月夜の羊 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167919429

作品紹介・あらすじ

計75万部突破、人気シリーズ第9弾!
助けを求めているのは、いったい誰?
一枚のメモが謎を呼ぶ。

コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、
秋のある日、日課の散歩の途中、
<たすけて>と書かれた一枚のメモを拾う。
折しもその日の夕方、紅雲町では女子中学生が行方不明に。
メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出と判明、メモの件は放置される。
腑に落ちないお草は周辺をあたり、独居の老女が自宅で倒れているのを発見、救助する。
ところが数日後、留守のはずの老女宅に人の気配を感じて――。

助けを求めているのは、いったい誰なのか。
日常に潜む社会のひずみを炙り出しつつ、
甘いだけではないお草さんの言葉が、
読む人の背中を押してくれる吉永南央の大人気シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 人がいるだけトラブルあり(^◇^;)

    今回、そんなトラブルに巻き込まれてしまうお草さん。
    近所との付き合いが希薄になっているだけに、人ごととは思えないでしたね。

    実際、私は父の介護もあり、若い頃には思ってなかった身体の不調もあるし……。

    そんなことも考える作品でした。

  • 「たすけて」と書かれたメモに対して、私は向き合う自信がありません。巻き込まれて怖い目に遭うのは嫌だし、自分が力になれるとも思えない。お草さんは、そのメモを書いた人の置かれた状況にまで思いを馳せて、何か出来ることがあるなら…と、手を差し伸べようとする人。現実には難しいかもしれないけれど、困っている人に寄り添う気持ちは忘れないでいたいと改めて思いました。
    しかし、私が中学生だったのは40年以上も前だけれど、未だに髪型や服装にくだらない校則があるのには驚きます。「みんな違って、みんないい」と言いながら、みんなと同じであることを強制する学校という場所には、馴染めない方がまともなんじゃないかとさえ思います。校則なんて、全部なくしてしまえばいいのに。「人にやさしく」これだけ守ることができれば、充分だと思います。

  • 全く内容も知らず、シリーズ物だとも知らずに読みました。
    お草さんの身近におこる話。
    少し推理小説みたいに謎めいた展開でもあり、人生長く生きていて、いろんなところに気が回るお草さんの行動も面白く、生きていく上での参考にもなりました。また、こんな風に歳をとっていけたらなと思いました。
    このシリーズ、初めから読んでみようかな。

  • このシリーズは一生何度も読み続けると思う。お草さんは未来の私だもの…

  • 中学生の失踪、わからず屋の中学校長、空き家問題、引きこもり、久実ちゃんと一ノ瀬の同棲まで絡んで……紅雲町、なかなか入り組んでる。でも、現実もそうなのかな。
    読み始めると、不思議なくらい一気に紅雲町の世界に引き込まれる。今回もお草さんはかっこよかったし、由紀乃さんとのやりとりがいい。器のセンスも素敵。
    断水騒ぎで来店がうやむやになってしまったあの会が妙に気になる。

  • 日課の散歩の途中で拾った「たすけて」と書かれたメモ。
    一体誰が書いたのか。
    一度気になったら放っておけないお草さんの行動力は凄い。
    会社、学校、家族。お草さんには関係のないところで起きている問題を、お草さんの地道でささやかな行動が解決してしまった。
    回り回って繋がっているという感じ。
    押し付けがましくないお節介が、誰かの背中を押してくれる。
    久実ちゃんと一ノ瀬さんは、これからどうなっていくんだろう。
    幸せでいて欲しい。

  • 我が街にもありそうなエピソードが沢山。今回は全体的に着地してホッとしたが、唯一気になるのは「どこまで会」。連絡取れるといいが…。

  • 小蔵屋さんは相変わらず繁盛してますね。小さな町の雑貨屋さんてそんなに人が入るんだろうか。若い二人にも不穏な展開がチラっと見えて、ゾワゾワしますね。

  • 毎朝の日課の途中で「たすけて」と書かれた一枚のメモを拾ったお草さん。助けを求めているのは、いったい誰なのか。

    自分がこんなメモ拾っても、気にはなるけど関わろうとはしないだろうな。不気味で。
    でも、お草さんみたいな年の重ね方はしたいと思う。

    親が高齢になってきて、このシリーズに出てくる話が他人事じゃなくなってきた。考えないとなー。

  • 路に落ちている「たすけて」と書かれたメモ、行方不明の女子中学生…、相変わらず、お草さんの周りは騒がしい…。

    お草さんを知らない人々は、彼女を「お節介婆さん」だと思うのだろう。
    だが、彼女のちょっとした「お節介」が、人を救い、
    人と人との絆を強めもする。

    そんなお草さんの物語、「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズも、
    もう、九作目。

    九年間、実家に引きこもり、
    母親が倒れても、周囲に知らせもせず、
    ただ、メモ帳に「助けて」と書き、外へ放った男、
    家出か、誘拐かと、周囲を騒がせた女子中学生の聖、
    時代錯誤の校則を掲げる校長、久美と母親との確執、
    そして一ノ瀬との間に生じ始めるひずみ…。

    相変わらず、お草さんの周りで、突然に発生、あるいはじわじわと
    浮き上がってくる問題。

    見守るか、あるいは、関わるか、
    関わらない、を選んだとしても、その底には、彼女の優しさがある。

    ワタシの傍から、続けて身内がいなくなった今、
    お草さんの「いずれは、一人になる」という言葉が、重い。

    人はどうしたって一人。
    誰もかれも孤独で、それは歯を食いしばって耐えるしかない。

    紅雲町で起こる問題は、それぞれ、とりあえず収まってはいくのだが、
    聖の抱える問題は、決着をみなかったような…、
    この続きは、次回待ちか…。

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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