山あいの段々畑に花を植え続けた夫婦と小さな村の物語 花のあとさき ~あのときムツさんにきいたこと

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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198651923

作品紹介・あらすじ

この本は、埼玉県秩父市の山あいの集落、太田部楢尾を18年にわたり記録したTVドキュメンタリー『秩父山中 花のあとさき』、そして映画『花のあとさき』をもとに生まれました。

多くの人の心に深く残った小林ムツさんや楢尾の方々の言葉を、新たに解説を加えた取材シーン、18年間の取材エピーソードととともに振り返る1冊。

【はじめに】(プロデューサー 伊藤純氏)より抜粋

「長い間お世話になった畑が荒れ果てていくのは申し訳ない。せめて花を咲かせて、山に還したい」
 それからずっとふたりで、植えて、育てて、咲かせて――。
 山の上からはじまった斜面の花園は年々広がっていきました。それはまるでふるさとに花を手向け、終わり支度をしているかのようでした。ふたりが心がけていたのは、いつか誰も世話をする人がいなくなっても咲く、丈夫な花を育てること。人も花も、老いて枯れるときが来ても、いのちが次に引き継がれるように……。

 そうした夫婦の日々と楢尾の四季の移り変わりを、私たちは2001(平成13)年から記録してテレビドキュメンタリーとして放送し、さらにその集大成ともいえる映画『花のあとさき』を2020(令和2)年に公開しました。コロナ渦の中ではありましたが、ムツさんを愛するたくさんのみなさんに支えられ、いまも映画の上映は続いています。日本列島のどこかの映画館で、いつまでも末永くムツさんが微笑んでいてくれるとしたら、これほどありがたいことはありません。
 今回、私たちは本の形で、18年続けてきた取材をまとめました。そのいちばん大きな理由は、
楢尾の人たちの〝言葉〟を目に見える形でのこしたいと思ったことです。花について、森について、あるいは生きることについて、ムツさんたちがふともらす言葉は、私たちを何度もハッとさせ、考え込ませました。ですから、この本を読んでくださるみなさんは、もちろん最初から順々に読んでいただくのはうれしいですけれど、どこかをパラリと開いて、そこにある〝言葉〟を味わっていただいてもいいかもしれません。


【はじめに】

【登場人物】

【物語の舞台】

花を手向けるひと
【公一さんとムツさんの終わり支度】

太田部楢尾との18年 ①

ムツさんの花はいま

木を守るひと
【武さんの信念】

太田部楢尾との18年 ②

ひとりきりの秋【愛着と寂しさと】

太田部楢尾との18年 ③

ふたりのモミジはいま

花のあとさき
【ムツさんがのこしたこと】

太田部楢尾との18年 ④

2021年春 太田部楢尾を歩く

【おわりに】 ……140

著者プロフィール

1956年生まれ。専門は日本史全般。帝塚山大学・大阪商業大学非常勤
講師。著書に『森琴石と歩く大阪』(東方出版、共編著)、『歴史探
索のおもしろさ』(和泉書院)など。

「2017年 『館長と学ぼう 大阪の新しい歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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