夏のねこ

  • 徳間書店
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (53ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198612313

感想・レビュー・書評

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  • 表紙の猫の絵が魅力的で手に取ってしまいました。
    原作・挿し絵ともハワード・ノッツさん。アメリカ・イリノイ州の生まれ。
    アメリカの多くの美術館に作品が収められているそうです。
    実生活では、奥様とふたりで、たくさんの猫と一緒に古い農家に住んでいるそうですが、この作品もそれを彷彿とさせます。

    アニーとベンのふたりの姉・弟が、ある日りんごの木の枝に乗っている仔猫を見つけます。
    あまりにも綺麗な三毛猫なので、「りんごひめ」という名前をつけたベン。
    その日から毎日、夕方になると仔猫は姿を見せて、どんどんベンになついていきます。
    しかしその仔猫は、夏の間だけ住んでいるという「夏のおばあさん」の家の猫でした。悲しむベンがしたことは。。

    挿し絵からすると、ベンは小学校の低学年くらいの年齢だと思います。
    どんなに好きでも自分のものにはならないという悲しみを、この年齢で早くも知らされます。
    自分よりももっと、あのおばあさんは悲しいに違いないと考えて、仔猫と別れる場面では、こちらも思わず涙しました。
    遠いこどもの日を、思い出さずにはいられません。
    大人が思う以上に、子供は身近なものとの別れを辛く感じているもの。
    傍にいて見守るアニーの言葉も泣かされます。
    『ベン、いい子だったね。よくがまんしたね。えらかったね』
    小さな者が成長していく傍らには、見守る賢い存在が必要なものです。
    ベンも、アニーも、素敵なきょうだいです。
    ラストももっと素敵。りんごひめもベンたちのことを覚えているみたい!

    振り返ってみれば、小さな別れをいくつも経験して、今という日があるんですよね。

  • 好きなのにいつも一緒にいられない、もどかしさが、さびしさが、子供でも大人でも一緒なのだなあと思いました。切なくていい話です。

  • 夕暮れ時にどこからかやってくる三毛猫。アニーとベンの姉弟は、その猫に「りんごひめ」という名前を付け、その後もふらりと消えてはふらりと現れる猫をかわいがった。特に弟のベンが。
    だけど「りんごひめ」にはちゃんと飼い主が存在したのだった。「どんなに好きでも自分のものにはならない」初めて、愛おしいと思える存在に出会えたベンには辛かったかもしれない。正直、ストーリー自体に新鮮味はなく、全体的に地味な印象を感じたのだ、が…新鮮味はないからこそ、ああ、この感じわかるな、と思った。泣くのをこらえ、うつむくベン。繊細な感情が鉛筆画で表現され、抑えられた悲しみがこちらにも伝わり、涙が出た。
    そんなベンを優しく思いやる姉のアニーの大人な振る舞いに、救われる。地味ながらも感傷的になりすぎず、この物語を引き締めているのは、アニーの存在だ。
    ほろ苦いながらも、優しく甘やかな思い出に満ちたひと夏。また、会えるといいね。

  • アニーとベンはある夏の日、りんごの木の上に子猫をみつけます。夕暮れ時になると時々やってくる子猫が大好きになったベンは、名前をつけてかわいがりますが、それは夏の間だけ森のむこうに住むおばあさんの猫だと知り…。時に愛着を手放し、悲しみをとおして成長していくのだなぁと感じ入るひと夏の物語を、移ろいゆく季節の淋しさと共に、やさしく穏やかな鉛筆画で描いています。作者は、以前載せた絵本「ふゆねこさん」のハワード・ノッツです。

  • 児童書。うちに遊びにくるようになった猫に‘りんごひめ’と名前をつけ可愛がるアニーとベンの姉弟。でもその猫が避暑に来るおばあさんの猫と知ってしまったベンがとった行動は・・・。タイトルと表紙の絵に魅かれて購入。中の絵もカラーだともっといいのに〜。

  • 猫の名前が「りんごひめ」っていうのはいいぞ!

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