中国の思想 (1)

  • 徳間書店
3.73
  • (9)
  • (17)
  • (22)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 137
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198604622

作品紹介・あらすじ

冷徹なる人間支配の論理。卓越した人間観察と「法術」理論を核に展開される、激烈な政治的論策。その冷徹、非情な論理は秦の始皇帝を感嘆させ、乱世統一の思想的基盤として不滅の光芒を放つ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 韓非子は徹底的な性悪説に立っている。しかも荀子の性悪説と異なり、人はどこまでも利によってのみ動くという行動原理を前提に君主論を説く。儒家が仁・義による徳治政治を説くが、それは所詮机上の空論であると断ずる。

     春秋戦国時代において儒家の教えを取り入れた国が多い中で、徹底的に法による支配を断行した秦が戦国時代を制したのは決して偶然ではないだろう。韓非子は同じ法家の李斯の讒言にあって殺されるが、その後の中国の歴史のみならず世界の政治の進展を俯瞰すれば、韓非子の思想は或意味世界を支配しているといっていい。

  • 春秋戦国時代の思想家 韓非子の教え。

    君主として定めるべき「法」とその「術(運用)」について記載しており、その本質は人にある。

    なぜ思想家がこの時代に多いのか、法治国家とは何を意味したのか、という時代背景などにも導入で説明されており、前知識がなくても理解ができた。

    本書はまさしく君主に向けており、現代、また君主ではない人には理解できない点も多い。しかしながら、人は誰かをねたんでしまうという当たり前な点もあえて練りこんだ運用であり、妻ですら信用しないというのは下剋上や暗殺も当たり前な時代だからこそ、という書籍だった。まさに”帝王学”の本だ。

    特徴として、過去の逸話を例に挙げることでその理解を促す内容である。最初は分かりやすいと思ったが、どんどんとクドく・・・人名や立場を覚えるのが大変で逸話が頭に入らなくなったのが私にとっては残念。

    面白かったのは有名な逸話等もこの本から引用されていることもある点だ。
    「矛盾」「逆鱗に触れる」というのも韓非子からの記載である点が面白い。

  • 絶対的権力者が正しく「法術」を行えば国は収まる。「法」は法律、規則のことで正しく従わせ運営しさえすれば国は自ずと収まる。その機構を運営するのが君主であり、それの妨げになるものは全て排除せよ、となかなか過激な書である。

    その運営は「術」でこの「術」は実際法を民に対して運営する家臣、その操縦術ということになる。例えば「明君は、遠くにも近くにも、目と耳を巡らせて、臣下がどこにいようと、その失敗を見落とさない」(備内)「」君主が見るには、国中の目を使う。…聞くには、国中の耳を使う」(定法)など情報を独占し、監視する具体的な方法が描かれている。
    また「信賞必罰は自ら行え」「疑わしいことを言って臣下を騙してみる」「知っているのに知らない顔をして、臣下を試す」など人間支配の基礎知識のような内容もある。この書によって秦の始皇帝は自分の国家統治のプランをはっきりと見たのではないかと思ったりしている。春秋戦国時代の最終走者として百歌繚乱した思想を一つの政治技術にまとめ上げられた本でもあるだろう。

    内容自体は例え話を多く使った説和風にまとめられているので、読むことは難しくない。読後あなたが後味の悪さ、人間不信、厭世感を感じてしまうかもしれないが、人間をここまで冷徹に見通した思想書が紀元前にすでに書かれていた中国の思想書の凄みを感じてくれると嬉しい。

    ただし、この書の手法を実行するのはおすすめできない。これはあくまで「君主」に向けて書かれた思想書であり、一般市民の思想書ではないからだ。

  • よく考えずに実行しちゃうと大変な事になる、形式主義批判のお話し

  • 過激すぎて現代にはそのまま応用できないものがあるものの、韓非子の思想には非情に説得力があり有用なものが多かった。そもそも、数千年前の古代中国では、ここまで現代にも通ずる思想が普及していたことに感銘を受けた。
    また、韓非子の儒家に対する鋭い批判も面白かった。

  • 端的に言うと、人を信用してはいけないという教え。一回読んだだけでは消化しきれなかったので何度も読んで身につけるようにしたい。

  • 2012.9.15 推薦者:じょなさん(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-187.html

  • 先人に学ぶべきである。

    今の日本の状況は、今までの国家にすでに存在した病魔しかない。ずーっとずーっと、西暦が始る前の世界でも同じなんだと理解させてくれる。

    本の帯に「冷徹なる人間支配の論理」とある。

    冷徹ではない。冷静なもののミカタだ。

    なんにせよ、君主向けに書かれた本ではあるが、いやいやすべての人間関係にのっとった書物だ。

    誤解無く生き、自己を全うできる書物になりえる。

    これを読むと勇気がわく。

    自分の信じた道をゆけばいいと教えてくれる。

  • 君主の心得
    仁義では人を動かすことはできない
    法治こそが人を動かすことができる
    法と術
    知識として絶対に頭に入れるべきこと

  • 20111105Amazonマーケットプレイス

全18件中 1 - 10件を表示

西野広祥の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
和田 武司
丸山 松幸
松本 一男
杉本 達夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×