イギリス王室とメディア エドワード大衆王とその時代 (文春学藝ライブラリー 歴史 19)

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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168130557

作品紹介・あらすじ

イギリス国王ジョージ5世は閑かに世を去った。だが、その死は「安楽死」だった。そのジョージ5世の後を継いだエドワード8世は、「王冠を賭けた恋」で自らその座を退いた。二人の王の最期と最後を左右したのは、じつはマスメディアとの関係性だった。大衆社会が浸透した20世紀初頭のイギリスを舞台に、「権威」と「報道」のせめぎ合いの様を克明に描き出した歴史ドキュメント!

感想・レビュー・書評

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  • 20160220~0308英国王ジョージ5世(エリザベス2世の祖父)はその死去がラジオ放送で公表された初めての英国王。
    エドワード8世は、皇太子時代に新しいメディアであるラジオによく出演し、人気を博した。だが、国王に即位後は自身の結婚問題や国王としてはリベラルすぎる発言などで次第に行きづまり、1年足らずで退位した、というところでしょうか。
    本文は、滔々と書かれているので、時系列が時々わからなくきらいがあった。しかし、内容はとても厚いし熱い。

  • 今や恒例である英国(女)王のクリスマス・スピーチの嚆矢となったジョージ5世、その肉声がラジオで流れるに至った経緯をマクラとして、次代エドワード8世の「王冠を賭けた恋」のドタバタにおいて、メディア(新聞、ラジオ)が果たした役割を語る本。著者の語り口は硬いし、誤字はいまだ散見されるし、人名のカナ表記に一部違和感も残るが、題材が面白すぎて途中からは巻措くに能わずの様相となった。
    この一件についてはかねてより興味があり、ひととおりは知識もあったが、それにしても改めて思い知らされたのがエドワードという人の身勝手さ・浅薄さだ。貴き生まれの悪いところのみを煮つめたような人物で、大西洋とんぼ返り(当時のこととてもちろん「船」で、である)を強いられた新聞王や、梯子を外され政治的致命傷を負わされたチャーチルなどには、いっそ同情を禁じえない——彼らは彼らで、「義憤に駆られた正義の人」などでなかったことは百も承知なのだが。
    その意味で、当時原作が大流行していたという「ピーター・パン」から命名されたピーター・パン症候群にエドワードをなぞらえた、巻末の分析は興味深い。

    2016/1/7〜1/9読了

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学法学部政治学科卒業。東京都立大学教授を経て、現在、國學院大学教授。専攻は行政学、日英近代政治。著書に『英国貴族と近代』(東京大学出版会)、『貴族の風景』(平凡社)、『王室・貴族・大衆』(中公新書)、『江戸は夢か』(ちくま学芸文庫)、『ラスキとその仲間』(中公叢書)、『日本の近代13 官僚の風貌』(中央公論新社)、『丸山眞男』(ちくま新書)などがある。

「2012年 『読書三酔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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