薄紅天女 (トクマ・ノベルズ Edge)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198506889

作品紹介・あらすじ

「東から勾玉を持った天女が来て、滅びゆく都を救ってくれる」病んだ兄の夢語りに、胸を痛める皇女苑上。だが「東」の国坂東で、いにしえから伝わる明の勾玉を輝かせたのは、蝦夷の巫女の血を引く少年阿高だった。物の怪の跳梁する都へと足を踏み入れた阿高と仲間たち。そして苑上と阿高が出会ったとき、神代から伝わる最後の「力」は…?"闇"の末裔の少年と"輝"の末裔の皇女が織りなす、「最後の勾玉」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • キャラクターが空色勾玉、白鳥異伝と少し変わった立ち位置で、いつもの闇の元気いっぱい娘と輝のぽややん皇子でなくなったので個人的な気持ちとして読みやすくなった。
    ただ、その分ストーリーとしては前二作よりは控えめかもしれない。ちょっと弱い。
    脇役が活き活きしてていいですね。チキサニは苦手だったけど。
    ただ阿高と田村麻呂さんを会わすな、というのはなんだったのだろう?
    苑上と阿高の恋心もはっきり見えなかったような。まあ、あんまりぺたぺたやられると苦手なんでそのへん読み飛ばしたのかもしれないけれど。

  • 平城京~平安京頃の有史を下敷きにしつつも、違和感なくファンタジー要素を滑り込ませたストーリーに、歴史好きとしては惹かれます。
    阿高も藤太も、待っている人のもとに無事戻れて本当に良かった。このシリーズのいい所は必ずハッピーエンドになる所だと思っています。
    この年になってようやく、苑上の台詞「おいていかないで」でじーんときてしまいました。

  • 前2作が女性ヒロイン & 女性目線の物語だったのに対し、この物語だけは男目線・・・とまでは言い切れないけれど、勾玉を持つ者が男ということでちょっと毛色が違います。  (まあ、白鳥異伝でも菅流♂が「勾玉を持つ者」という要素を持っていたけれど・・・・ ^^;)  「白鳥異伝」の Review でハーレクインっぽさがちょっと鼻についたと書いたけれど、本作ではその匂いはかなり薄まっていると思います。  それでも KiKi の個人的な感覚からするとやっぱり「女子の作品」っていう感じが強烈で、その「女子感」にはちょっと苦手意識が働いたのも事実です。  「西の善き魔女」でも感じたことだけど、KiKi が荻原作品と相性があんまりよくないのは、この「少女マンガっぽさ」が苦手なことと無関係ではないような気がします。  

    まあ、否定的な言葉から始まってしまったこの Review だけど、面白いことは面白かったんですよ。  特にあの時代(平安遷都前)を描いていながらも、蝦夷やら坂東やらといういわゆる辺境を扱っている物語というだけでも嬉しい限りです。  学校時代にはどうしても「中央目線」で歴史を追いかけることになり、権力側に「蛮族とされてしまった側」の生き方・感じ方に想いを馳せるな~んていうことはなかなかできなかった(それは KiKi だけかもしれないけれど)けれど、こういう物語を読むことによって自分と寸分たがわぬ「普通の人々」の生きざまに多くのことを考えさせられます

    (全文はブログにて)

  • 勾玉三部作で1番好き!!

    坂上田村麻呂、空海、藤原薬子と長岡京。
    日本史を復習したくなりますね。

    闇の巫女と輝の皇が前作とは違った受け継がれ方をしている。歴史は、どこまでも連なっている。
    でも、いつの時代も、闇と輝は表裏一体だった。




    なにせ、
    阿高と藤太の二連がかっこよすぎる。
    推しすぎる。
    魅力的な登場人物が多いけど、どう考えても絶対に二連がいい。

    苑上の「おいていかないで」のセリフがもう、
    心に刺さりすぎて、もう。切なかった。
    できるなら、千種との再会も読みたかったな。

  • 「…今、都には天女が近づいている」ーーーー

    三部作、完結。
    とても読み応えがありました。舞台続きのストーリーが好きなので、リンクしている部分を見つけるたびぶわりと血が流れるようでした。
    前半で阿高たちに感情移入していたのに、後半から皇側でとても頑張る苑上が出てきて板挟みになりそうだったのが、双方の気持ちをスルスルと寄り添わせてしまう流れが、とても熱かったです。一番やきもきしなかった…苑上が自己の中で納得させる子だったからか? 今までのヒロインたちは激情を内に飼っていて、ヒーローはどちらかというと支えてあげなければ立って居られないような雰囲気だったのに対して見れば、輝と闇が混ざり合った二人だからこそ、交わって進んでいけたのかなと感じた。
    最後のそれぞれの未来がすごく気になるけれども、とりあえず、ちびクロ可愛いです。

  • 勾玉が登場するのが今作で終了なので三部作と言われるのだろうか??
    今作ではひとつのみの登場だったけれど、他の勾玉でまた歴史ファンタジー描かれないだろうか。。。
    歴史とか古典に興味を持ついいきっかけになると思う。

    次作は平家源氏だったけれど
    今作は桓武天皇、空海、坂上田村麻呂と歴史でおなじみだった為大分イメージしやすく。
    蝦夷は『ゴールデンカムイ』を読んでいるとその扱いに悲しくなる。

    北海道と思っていたが当時は東北にも住んでいて
    都は奈良京都で、坂東武蔵は埼玉あたりで、ナルホド。
    それにしても毎度凄い移動距離。

    学生時代は一番印象深かったのに
    今は前作2作よりさらりとしたイメージを感じたのが不思議。
    前半後半と場面切り替えがはっきりしているからだろう
    か。

    占いって、予言された結果試行錯誤して、それが予言行為につながってしまう場合と
    どうあがいても予言通りに流されてしまう場合とあるが
    今回はどちらのタイプだったのだろうな。。。
    ましろが姿を借りて現代に介入するのであまり感じないが
    この二人のが一番悲恋だったろうか。。。


    最後にチラリと史実記載があったので
    ウィキで調べたが

    征夷大将軍とアテルイ処刑
    平城天皇と嵯峨天皇
    藤原薬子と高志内親王

    史実の方がよほど波乱万丈。。。
    驚き。。

  • 勾玉3部作の3作目。スッキリきっちり完結で読後感が良かった。
    苑上、たくましくて思いやりがあって、大好きなキャラだった。武蔵出身の友人とのやりとりも、心温まる。

  • 三部作のうちの最後は、長岡京。
    この辺りになると少しばかり歴史上でもいくつか記述を読んだことがあるので、なんとなく背景がわかってきました。
    前二作ほど恋愛モードはないものの、ヒロインもかわいい。
    読み終わって、この方の物語の美しさをしみじみと感じます。

  • 武蔵に行ってみたくなった。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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