エロ、グロ、ナンセンス、そして社会風刺を織り込んだ、『西遊記』のパロディ小説です。
崋果山の頂に、天に向かって突き出した女のお尻の形をした石がありました。そこに彗星が突入して、石猿の孫悟空が生まれます。悟空は、崋果山のサルたちを糾合し、そのボスに君臨します。竜王の妃と美人官女たちが入浴している後宮の浴場に忍び込んだ孫悟空は、好色な女たちを責め立てて、竜王から如意棒と觔斗雲を手に入れます。
さらに仙術を会得し、天界でやりたい放題の狼藉を働く悟空でしたが、観音菩薩とのセックス勝負に敗れ、5つの山の下に閉じ込められてしまいます。そんな彼を助け出したのが、美男子の僧侶、玄奘三蔵法師でした。悟空の封印を解いた三蔵は彼を弟子にし、さらに白馬に姿を変えた竜や、無類の女好きで大食漢の猪八戒、ホモの沙悟浄をパーティに加えて、天竺に向けて旅を続けます。
まず彼らが立ち寄ったのは、女が男たちを虐待している国でした。ここでは、男は妻と子どもたちを背中に乗せて一日中駆け回らなければなりません。三蔵たちは賈という美女と美しい3人の娘に出会いますが、やがて彼女たちの正体がテンの化けた姿であることを暴きます。
次に訪れたのは狂魔という乗り物が人間たちを支配している狂魔国です。悟空たちは、この国を支配する大狂魔とその母親を相手に戦い、狂魔国から逃げ出します。
三蔵たちが次に訪れたのは、短小なイチモツにコンプレックスを抱いている妖怪・黄袍怪の国。黄袍怪は、彼の国を訪れた旅人をつかまえてはペニスのサイズを図り、自分よりも大きいモノだったら切り縮めてしまいます。三蔵たちは、黄袍怪の小さなペニスにすっかり欲求不満を募らせていたその妻に助けられて、黄袍怪を倒すことに成功します。
次は金角・銀角との戦い。2人は、返事をした者を中に吸い込んで米に変えてしまう不思議なヒョウタンを持っており、人びとに無理やり米を食べさせていました。三蔵たちはこの国で、人間たちを大量に押し込む満員電車のような車に載せられた挙句、三蔵が痴漢の冤罪を受けることになります。こうして三蔵たちは金角・銀角のもとに連れられ食べられそうになりますが、ヒョウタンをだまし取った悟空が金角と銀角の名を呼んで、2人をヒョウタンの中に吸い込むことに成功します。
最後に訪れたのは人体実験がおこなわれている国。ここで三蔵たちは、霊感大王というカバの妖怪に実験台にされそうになりますが、悟空たちは霊感大王と法力合戦で勝利を収め、無事この国を脱出します。
こうして天竺にたどり着いた三蔵たちでしたが、ガイジンに簡単に股を開く尻軽女たちに取り囲まれてしまいます。彼女たちから逃げ出して、経典を求めてお釈迦様のもとにやってきた三蔵たちでしたが、窓口をえんえんたらい回しにされた挙句、そのつどお布施を要求されます。お釈迦様もすっかり拝金主義に取りつかれてしまっていたのです。最後は、悟空がお釈迦様に再戦を挑み、今度はお釈迦様を掌に閉じ込めて勝利を収め、三蔵は真経を持ち帰ることに成功して、めでたしめでたしとなります。