ただ、見つめていた (児童書)

  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198644468

作品紹介・あらすじ

あるリゾート地の浜辺で、階段にすわっている少女がいた。少女が見つめているのは、仲のよい家族連れで、幼い妹の相手をしている14,5歳の兄。もう一人は、金髪のライフガードの青年。ふたりは。少女の視線に気づいてはいたが、それぞれの悩みに気をとられ、少女にかかわろうとはしない。けれどもある日、少女の家庭の事情を知ることになり…? 離婚、死んだ兄の影、虐待という問題に苦しむ若者たちの心理を繊細かつミステリアスに描くYA文学。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台はリゾート地の夏の海岸。階段から海岸の人々を見つめている少女マーガレット、ライフガードの青年クリス、家族でバカンスに来ている少年エヴァン。マーガレットはライフガードとして活躍するクリスに憧れ、仲睦まじく見えるエヴァンの家族を羨ましく感じるが、クリスもエヴァンもそれぞれに悩みを抱えていた。
    語り手を替えながら進むストーリー。進むほどにそれぞれの心の苦しみが浮き彫りになり時々切ないが、進路に悩みつつも毎夜のバカ騒ぎに逃げてしまうクリスのハイティーンならではの迷い、イケてる男子に誘われ背伸びするエヴァンのローティーンならではの悩みがすごくリアルで、読む側も惑わされながらもドキドキした。そして、語り手が替わるからこそ、それぞれの「想像」と「現実」の違いもまた浮き彫りになる。その描写がなかなかにエグい。
    章のはじめに時々現れる、誰かの創作?のような拙い物語。素人っぽすぎて何だこれと思っていたが、徐々にそれを書いたのが誰で、登場人物が誰をモデルにしてるのかうっすらわかってくる。わかってきた矢先の、衝撃の出来事…。
    一方通行だった、それぞれの「想像」と「現実」が、クライマックスでガチッと合わさる。あまり長くはないストーリーなのに、余韻がすごく後を引く。私自身も、登場人物達に対し、あれこれ想像を巡らしまくっている。あまり詳しく語られていないからこそ、物語に奥行きを感じるのだ。どちらかというと地味で、わかりやすい展開ではないかもしれないが…個人的にはツボにハマった。そして、舞台が夏というのもよかった。海でのバカンスを楽しむ一方で、己の心の葛藤に向き合う若者達。様々な濃淡の喜怒哀楽がぶつかり合い、成長するのって夏ならではだよなと思うのだ。

  •  リゾート地の海岸に、いつも一人で浜辺の家族やライフガードを見つめている少女がいた。皆、その少女に気づいてはいたが、何者かは知らなかったし詮索もしなかった。

     浜辺で遊ぶ家族のエヴァンとコーリーの兄妹からの視線の物語と、ライフガードのクリスからの視線の物語を含めた物語。

     

  • 夏の海辺、妹と家族で夏を過ごしに来ているエヴェン。しかし、両親は離婚しそうな雰囲気で妹のコーリーは、不安で兄のエヴァンを頼りにしている。ライフガードのコリンは、幼いころに亡くなった兄の事が忘れられない父親の元で暮らすことができず、大学へは行かずにライフガードとしてこの町で暮らしているが、生活は荒れている。
    ハンサムなコリンと一見平和な仲の良い家族に見えるエヴァン。その二人をいつも遠くから見つめている少女・マーガレット。それぞれが抱える心の不安が少しづつ音を立て始める。そして、マーガレットが思い詰めてとった行動から思わぬ事件へと発展する。

    年齢は少しづつ違うが、それぞれに不安定な気持ちを抱いている3人が、少しづつ近づき始め一気に事件へと動いていく。マーガレットは救われるが、エヴェンとコリンは、これからどうなるのか。想像がいろいろ膨らんで、希望と不安がないまぜの読後感だった。

  • マーガレットは観光客でにぎわう夏の砂浜を見ていた。特に気になるのは、ある家族の少年コーリーだった。そしてもう一人、監視員の青年クリス。マーガレットは誰にも話しかけない。ただ見つめているだけ。空想の中で、彼らと自分を登場人物にしながら。一方コーリーとクリスは、自分をじっとみつめているマーガレットが気になっていた…。
    それぞれが問題をかかえながら、互いを見つめるだけの3人だったが、ある重大な事件が、彼らを一気に結びつける!
    心を揺さぶる物語。

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著者プロフィール

「なぞのうさぎバニキュラ」シリーズをはじめ、子ども向けに90冊以上の本を出版。数々の賞も受賞している。ニューヨーク在住。

「2017年 『ただ、見つめていた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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