イギリス王室とメディア エドワード大衆王とその時代 (文春学藝ライブラリー 歴史 19)
- 文藝春秋 (2015年10月20日発売)
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感想 : 2件
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- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784168130557
作品紹介・あらすじ
イギリス国王ジョージ5世は閑かに世を去った。だが、その死は「安楽死」だった。そのジョージ5世の後を継いだエドワード8世は、「王冠を賭けた恋」で自らその座を退いた。二人の王の最期と最後を左右したのは、じつはマスメディアとの関係性だった。大衆社会が浸透した20世紀初頭のイギリスを舞台に、「権威」と「報道」のせめぎ合いの様を克明に描き出した歴史ドキュメント!
感想・レビュー・書評
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今や恒例である英国(女)王のクリスマス・スピーチの嚆矢となったジョージ5世、その肉声がラジオで流れるに至った経緯をマクラとして、次代エドワード8世の「王冠を賭けた恋」のドタバタにおいて、メディア(新聞、ラジオ)が果たした役割を語る本。著者の語り口は硬いし、誤字はいまだ散見されるし、人名のカナ表記に一部違和感も残るが、題材が面白すぎて途中からは巻措くに能わずの様相となった。
この一件についてはかねてより興味があり、ひととおりは知識もあったが、それにしても改めて思い知らされたのがエドワードという人の身勝手さ・浅薄さだ。貴き生まれの悪いところのみを煮つめたような人物で、大西洋とんぼ返り(当時のこととてもちろん「船」で、である)を強いられた新聞王や、梯子を外され政治的致命傷を負わされたチャーチルなどには、いっそ同情を禁じえない——彼らは彼らで、「義憤に駆られた正義の人」などでなかったことは百も承知なのだが。
その意味で、当時原作が大流行していたという「ピーター・パン」から命名されたピーター・パン症候群にエドワードをなぞらえた、巻末の分析は興味深い。
2016/1/7〜1/9読了
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