- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198647117
作品紹介・あらすじ
著者はいずれも世間に知られている著名人(文中実名)たちと向島に繰り出して芸者を上げる。その場で興に乗った芸者たちは「さくらももこ」さんの『おどるポンポコリン』を歌いそして踊った。その芸者たちの立ち居振る舞いから著者はある「直観」を働かせる。人生80有余年にして体得した「発想の極意」をここに全公開する。
感想・レビュー・書評
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私が社会人になったのが平成元年、ほどなくバブルが弾け、政府が認めたのはかなり経過してからですが、企業は微妙にその雰囲気を嗅ぎ取っていて、新入社員の抑制・そして退職した人の補充無し、という段階を経て、リストラ嵐となりました。そのお陰で若いということでリストラ対象にならなかった分、どの部署へ行っても「下っ端」扱いだったと記憶しています。
そんな時、何とか自分の意見を通せないものかな、という思いで本を読み始めました。これから世界経済はどうなるのか、その中で日本はどうあるべきか、政治家ではなく会社員の立場で書かれた本を読むように心がけてきました。
その時からよく読んだ人として、堺屋太一・船井幸雄・大前研一・竹村健一・渡部昇一、そしてこの本の著者である、日下公人氏です。彼は私の父よりも3歳も年上でありながら、頭はいまだに冴えていて、この5年間でも、新刊が出るたびに購入して読んでいます。
その彼が最近になって「総括」という言葉をタイトルで使いました。いよいよ総まとめにとりかかっているのだなと思っています。あと彼の新作を何冊読めるか、私の社会人生活を支えてくれた日下氏に感謝するばかりです。
以下は気になったポイントです。
・熟睡しても何もひらめかないのは、眠る前にきちんと「材料」を仕入れていないから(p16)
・関西地方に第二帝国大学をつくってほしいという要請に対して、岡山が先、次に京都が名乗りを上げた。当初は岡山が有力であったが、結局は、旧制三高を母体とした京都に創立された(p27)
・日下氏が現在入居している老人施設「グランダ」を経営しているのは、ベネッセホールディングズで、岡山が本社である(p29)
・岡山理科大学は、海と川の魚が一緒に泳げる魔法の水を発明している(p32)
・軍政とは、軍人が直接行うものではなく、占領当初は軍人が入って治安回復をするが、その後は軍属の民間人が派遣される(p41)
・日本経済の復興は、傾斜生産よりも、闇市の流通であると思っている(p53)
・様々なイフを考えて何通りものストーリーをつくり、第二幕・第三幕を想像すると人生が楽しくなり、ビジネスでも成功する可能性が広がる(p75)
・発想の翼を自由に大きく広げて拡散思考の訓練を積んでいくと、自分なりのストーリーがつくれて、より長期的な展望が持てる(p80)
・日本の国民が好きで一生懸命なものとして、マンガ・音楽・勉強・ゲーム・食事・アパレル・旅行・テレビなど、これらは自然に輸出競争力を身に着けつつある(p101)
・数字とかデータは、そもそも人を騙すようにつくってあると心すべき(p116)
・直観力を磨くには、実体験を重視・自由な勉強・1つの問題を縦から横から見る・手作りの情報が貴重・知識理論は必要になった時に学ぶ・友人との会話・放心の時間も重要(p117)
・リサーチだの理由をつけるよりも、やる気、が一番大事である。アメリカ側の日本軽視、日本側のデータ軽視、やる気重視が、ホンダのアメリカ進出の話(p118)
・アメリカでは「おまえらよりも俺の方がよほど賢い」というフリをしていないと生きていけない(p123)
・インチキのノウハウを見破るには、1)動機で見る、
2)結果で見る、3)関係者で見る、4)理論づけのインチキを見る(p131)
・知識や暗記が大事なのではなく、データからどんなストーリーを組み立てられるかがカギ、マンガ・アニメを通して鍛え上げられてきた日本人の「ストーリー力」が強みを発揮する(p143)
・不動産投資でたくさん土地を買った親が息子や娘に譲りたいということで、相続税対策のために大学をつくった、子供を理事長にすれば土地を譲れる(p153)
