クロワッサン学習塾 (文春文庫 か 84-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920548

感想・レビュー・書評

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  • この本には「パンもの」「学習塾もの」という二つの期待があったはずなんだけど、まずパン小説としては本当に「地方にある普通のパン屋」レベルの描写しかないのがBad。このパンが美味しそうとか、タイトルにあるクロワッサンに強い拘りが……とか全くない。そもそもクロワッサンほとんど出て来ないし。

    塾の描写もかなり浅い。パン屋に無料の学習塾を作るという設定が中々無理筋だったのか、塾成立まで時間が掛かったのも気になったが、なんといっても肝心の塾で過ごす時間が短すぎる。これは作中の時間経過が少ないせいなのかなと。塾で学んだ成果が子供達に全然出て来ない。
    また元教師の主人公が万引きをしていた子供の親に無許可で勉強を教えて、それがバレて親に謝りに行ったときに悪態をついたのは正直ない。毒親というほど相手の親が悪人ではなかったこともあって、これでは主人公の不審者度が勝ってしまう。

    そして全五章のうち、二章が少年探偵団の描写に割かれていて、本当に書きたかったのはこっちじゃないのという感じがアリアリ。ただパンでも塾でもなく、ポッと出の事件の、どうでもいい内容の少年探偵団を見せられても全く面白くない。

    かなり無難寄りな小説なんだけど……合わせ技一本で星1か。
    不快感があるとか疑問が残ったとかではなくて、単純にしっかり出来が悪すぎる…。

  • パン屋×教育。
    とても興味深いお話で、教育者として学ばされることがたっくさんあった。。学ぶってどういうこと?を再確認するためにまた読みたい。

  • 茉由利の母に深く共感した。シングルマザーで生活もいっぱいいっぱいなのは容易に想像できるはず。それなのに10年も教員を勤めていて、もっと勉強を見てあげてくださいってよくも初対面で軽々しく言えたもんだなと初っ端からドン引きしたし、三吾の力不足をひしひしと感じた。
    そこから話はとっ散らかっていって、パン職人にしても中途半端、塾も全て三吾の自己満足でしかない。
    第四話も全体として見ればこの件は必要なのかはてなが浮かぶ所だが、子どもたちの冒険としてはとても面白かった。

  • 現代の教育に真っ向勝負って感じ。

  • 新味を出そうと色々マイナーチェンジは加えているものの、物語の基本構造が「かすがい食堂」と同じなので、同工異曲の誹りは免れ得まい。とはいえ、本作では主人公が元教師と設定されているので、今の学校や教育が抱えている問題点をストレートに斬る部分が多く、今子供の問題を考えるならここがやっぱり本丸だよなあという気にさせてくれる。ある時点までは機能していた、一生懸命に勉強をして、テストでいい点を取り、良い学校に入って、大企業もしくは官公庁に入れば人生安泰という成功モデルは、今や完全に無効化している。大企業に入ったからと言って、今は何も保証されないし、中央官庁なんて単なるブラック職場である。にもかかわらず、大人の多くはそのことを直視できていない。むしろ頑なに否認し続けている。これじゃあ子供もやってられんわなぁ、なんてね。

  • 【元教員のパン屋さんが無料塾を開く!】小学校の教員を辞め、実家のパン屋で働く三吾は、店でみかける少女が気にかかっていた。彼にはかつての教え子への後悔もあって……。

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著者プロフィール

1972年大阪府生まれ。公務員退職後、『パチプロ・コード』で第八回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し2010年にデビュー。

「2017年 『散り行く花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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