茶の湯の冒険 「日日是好日」から広がるしあわせ (文春文庫 も 27-3)
- 文藝春秋 (2024年3月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167921934
感想・レビュー・書評
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『日日是好日』の映画が作られていくお話。
併せて映画を流しながら読んだので、シーンと描写が重なって味わうことが出来た。
「形式主義じゃないですか」
「あなたたちは、何でも頭で考えるからそんな風に思うのね」
多部未華子と樹木希林の会話。
形を先に身体に馴染ませることについて、まだ20代の美智子の言葉が可愛らしい。
それに対して、するりと流れるように応える武田先生に、私の視線が留まる。
そうかも。そうだったかも。
自分自身に向けて、ふと肩の荷が下りるような、素敵なシーンだった。
作者の森下さんも、このシーンを間近で見ていて涙する描写がある。
この映画はよい映画になる、は、きっとこういうことなんだろうなと、思った。
本筋を離れるが、あとがきにあった、武田先生の言葉。
「三日我慢したら三ヶ月は耐えられる。三ヶ月耐えたら三年は頑張れる。三年頑張ったら、ずっと続けられる」
我慢を強いない社会になったと思う。
でも、共感が減った社会になったなとも思う。
辛ければ辞めればいい、と言ってもらうことは、楽だと思う。
でも、三年頑張ったら、とか、十年続ければ、とか、そうやって一つの山を乗り越えることが出来たときに、得るものがある。 -
現代劇として初のお茶の映画である「日々是好日」の原作であるエッセイの著者が、自分の半生の映画化に茶道指導という役割で、茶道経験者がいない撮影現場に立ち会い、そこで初めて見て、触れ、経験し、感じたことをとてもナチュラルな表現で瑞々しく記したエッセイ。自分や自分の先生を演じている様々な撮影シーンを見て、その時には分からなかったそれぞれの思いや気持ちに改めて気付く等、自分の人生の映画の撮影を通して、自分の半生を振り返るとても貴重な体験記。とても気持ちが温かくなる1冊。
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ごぞんじ「日日是好日」の映画化にまつわる回想記。著者にとってもまさかの映画化の話がもちこまれたところから、少しずつ構想が具体化して撮影の準備が始まって、濃密な撮影期間に入って、完成して・・・というメイキング、「史上初めての現代劇のお茶の映画」をつくる挑戦の物語として、また(原作者兼作動指導としてではあるが)素人が制作現場に飛びこんで見聞きした映画制作現場印象記としても、そして樹木希林の女優としての最後の日々の貴重な記憶としても、とてもおもしろく読める(森下典子さんはほんとうに読ませる文章を書く、それもまたお茶の稽古に磨かれてきた感性のおかげなのか?)。これはいつか映画も見なくてはな…と思いながら読んだ。
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茶道を続けているいま、改めてこの映画を見たい。
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【樹木さんはじめ茶道経験の全くない人達で、お茶の映画を作る 】作家・森下典子が映画作りのプロ集団の現場に飛びこんだ!その愛おしくも激闘の日々を綴った「日日是好日」大人気シリーズの集大成。