・最初に教育権は国にあると言ったのは、プロイセンの王フリードリッヒ・ヴィルヘルム三世(1797-1840)である、国家には子供を教える権利、親には子供を差し出す義務があるとした、これを日本は富国強兵のために取り入れた(p157、160)
・相手と向き合い、全身で取り組み、手で触り、指で撫でる、そんな接し方をしないと、ユニークでオリジナリティがある発想・説得力はできない(p162)
・美人を追いかけるような男は三流だ、と言われてきた背景としては、「美人・不美人や賢・愚より、女は愛嬌、男は度胸」という価値観があった、さらには「勉強第一ではない、しっかり友達をつくれ」という考え方もあった(p169)
・氷河期のどん底だった二万年前を過ぎると平均気温が高くなって海面が上昇、次から次へと島ができた、それが、淡路島・四国・隠岐・九州・本州ができ、という古事記の記述と合う(p217)
・アメリカ人が各国別に調査したところビックシステム(軍隊、政治、裁判所、警察、税務署、医療、教育、金融など)が信頼されているのは日本だけ(p225)
・世の中の出来事は、1)写真映像など、視覚的な情報である「ピクチャー」、2)事件を動かしている「キャラクター」、3)起こったことに解釈を含めた「ストーリー」が重要な構成要素となっている(p229)
・ポケモン、ワンピースは描いても描いても途絶えることがなかった、敵同士でも分かり合うようにある、涙を流すというストーリーが目立つ。スタジオジブリにはそれができなかった、教条主義的であった(p233)
・神仏習合=本地垂迹説の考え方によって、神と仏を一緒にする(伊勢神宮の本地は大日如来、熊野三山の本地は阿弥陀仏、石清水八幡宮の本地は観自在菩薩など)ことによって、古くからあった神道と新しく入ってきた仏教の対立をうまく回避した(p237)
・昭和20年の敗戦を境にした「戦前派」「戦後派」と同じように、311を境にして「震災前派」「災後派」に分けられる、自衛隊に対する姿勢がその一例(p239)
・災後派となった、戦前派の思いの代表としては、「津波は百年に一度くらい来るらしいが、どうせ来るなら来たのが私の時でよかった、孫の時代では孫たちが可哀そう」という言葉である(p241)
2018年11月11日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近何冊か読んで面白かったので、題名から選んで入手して読んでみた。「発想」の極意 という内容ではないな。でも面白い。この人の発想というか考え方にはバイアスが無く、とても自由に考えているなぁ、と思う。
この手の本は最初の方が中身が濃く、後ろに行くに従って調整要素が増えてくるものだが、この本も後ろの方は読み物として面白く、この人やはり凄い、と思わせるのは前の方。
■考えるより感じなさい
■直観力
■アナリシスとアナロジー
■アカデミズムからプラグマティズムへ
■教科書で得た知識より、実体験で得た知恵
■一つの問題に対して縦と横から考える
■教条主義にならない
■感度の高いアンテナを張っておく
直観力は昨年読んだ小林秀雄の本にもあったし、グローバリズムの罠という言葉はエマニュエル・トッドの本にもあった。こういう人達の考え方が好きなのかもしれない。
現時点ではハッキリとは起こっていないことに警鐘を鳴らしてくれる人のメッセージは忘れないようにしたい。 -
結局何が言いたいのか、私の力では汲み取ることができなかったが、読みやすかった。これだけ過去のことを多く書ける著者の知識量はすごい。
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長い目と短い目 スパンの長さ
金魚鉢の法則 器にスケールが合う
第三次産業 筋肉型サービス産業
第四次産業 頭脳型サービス産業
第五次産業 ハート型サービス産業
本田宗一郎 大事な事は後から学校で学べば良い
学歴が大事ではなく一生の向学心が大事
パブリックスクールの教育方針は①楽観的であれ②勇敢であれ
これはリーダーの必須の要素
アメリカは金融でおかしくなっている
ファンドと言う中身のわからない福袋
学資ローンの優先弁済を義務づけた悪徳制度
日下公人氏は当時軽いと思っていたけども、やはりそれなりの深い人物
かっては教養に裏付けされた優秀な人が多い 竹内均氏も