- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784195549964
感想・レビュー・書評
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扇歌のことを知り、都々逸といふものを知つた。リズムの良さがやけに目につき、和歌とは異なる独特さを感じ、調べてみるとたくさんの数を網羅するこの本に出会つた。
なるたけ古いものから平成まで、本当にたくさんの都々逸が集められてゐる。編纂する作業はとてつもないものだつたに違ひない。
それにしても、和歌が形を詠ふものなら、都々逸は流れを詠むものであると感じられる。和歌は、とめどなく流れていく心に、形を与へるやうな気がする。ことばといふ形を発見したひとの姿が映る。一方の都々逸は、とにかく流れる。ことばとして詠はれてゐるといふのに、流れる。喜びも哀しみも、怒りも諦めも、するりするりと通り過ぎるかのやう。今日の心の動きさへ、明日には期待できぬもの。ひとは流れていきるもの。
おそらく、音律の独特さが停止よりも、終りのない予感を与へるのだらう。5音の置き所が、やはり発動と関連してゐるのだらうか。何処かで繰り返されるのではないのかといふそんな感じがする。
そして、この繰り返しの予感が、文明開花におけるひとの心の柔軟さではなかつたのではないかと思ふ。新しいものに出会つたにも関はらず、それを小粋に笑つてみせる。都々逸の心とは、ひとの笑ひといふ感情の複雑さを現す形ではないか。そんな気がしてならない。
本書に収録されてゐる都々逸は、古典的といはれてゐるものは詠み人知らずが多く、現代的といはれてゐるものも、生没年不明であつたり、私家本からの採用といはゆる人口に膾炙したひとではないことが多い。和歌はその旨さから歌仙となるが、都々逸はさうではない。ともすれば文書としては散逸してしまふ可能性が高いのではないか。けれど、都々逸はことばを話すひとの心の形である。ことばが生きる限り、和歌とは違つた形で、都々逸は必ずどこかで息づいていくに違ひない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生産打ち切りのため2013年現在、入手が難しい。都々逸の流行時から現代まで、たくさん詠まれた中から著者がいいとこ取りした本。短歌や俳句と違って、都々逸に関する本は雑誌を除けば殆どなく、こんなにたくさんまとめて載っているのはこの本くらいなのでは。とても貴重な1冊なのに、生産打ち切り。読みたいけれど本屋になくて悔しい思いをしている人がたくさんいるのでは。再販希望。
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2割ほど。短歌俳句だけじゃないんだね。三千世界・・・位しか知らなかったのですが。
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中道風迅洞による古今都々逸(どどいつ)のアンソロジー。
二千もの作品が紹介されているので、読んでいるだけでうまく詠めるようになるかもしれないですから。