薬物依存症の日々 (文春文庫 き 48-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167920876

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  •  甲子園で活躍し、プロでも活躍した清原和博選手。

     引退後、奇行が目立ち、入墨入れたり、離婚したり、覚醒剤で遂にぞ逮捕されてしまう。

     そんな彼が、逮捕後の再起に向けて薬物依存症と戦う日々を語っている本です。

     私は甲子園の清原選手は生では見ていないですが、西武時代と巨人時代、特に巨人時代の4番松井、5番清原は小学生ながらよく覚えています。

     また、バラエティ番組で良く見かけたよなぁということと、体育会系ってこういうことするんだ(後輩選手にタバスコを一気飲みさせたりしたエピソード聞いたりした記憶あります)と初めて知った時、こいつあんまり好きじゃないなと思った印象で、清原選手のことはあんまり好きじゃなかったです。

     そして、引退したあと、離婚したり、入墨いれたり、奇行もあったりで、引退後ますます調子に乗ってるなぁと思っていたので、覚醒剤で逮捕されたときは、ああ、やっぱりかと思ったくらいです。

     ですので、他の覚醒剤で捕まった有名人と同じように再発するんやろあなぁと思っていたくらいです。

     そんな私が、なんで、今回、書店で見かけて読む気になったのかというと、前から依存症というものの怖さを知っていたので、依存症と向き合うっていうのはどういうことなのか、なかなか本で出ないので、そういう依存症と向き合う有名人の本を読みたいと思っていたということと、最近、甲子園で次男さんを応援している清原さんの姿をテレビで見て逮捕前とイメージが違うなと思ったので、本当に何か清原さんの中で変わったんだなと思いました。

     そして、元々数年前に本を出していて、どんなことを書いているのかよくも悪くも興味があったのもあり、書店をのぞいたら、丁度、この本が文庫コーナーに置いていたので、読み頃だなと思いました。

     前置きが長くなりましたが、この本に書かれている、清原さんの想いというのは本物なんだなと思いました。

     決して、器用にうまく語ったものとも言えないですし、同じことが何回も繰り返し語られるところはあるとは思いましたが、清原さん自体は自分が弱いということをようやく認めて再起の道を進んでいるんだなと思いました。

     薬物依存症は回復はしても治らないし、いまだに震えなどの禁断症状はでるし、鬱の症状で眠れなかったりすることもしばしばとのこと。

     10年薬物に手を出してなかった人が、ふとしたきっかけでまた薬物に手を出して逮捕されてしまう世界に、恐らく一生、薬物を使いたくなる衝動は抑えられないだろうと覚悟もされている。

     でも、そういう覚悟をもって、再起を願い、逮捕後も力になってくれた回りの人や家族に感謝しているのが伝わってきました。

     読んでいて、私も泣きたくなったし、応援したくなりました。

     そして、この本は清原さんが依存症で再起を誓うだけじゃないというところが凄くて、1つは、甲子園の決勝に次男坊が私がこの感想を書いている2023/8/23に慶應の選手として甲子園に出場していることに、この人、本当にもってるなぁと思いました。本書を読むと、甲子園に出場高のベンチメンバーまでに選ばれた次男坊の努力って凄いなと思いますし、清原さん今日は嬉しいどころじゃないだろうな。お酒は控えめにしてくださいねと思いました。

     そして、もう1つは、現役時代のイメージがあまり良くなく、プロ1年目の成績が1番良かった選手とはいえ、流石に野球を極めた人やなと思うことがありました。

     それは、スイングについて語られているところです。

     専門的な話ではなく、失敗したことを反省して、短所を無理やり矯正しようとすると余計にダメになるという面もあるということ。

     もちろん、欠点を修正しようとすることは悪くないのですが、自分の良さを殺してまで修正することに意味がないというもの。

     競争に生き残るために失敗したり、成績が良くないとどうしても消極的になってしまうし、自分らしさがなくなると余計に泥沼にハマる。

     これは野球に限らず、そうだよなぁと思いました。

     読んでいて、流石にプロ野球生活の殆どを一線級で活躍してきた人だなと思うことが多く、読んでいて、今の清原さんが好きになりました。

  • そういえばこの人最近またちょっとずつ見るようになってきたな。

    そう思ってこの本を手に取った。

    野球をあまり見ない僕が彼に抱いていたイメージは厳つくて、怖い人だった。それは本人もそういう自分の生き方を選んだとこの本の中で述べていた。
    けれど、この本で描かれている彼は孤独で、弱い。そして随所に感謝がある。
    薬物依存になり、逮捕され、たくさんのモノを失ったからこそ見えてきた本当に大切なモノ。
    負けや弱さを認めることの大切さ。
    そんなことを学んだ。

    彼がやったことは許される事ではない。
    けれど、この事件が彼を、彼の生き方を変えた。

    メディアに映し出されない彼の本音が見れた。

  • なぜ薬物に走ったのか。疑問に思っていたけど、本人が書いていた事を読んで納得。
    自分が持っているものではなく、持っていないものばかりに目を向けていたから。
    野球は辞めたけど元スター選手として注目を浴び、家族にも周囲の人間にも恵まれ。。。それなのに、本人は野球が出来なくなった事による自分の心に空いた穴にばかりみていた。
    護送の際に、ワザとマスコミに撮られるように警察が動くというのは、ある意味驚きと納得がありました。多分、『どんなスターでも、薬物をやるとこうなる』という見せしめだったんだろうなぁ。警察の意図もわかるけど、本人にしてみたら、納得できないよね。

  • 私はスポーツ全般興味が無い、オリンピックをやっていてもたまたま見たニュースで結果を知るだけ。そんな私にとって著者は顔と名前が一致し甲子園時代からプロ野球での活躍を思い浮かべることができる、「スタースポーツ選手」だった。薬物での逮捕を知った時は大きな衝撃を受けました。薬物依存やうつ病の苦しみ、家族との再会や人から支えられ、未来への希望。「どうか薬物に負けない一日一日を重ねてください、清原さんの心からの笑顔がまた見たいです。今でもあなたは私にとってスターです」と伝えたい。

  • 野球をずっとやってきた人間にとって清原は永遠のスター
    彼の軌跡から野球界自体が振り返らないといけないことはたくさん有る。

    とにかく清原が息子の打撃について語っているところが無性に切なくて泣けた

    松本俊彦の解題が全てだと思う
    もういい加減、薬物=大犯罪というしょうもないイメージから脱却しよう

  • 【五年ぶりに会った長男は「大丈夫だよ」と笑ってくれた】覚醒剤取締法違反による衝撃の逮捕から七年。清原は想像を絶する苦痛の中でもがき続けてきた。最後に支えてくれたものについて語る。

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