GHQ焚書図書開封3

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198628314

感想・レビュー・書評

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  • 焚書されたからと必ず事実がその書にあるという事では無いが、米国や日本人の支配統制に都合が良くないという事は間違いなさそうだ。そんな観点で読み続けているシリーズ三冊目。

    戦争における日常の死を描く。日記とも小説とも読めるが、ここでは日本兵が死を前にして見せるドラマ、何げない雑談が抜き取られる。案外、いや、それがリアルなのだろうが兵士たちはよく雑談をしてし、よくふざけ合っている。それが普通なのだ。対中戦では、便衣兵の問題を。民間に紛れる為に民間人の衣服を奪う同国人。陵辱も行われる。当時であっても便衣兵は歴とした国際法違反だ。民間人と見分けがつかぬ中、襲撃に対抗すれば、必定、日本人は中国民間人を撃ち間違う。負ければ、全て日本の所為。当時の中国は国家統制されぬ軍閥であり、民間を味方につける意識は薄い。こんな記録を焚書したようだ。勿論、日本兵の行儀が必ずしも良かった訳では無い。

    思えば日本の国土に米軍基地が未だにあり、しかし、何故か憲法9条で平和を気取った、実の無い国のままである。虚構のまま、現実逃避をすべく経済に身を投じてクールジャパンの茶番劇も、そろそろ終わりを迎えなければならないのではないだろうか。主導権を取り戻さねば。

  • 12巻まであるうちの3巻目…
    12まであり、つぎも読むのか読まないのか悩む…

    3巻目のメモ

    ・焚書図書から、
    他国の兵士の悪業を取り上げて
    比較して日本軍を賛美する

    ・菊池寛の消された「大衆明治史」より
    板垣退助の自由民権運動に関して、
    四民平等は国民皆兵と結びついていたこと等指摘する。

    征韓論、今もずっと朝鮮問題と地政学的なこと述べる。

    ・GHQは治安維持法を撤廃する。
    そして釈放した人と接触した。
    それと焚書の関係について示唆する。

    ・あとがき、
    著者は核武装論を展開し、
    保守層の弱さを指摘する。
    そして戦争が悲惨という報道に疑問を投げかける。

    引用
    どうしても克服できないのは
    「自分から」ということです。「自分からする」
    というところができないんです、この国は。
    自己規制とか心の弱さが日本人の問題です。

    なるほどと思う。








  •  本書第3巻は1、2巻が記録物が主に紹介されていたのに対し、心理描写・人間模様・等々の人情物の焚書が中心です。
     本書で紹介された焚書は以下の通り。

    松村益二 『一等兵戰死』春秋社 昭和13年10月
    石丸梧平 『生死直面』人生創造社 昭和15年3月
    倉町秋次 『空の少年兵戰記”灯”』興亞日本社 昭和18年10月
    四至本八郎『開戦 太平洋脱出記』 青磁社 昭和17年5月
    陳登元 別院一郎訳 『敗走千里』 教材社 昭和13年3月
    別院一郎 『續敗走千里』 教材社 昭和14年10月
    棟田博  『分隊長の手記』 新小説社 昭和14年11月
    菊池寛  『大衆明治史(國民版)』汎洋社 昭和17年10月
    平出英夫 『君たちの力』實業の日本社 昭和17年12月

     『一等兵戰死』、『生死直面』、『空の少年兵戰記”灯”』は日本軍兵士による現場体験記録・心理描写・等が中心です。当事者でしか言い表せないような描写・なまめかしい記述が多く、当時をしらない現代人としては「そうか。そういう気持ちなのか。」「そう考える(感じる)ものなのか」等と受け止める一方です。読者の数だけ受け止め方は無数にあると思います。と同時に、様々な「太平洋戦争」「日中戦争」等に関する専門家による歴史書物が本屋に行けば多数あるが、専門家が一生努力しても記述・描写が不可能な、このような当事者による体験記・人情記・心理描写を描いた被害者視点ではない書物が(戦争被害者としての体験告白書物なら多数ありますが)復刊もされずに見当たらない現実に愕然とします。この、漠然と本屋の棚を見るだけでは気づかない視点の書物が実在するということに気づくだけでも本書シリーズの価値があります。

     『開戦 太平洋脱出記』は昭和16年11月30日に南米チリを出航した後、まもなく日米開戦という現実と鳴門丸の置かれた危機的状況に直面し、昭和17年1月に日本無事帰国を果たすまでの鳴門丸船内の客員・船員・船長の行動・団結・心理等を描写したものです。

     『敗走千里』、『續敗走千里』は日本留学中の陳登元氏がシナ事変(日中戦争)勃発時に故郷の様子を見る為帰国した際に国民党軍により強制徴兵されてしまい、シナ事変を国民党軍の側から戦うことになってしまい、その体験記を傷病兵として戦場離脱した後に記録して日本の恩師に宛てて送ってきた(出版を依頼)ものを日本で出版したものです。帰国後、息子の帰国情報を聞きつけた国民党の徴兵官部隊が家庭訪問(家捜しされる)、隠し部屋にいるところを発見され連行される経緯から始まり、偶然のめぐり合わせで銃殺されずに兵士としてシナ事変に参加したことや、現場の兵士の士気の低さ(隙あらば戦線離脱・逃亡したい兵士だらけ。ほとんどが強制徴兵された百姓や匪賊等)、最前線が崩れて退却をすると督戦隊により銃殺されるという四面楚歌な状況におかれているシナ兵士。その他、多くの現場風景・シナ兵士の実態を描写したものです。

     『大衆明治史(國民版)』は昭和17年当時の日本人の感性で描写された「明治時代の歴史」です。現代人(の常識)とはまた一風違った描写になっているのがよくわかります。

     本書で紹介されている焚書本はおおよそ、西洋列強や連合国軍側の国家を批判したものでも、国体に関するものでもなく、ナショナリズムを高揚するかというとまた違います。著者も指摘されておりますが、『一等兵戰死』等の戦場風景の描写はむしろ反戦思想に繋がる書ともいえます。ではなぜ焚書対象になったのか?そこのところが引っかかります。あえて想像するならば当時のリアリティを伝える良書だったからではないかと思います。当時の状況を真っ直ぐ見つめなおす機会が庶民の日常の中にあると、必然的になんらかの意図をもって歴史を作り上げようとする(歪曲偏向史観)勢力にとっては邪魔になるからでしょう。もちろん、焚書された書物が無批判に記述どおりそのまま正しいという根拠は何もありません。第一巻でも指摘されていますが、著者の歴史に対する姿勢は事実の列挙ではなく、物語・思想として浮き彫りにされる歴史の全体像を大切にしていると思うのでそのあたりは考慮して本書に接して行けばいいと思います。社会科学としての歴史(この側面から考慮しても南京事件や従軍慰安婦の2つは明らかに捏造プロパガンダです)と共に物語・思想としての歴史、様々な側面で歴史が語られることでより歴史は豊かになっていくと思います。

  • 暴かれてきた真実。読んで知るべし!!!

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著者プロフィール

西尾 幹二(にしお・かんじ):1935年、東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ドイツ文学者、評論家。著書として『国民の歴史』『江戸のダイナミズム』『異なる悲劇 日本とドイツ』(文藝春秋)、『ヨーロッパの個人主義』『自由の悲劇』(講談社現代新書)、『ヨーロッパ像の転換』『歴史の真贋』(新潮社)、『あなたは自由か』(ちくま新書)など。『西尾幹二全集』(国書刊行会、24年9月完結予定)を刊行中。

「2024年 『日本と西欧の五〇〇年史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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