刑事たちの挽歌〈増補改訂版〉 警視庁捜査一課「ルーシー事件」 (文春文庫 た 89-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919382

作品紹介・あらすじ

Netflixにてドキュメンタリー映像化。2022年12月6日から全世界に配信予定。

Netflixでの映像化が決定したことを受けて、著者は元捜査員たちに再取材と出演交渉を行った。事件から20年を経て、一課の元刑事たちを訪ね歩いたことで、捜査本部に後から投入された山代班の“潜行捜査”の実態が明らかになった。彼らの存在なくして、この事件が解明されることはなかった――。

登場する捜査員たちは幹部に至るまですべて実名。ここまで詳細かつ正確に捜査の実態が描かれたノンフィクション作品は、かつてなかっただろう。

感想・レビュー・書評

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  • 髙尾昌司『刑事たちの挽歌〈増補改訂版〉 警視庁捜査一課「ルーシー事件」』文春文庫。

    2013年に刊行された文庫本の増補改訂版。改訂前の文庫本は既読なのだが、再読してみようと思い、購入。

    Netflixにてドキュメンタリー映像化され、2022年12月6日から全世界に配信予定ということなので、それに合わせての刊行なのだろう。

    警視庁捜査一課の刑事達がルーシー事件の犯人を追い詰めるまでと刑事達のその後を描いたノンフィクション。

    当時、世間を震撼させた猟奇事件の犯人がいかに卑劣で凶悪であったことが解る。日本人、外国人を問わず若い女性を言葉巧みに誘い、薬物を用いて朦朧状態にし、凌辱するという卑劣な犯行。犯人はルーシー・ブラックマンを始め、数人を死に至らしめ、他にも被害者は200人を超え、犯行の一部始終をビデオに記録していたという。

    連日、厳しい捜査を進める刑事達の執念、犯罪への憎しみがひしひしと感じられる。手掛りとなる物証の少ない中での事件解決は、まさにこうした刑事達の執念と言える。

    普通に考えて、犯人は死刑相当だと思うのだが、無期懲役に留まったというのが理解できない。いずれ、数年後には社会に復帰するのだろう。

    本編も非常に良いのだが、あとがきも良い。刑事達の思いが伝わる素晴らしいあとがきである。

    この事件を扱ったノンフィクションでは、リチャード・ロイド・パリーの『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』があるが、こちらも読み応えがある。

    本体価格890円
    ★★★★

  • 2023.10.28
    事件そのものについてよりも、刑事として人生をかけて働き続けることのできた人々について考えながら読んだ一冊。
    組織で働き、かつ、使命感を持てることがうらやましくてしかたない。

  • 2000年に世間を震撼させたルーシー・ブラックマン殺害事件。麻布署に届けられた家出人捜索願から事件の臭いを感じとり、猟奇的犯人を追い詰める捜査一課の精鋭たち。その捜査の全貌を明かす真相ドキュメント。
    Audibleで聴く読書。Netflix配信の映画と同時に触れることで、事件に対する捜査過程をより深く知ることができた。刑事たちの執念に感服する一方、犯人の鬼畜非道な行為に怒りを覚える。また、法律の存在が本当に正義のためなのかと疑念も抱いてしまう。

  • 事件を追う本は数あれど、刑事の心情やその後を追う本は中々無いのでは。筆者ならではの登場人物との距離感のなせる表現。
    こんなにも、証拠があるのに、司法で裁けないことに驚いたけど、直接的な証拠がないと言われると、公平な司法で良かったという感想も持てた。

  • 23年7月18日読了

  • 【12月、NETFLIXでドキュメンタリー映像化!】犯人の織原城二を追い詰めた捜査員達が実名で証言。映像化に伴う追加取材で、異色の山代班が敢行した秘密捜査の内幕を初めて明かす。

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