この国はどこで間違えたのか ~沖縄と福島から見えた日本~

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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198635091

感想・レビュー・書評

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  • 福島の事故と沖縄の問題を同時に考える本。

    アメリカからの独立的な意味で共感できるところはあるのですが、その準備もしなければいけないし、原発反対するにしても、エネルギー問題自体を適切に考えているのか疑問があったりもしました。

    なんとなく、こんな考えもあるのかくらいで、流し読みしてしまいました。
    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4409160.html

  • 一見無関係に見える沖縄と福島を考えた論考だが、広井さんの「定常型社会」という発想に魅力を感じた.元福島県知事の佐藤さんはいろいろな修羅場を乗り越えてきたので、発言に重みがあると思った.

  • この国はどこで間違えたのか

    インタビュー記事の形で、日米と原発の問題=沖縄と福島の問題に焦点を当てた本。
    はめられた元福島県知事佐藤さんの言い分は、とても読みたかったので、読んだのだが、佐藤さんの項はインタビュアーの言葉と佐藤さんの言葉、ほぼ均等というぐらいだったのが、、、ちょっと残念。
    対談本苦手な私にはやはり、読みづらかったが、深い内容をしっかり書かれている。(ただ反体制からの見方に偏ってる??)
    それにしても私には読みづらいので、、、☆3

    まえがき

    ーとこまでも属国根性
    (内田樹/思想家・大学教授)
    70年代明治人が退場
    米國衰え「神話」崩壊
    学生運動根底に反米
    政治家の顔つき変化
    誰も米国に問わない
    在沖基地敗戦の債務
    「2度と負けない」精神
    米箪駐留日本が希望
    自衛隊恐れる政治家
    美化と差別使い分け
    小さな共同体に活路

    ー「ムラ」の瓦解は早い
    (小熊英二/社会学者・大学教授)
    「かつての日本」崩壊
    利権政治の機能不全
    原発コストは青天井
    安保残る最後の聖域
    対抗的専門家育てよ
    紙一重の依存と自立
    「無駄」「危険」は通る
    「さようなら原発10万人集会」にて

    ー物語の中に答えはない
    (開沼博/社会学者・大学院生)
    中央への「自発的服従」
    推進派の中の「善意」
    1年後、関心あるか
    地元は割り切れない
    ムラ内外価値の断絶
    地域守るしたたかさ
    成長幻想の相対化を
    どう「縮む」かを探る
    複雑な現実見据えて
    局長発言歴史の修正
    「DASH村」と「ちゅらさん」
    奪われてなお憧れる
    警告だけむしろ迷惑

    ー自治踏みにじる原発
    (佐藤栄佐久/元福島県知事)
    自治を躁躍する国策
    戦前の官僚体質温存
    国策の前に司法の壁
    分断される国民
    見返りの恩恵の限界
    チェック効かないメデイア
    「自主」の原理に戻れ

    ー神話にすがる日本人
    (佐野眞一/ノンフィクション作家)
    新聞言葉まるで官報
    桜に見た「沈黙の春」
    検証もせずなし崩し
    刻む「捨て身の抗議」
    既存の対立越え発想
    復帰しても基地不変

    ーカネの切れ目は好機溜
    (清水修二/経済学者)
    都市に帰属する地方
    被害額「恩恵」の15倍
    利益還元政治の源流
    利益誘導双子の制度
    「アメ」を拒む自治体の出現
    リスク負う南北の端
    回り続けるコマ構造
    リベンジの落とし穴
    地元に対案求めるな
    誘致の「総括」は必要
    幸福観迫られる転換

    ー「なつかしい」未来を求めて
    (広井良典/大学教授)
    成長志向と決別の時
    若者サポート充実を
    行き詰る中央集権
    米追従高まるリスク
    地域再生愛郷心が鍵
    身近に幸福のヒント

    ー徹底的な破滅から光
    (辺見庸/ジャーナリスト・詩人)
    3・11支援 米の真意
    「トモダチ」を美談化
    「国難」盾に押しつけ
    ファシズム醸す気運
    増幅する破局の予感
    激変に無自覚な社会
    露出した差別の構造
    ルサンチマンの有無
    沖縄側の沖縄観を問う
    虚妄に覆われた時代
    肝苦りさ闘いの原点

