タイコたたきの夢 (児童書)

  • 徳間書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (108ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198646639

作品紹介・あらすじ

ある日、ひとりの男が町の通りをねりあるき、タイコをたたいてさけびだした。「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」。町の人びとは、平和な町をおびやかすタイコたたきを捕らえようとしたが、タイコたたきの言葉はしだいに広がり、ついに、町じゅうでタイコの音がひびくようになった。タイコたたきたちは、よりよいくにとくらしをめざして町を出た…。『熊とにんげん』の著者チムニクによる絵物語、復刊第ニ弾。

感想・レビュー・書評

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  • 『熊とにんげん』がとても良かったので読んでみる。

    平和に暮らしている(といっても貧富の差はある)町の暮らしを批判した男の声が広がって、町を出ていった人たちが平等で豊かな暮らしを求めて出ていくところを読んだら、まあ正直言って共産主義のプロパガンダ的な作品かと思う。発表されたのも(この本には書かれていないが)1958年で、まだソ連に力があった頃だし。
     タイコたたきたちは立派な理想をもって街を出たのではあるが、時に侵略者となり、暴徒と化し、目先の欲望に左右される。ここまでくると、ああ、昔よく聞いた共産党批判か、と思う。
     しかしさすがチムニク、そんな今まで何度も聞いたような単純な寓話ではない。ラストまで読むと、そんな一つの政治体制の話ではなく、人間の業がなしてきたことを描いているるということがわかる。どんな恵まれたところにいても、恵まれていなければなおさら「ここではないどこか」を求める人の気持ちが、人間の歴史を作ってきたということ。そしてそれは止めようがないということ。
    ラストシーンを見たときの複雑な思いをなんと表現したらよいか。

    チムニクの画力の素晴らしさ。表紙の色づかい、デザインのなんと洗練されていること。絵を見るだけでもこの本の良さがわかる。

  • よりよいくにとくらしをめざし、たいこたたきはどんどん増えていく。

  • ライナー・チムニクを知らなくて、読んでみたくなって、図書館ですごく悩んだけどタイトルが気になるこの作品から。

    この、物語のメタファーを色んなものに例えながら、でも今は一番気になる人種の問題と重なって読んでしまった。

    「ゆこう どこかにあるはずた
    もっとよいくに よいくらし!」

    ある日、ひとりの男がこうさけびながら、タイコをたたいてねりあるく。
    町をかき乱すその男を捕まえ閉じ込めたはずの牢屋から出て、牢番と男がならんでタイコをたたいて行く姿を町の人々はみる。そうして次々にタイコたたきは増えていく。

    これは夢に向かって進む未来ある寓話なのかなと思って読み進めると、とんでもない、そんな単純な話じゃなかった。

    レオナルド・ショボーのように、時に児童書には児童書とは思えないような道を示してくる本がある。そんな小さなショックをうけてしまった。

    絵もすごくいいな。

  •  考えさせられるタイプの物語。薄めではあるけれど、あまり下の学年向けではないかな。

  • 「ある日、ひとりの男が町の通りをねりあるき、タイコをたたいてさけびだした。「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」。町の人びとは、平和な町をおびやかすタイコたたきを捕らえようとしたが、タイコたたきの言葉はしだいに広がり、ついに、町じゅうでタイコの音がひびくようになった。タイコたたきたちは、よりよいくにとくらしをめざして町を出た…。『熊とにんげん』の著者チムニクによる絵物語、復刊第ニ弾。」

  • 「ゆこう、どこかにあるはずだ もっとよい国 よい暮らし」。苦難の旅の先にはどんな一体どんなステキな場所にたどり着くのだろうと読み進めていたが。。。
    今よりもっといい暮らしを求める人はどこにでもいるし、みんなの心の中にある想いなんだろうなぁ。
    自分はタイコ叩きになるだろうか?町に残るだろうか?タイコ叩きは自分1人じゃないことに安心しているかもしれない。それが勇気になる時もある。でも、暴力になることもある。人間は分かち合うことがどうして困難なんだろう。

    子どもが読んだらどんな感想なんだろう?
    2019.0817

  • 祝復刊!

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    ある日、ひとりの男が町の通りをねりあるき、タイコをたたいてさけびだした。「ゆこう どこかにあるはずだ もっとよいくに よいくらし!」。町の人びとは、平和な町を乱すタイコたたきを捕らえようとしたが、タイコたたきの言葉はしだいに広がって…?
    『熊とにんげん』などで知られる絵物語の名手チムニクの名作を復刊。表紙はオリジナルの表紙の装画を活かしました。
    http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198646639

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著者プロフィール

1930年ポーランドに生まれ、ドイツに移ってミュンヘンの美術アカデミーで学ぶ。『熊とにんげん』『クレーン男』など、詩的な文章と繊細なイラストの作品で一世を風靡した。

「2018年 『タイコたたきの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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