの様に確認出来るので納得感はある。

    ただ、なんだろう・・・
    読後、なんとも後味が良くなかった。

    行政で市長の方針が絶対であれば、せめて「甦り課」全員に方針を周知するべきだろう。一人蚊帳の外で、後から甦り課の真の目的に気付いてしまった万願寺の気持ちを考えるとやりきれない。

    更に、Iターンプロジェクトに自分の人生を重ねて、希望を持って移住された方々にあまりに失礼だろうという怒りが行き場を失った。移住者の人生を弄び過ぎだ。

    本作では、現実にもありそうな醜い行政の裏の顔を目の当たりにして、お役所勤務は私にはやっぱり無理だなぁと再確認させられた。
    この辺は好き嫌いが分かれそうな内容だと思う。

  •  行政の裏側を見せられているような作品でしたねぇ。

     現在、横浜市で準備している花博とか思い出してしまった(-"-;A ...アセアセ

     一旦、決まったことは撤回はしない。だから、裏から手を廻すってどこの反社集団なんだろうか? とか思ったわぁ。

     結構、ブラック度が高い作品でした。

  • 無人となった集落に新しく移住者を募って村を再生させようという市役所のプロジェクトを巡るお話。
    やる気の薄い西野課長と現代っ子の新人・観山の間で奮闘する市役所職員の万願寺だが、それぞれ曰くがある移住者たちとの間で次々とトラブルに見舞われる。
    小火、鯉の盗難、子供の失踪、バーベキューでの食中毒、仏像の祟り…、過疎に悩む地方都市の姿がしっかり描かれてもいるが、メインはこれらのトラブルにまつわる謎解き。
    一件落着した後で明かされる、その発端にある人間の心理にこの作者らしいビターさが楽しめる。
    終章、積み重ねられた話が、トラブルとは関係ない過疎を巡っての兄弟のやりとりだった第5章も含めて、うまいこともうひと捻りされたが、ここまで、やる気がなさそうな課長と観山がいつも万願寺を差し置いてどうしてあんなに鋭いのかという気もしていたので、あぁそうだったのね、という感じも。

    明日から1週間ほど入院するので本はたくさん読めそうに思うが、感想を書くのが溜まってしまう…。

    • ニセ人事課長さん
      松子さん

      お気遣いありがとうございます。
      お優しさ、身に沁みます。

      お陰様で無事退院して来ました。
      思ったほどは読めませんで...
      松子さん

      お気遣いありがとうございます。
      お優しさ、身に沁みます。

      お陰様で無事退院して来ました。
      思ったほどは読めませんでしたが、病院で読んだものの感想もボチボチ載せさせていただきます。
      2022/11/23
    • 松子さん
      こんばんは。
      退院おめでとうございます(^^)
      ゆっくり休んで体力回復されますように。
      こんばんは。
      退院おめでとうございます(^^)
      ゆっくり休んで体力回復されますように。
      2022/11/23
    • ニセ人事課長さん
      ありがとうございます。

      リモートでゆるゆる仕事してました。
      ありがとうございます。

      リモートでゆるゆる仕事してました。
      2022/11/24
  • 住民がいなくなった限界集落へIターンを大募集
    希望を持って移住してきた住民は様々な理由で1人消え2人消え、、、最後はまたまた誰もいなくなる
    読んでいて根本的におかしい思ったのよ!
    救急車が到着まで40分、お店も学校も病院もない、
    Iターンを受け入れる前に根本的にすることある思ったのよね。これは無理やわって思ってたら、そうゆうことか。米澤穂信の大どんでん返しを期待していましたが小火と鳥とキノコと差し替えと予想がつくような住民トラブルに退屈で途中で飽きてしまいました。最後は強引な持っていき方やなぁ

  • 過疎と言うか絶村の地域の話

    無人になって6年が経った地域に市長の肝入りで移住者を招くプロジェクトが始動!
    担当するのは甦り課の万願寺とミスター定時の西野課長、そして新人職員で学生気分の抜けない観山の3人!!!

    移住者は皆んな一癖も二癖もありそうな人ばかり!?


    甦り課の面々というか万願寺さんが移住者たちに振り回される!?


    そして、物語には大きな謎が隠されている・・・




    物語のテンポに載せられると作者【米澤穂信】の罠に掛かる・・・


  • 市長直下の『蘇り課』は、人がいなくなった
    辺境の村を再生する支援プロジェクト。

    市あげての一大プロジェクトのはずが、
    蓋を開ければ他都市から移住する人たちの
    愚痴や悩み、お困りごとの相談には乗るけれど、
    解決する権限がないため雑務ばかりをこなす
    何でも屋のような業務だった。

    出世の本線から外されたと感じている
    主人公の万願寺と何でも笑顔で受け流す
    やる気のない新人の観山、定時前帰りが
    通常運転の西村課長、寄せ集めのような
    3人がIターンプロジェクトの移住者が
    引き起こす難あり、癖ありのさまざまに
    四苦八苦して奔走する物語。

    だと思っていたら、あっと驚く仰天の結末が
    待っていました。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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