    あとがきにかえて

    巻末資料「沖縄と福島の関連年表」

  • 沖縄の米軍基地と福島の原発という、およそ40年前からつづく地方への押し付け問題について、沖縄タイムズ論説委員によるさまざまな論者へのインタビュー集。当事者性をどうもつか、そして地方はかならずしも押し付けられただけ、というわけではないことといった共通項がある一方、「脱原発」は前向きにイメージできても、「脱米軍」はイメージできない、というのは、当事者でなくてもそうかもしれない。自然エネルギーにおいても原発と同じ構造が起こるという警鐘もある。
    偽東京をあちこちに作ろう、という流れでは何も変わらない。けれど、制度設計の失敗ではなくて、国民の公民意識の未成熟ぶりが原因だと内田樹さんはいう。さもありなん、自分に当事者性と成熟があるか自問すれば。

  • 2012最後の一冊。
    僕らの世代はほとんど政治なんて当てにしていないし、絶望していると思う。でもそこで思考を停止してはいけない。考えろ、考えないと死ぬぞ。学べ、学ばないと死ぬぞ。
    そんなことを思った今年。
    最後の一冊。

  • 小熊英二さんの語りから感じられる自信はどこからくるのだろう。原発に関しては、政権が代わり(インタビュー時は前の政権)、軌道修正が明らかになってきた中でも同じ調子で意見を述べるのだろうか。

  • 沖縄が返還されてから40年、福島第一原発一号機が稼働を始めてから41年という年月が経って、その地でどのようなことが起こってきたのかをこの本を読むまで、ほとんど知らずに生きてきたのであって、それはまさしく多くの日本人(沖縄・福島の人を除く)の姿であるのかも知れない(自己を弁護するつもりではない)。かように、私たちは他の人々の苦しみに無関心であり、また他の人々の犠牲のうえに生活が支えられていることにさえ無自覚に生きているのである。でも、当事者の気持ちになることのなんと困難なことか!

  • 沖縄タイムス”国策を問う”という対談記事をまとめたもの。オモニバス版と言っていい。沖縄と福島というキーワードから、8人のインタビューが収録されている。
    内田樹と開沼博が特に良かった。
    内田は、”日本辺境論”の内容を想像していたが、2009年に書かれたそれより、はるかに国家的危機意識が進んでいると感じた。”成長信仰”から抜けだし、人口減少による縮小経済といかに向き合うか。ダウンサイジングをいかに進めていくか。脱原発を選択するには、成長無き国家戦略が提示されなければいけいない。それには、根源的な豊かさの追求が置き去りにされていると指摘する。
    開沼はまだ20代とは確かに思えない。原発誘致と過疎の問題、それは割り切れない意識が含まれる。AかBか、簡単には結論が出ないはずだが、当事者性を欠いた人には、”正しい”ことを平気で言えてしまう。
    この国のことは、もはや他人事では済まされない。公民性、当事者性を一人一人がいかに育てるかが大切だと改めて思う。

  • 2012年、選挙前にこの本を読んでいて本当に良かった。
    少なくとも、政治に対して自分の考えの方向性を見いだすのに
    ピンポイントで、論客の意見を受け取ることができた。

    この選挙後にどういう政策で世の中が動いていくのか、
    注目し続けなければいけない、「今」が一番「その時」であると感じた。

    この本では8名(内田樹さん、小熊英二さん、開沼博さん、佐藤栄佐久さん、佐野眞一さん、清水修二さん、広井良典さん、辺見庸さん)がインタビューに答えているが、
    お一人お一人の考え全てが一致してないにしても、根底にある意識は共通している。
    それに対する、インタビュアーで現在沖縄タイムス社の特別報道チーム兼論説委員であるという渡辺豪さんの鋭い質問と切り返しが秀逸だった。

    本の中で印象深い文章ががたくさんでてきたけれど、
    一番心に残っている場面は、福島県の立ち入り禁止エリアである
    夜の森公園の写真だった。
    ほかに人がいないなかに佐野さんとスタッフだけが白い防護服を着て写っていて、満開の桜並木に包まれている。
    佐野眞一さんは「沈黙の春」と表現され、「来年以降もおそらく見る者が誰もいない中、桜が咲き誇っていくんだろう・・・そこに原発事故を最も象徴する『何か』を感じ取りましたね。」と仰っていた。

    タイトルは「この国はどこで間違えたのか」という過去形の問題を提起し、
    その目的は未来に対して「個」がどうかかわっていくかというのが
    この本の本題だと思う。
    私も掲げられている問題に関わっていこうと思った。

  • 福島、沖縄から、日本の様々な軋轢を見つめる。同じ事象を扱っていても、各専門家の専門領域が違うだけで、こんなにも違う世界がみえるものかと感動した。また、福島・沖縄から、本当に問題なのは、日本の政治、国民の「当事者意識の欠如」なのではないかと思った。
    とにかく、論客たちのいいとこどりなので、読んでみたらいいと思う。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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