天龍八部 第1巻

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198614928

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りて読んだ。金庸は以前にも読んだ事があり、面白いなあと思っていた。図書館でタイトルがずらっと並んでいたので、せっかくならと長そうな続き物の本を借りた。8巻あって読み終わるのに6週間かかった。
    最初の2巻くらいまでは単純な物語だと思っていた。調子のいい段王子の冒険譚だと。
    登場人物は大勢いるけれどどの人もわりと説明どおりで、意外な動きもしないし、その人としての矛盾なく生きていて、作り物みたいな感じが強くしていた。少年漫画みたいだと思っていたけれどそれにしては主人公の成長物語でもないのだ。
    ところが、この作り物感が途中からぐんぐんとその力を発揮してくるから不思議だ。登場人物の特性は変わることなく描かれるために、災難や事件にあったときの人としてのありようが強調される。
    英雄好漢という言葉がよく使われているが、真の英雄好漢とはなにかという問いが、後半には存分に描かれるのだ。
    このテーマに至るまでが結構長くて、すっとばしたくなる。でも、飛ばして読んでしまうとそれはそれでテーマがわからなくなるのだ。
    連載モノだったらしいから、冗漫な感じや次から次へとめまぐるしく事件がおこるのはしかたがないのかもしれない。
    途中まで少年漫画だね、と思ってなめていたので、7巻、8巻の物語の急展開には唖然としてしまった。悲劇的な喬峯の人生や最初から文武両道の誉れ高かった慕容復の末路は長い時間かけて読んできたために胸が痛んだ。江湖で北の喬峯南の慕容と称された2人が悲劇的な最後を迎えたのに対し、何者でもなかった段誉と虚竹が伴侶と地位を得て終わる。この対比は喬峯と慕容復の終わりの哀しさを際立たせる。
    本書は、4という数字が特徴的だ。主人公といえる若者は4人。4つ子の娘、慕容家や段家に付き従う人々もそれぞれ4人などなど。数のしかけを探していくとそれはそれで面白ろそうである。
    金庸の小説の中の女性像は私はかなり好きだ。それぞれが主人公たちの意のままにはけっしてならず、好き勝手に生きている。自分を犠牲にするのも、わがままし放題もすべて自分の意思のままだ。登場する男性たちよりはるかに自由度は高い。

  • 久々に金庸。
    『天龍八部』のドラマを少しだけ観ていたので、思い出しながら読む。

    今回の主人公、段誉の頭の回転の良さ、面白おかしく周りを茶化す様子は流石。それでいて、全く武術が出来ないというのが面白い。
    (武門の出なのに、全くもって武芸を学ぼうとしていないところが面白い。)

    木婉清、かわいそう…。

    段正淳の女たらしっぷりがしょうもなさすぎて呆れてしまうが、こういうハチャメチャな登場人物がいるのも金庸作品の魅力だったりするからなぁ。

    早く続きを読みたい。

  • ぐっと引き込まれるんだけど、場面転換が早いのと、誰が誰だかわからなくなる…
    でも面白いんだよねえ

  • 金庸の作品では『鹿鼎記』に次いで長い物語です。
    それもそのはずで、この物語には主役が四人もいます!
    大理国の王子・段誉(後の憲宗宣仁帝・段正厳)。
    契丹人でありながら漢人として育てられ、丐幇(乞食の組織)の幇主となった蕭峯(喬峯)。
    少林僧でありながら、不本意にも破戒させられ、破門された青年僧・虚竹。
    鮮卑王族の末裔で、五胡十六国時代の燕国の復興を目指す貴公子・慕容復。
    この四人を中心に謀略と闘い、そして恋が錯綜します。
    愛する女性への想い、両親を殺された怨み、戒律を破る苦悩、先祖の国の復興を目指す大望、それら個別の闘いが絡み合い、一つのスペクタクルな物語になってゆきます。
    時代は北宋期、第七代皇帝・哲宗が幼少で、祖母の宣仁太皇太后・高氏が摂政(正確には「垂簾聴政」)として善政をしいていた頃。
    北に契丹族の遼、雲南にタイ族の大理、西方にはチベット族の吐蕃、党項(タングート)族の西夏があり、更には後に金国を建国する女真族の英雄・完顔阿骨打までが現れます。
    最初に登場する段誉は、武術嫌いのヘタレだったのが、思わぬ奇縁で内功を身に付けます。
    湖畔に剣を躍らせる謎の男女の影とは?

    ニン、トン♪

  • ドラマの方を見ていたんですが、一番"面白い"と思った作品です。

  • 時代は北宋、武芸嫌いの大理国王子段誉、悲劇の大英雄喬峰、純朴な少林僧虚竹、大燕国復興を目論む貴公子慕容復の4人の生き様を描く。親世代のしがらみと民族間の争いに翻弄される4人の運命は・・・?

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著者プロフィール

金庸(きん よう, Jin Yong)
1924年3月10日 - 2018年10月30日
中国の小説家。香港の『明報』とシンガポールの『新明日報』の創刊者。武俠小説を代表する作家で、本名は査 良鏞。1955年の『書剣恩仇録』から1972年『鹿鼎記』まで、15作の武俠小説を書いた。その多くは本国で映像化されており、日本でも紹介されている。徳間書店が版権を全て買い取り、翻訳を刊行している。

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