D列車でいこう (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931834

作品紹介・あらすじ

廃線が決定したローカル鉄道を救いたいと、退職した上に会社を創ってまで田舎町にやって来た三人組-才色兼備でMBA取得の女性ミュージシャン、良心的な融資を誇りにしてきた元銀行支店長、そして鉄道オタクのリタイア官僚。最初は戸惑っていた町民たちも、次々繰り出される彼らの奇抜な計画に、気づけばすっかり乗せられて。なぜか再建を渋る町長の重い腰は、果たして上がるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 有川浩「県庁おもてなし課」、黒田伸一「限界集落株式会社」、あるいは真保裕一「ローカル線で行こう」などに類する、地方振興応援+お仕事小説といえようか。
    定年間近のおじさん二人と若い才媛女性の三人組が、万年赤字のローカル線の廃線予定を阻止すべく、奮闘努力して、やがてハッピーエンド。
    読後、小気味よい面白さを味わいながら、自分も頑張らなきゃっ、という思いにさせてくれる人生応援歌(小説)。
    そして、TAKE THE "A"TRAINを聴きたくなった。

  • 廃線が決定済みのローカル線を再生する、プロジェクトXな物語。

    とは言え、地方交通の苦境と言う現実を見るにつれ、そんなものは到底夢物語、フィクションとしか思えないのもまた事実。ありきたりのアイディアで簡単に黒字になっちゃう話なら承知しないぞ、と意味も無く上から目線で読み始めたのですが…。

    うむむ、これは面白い。最初に実行されたプラン、「リアル運転士講座」を見て思わず唸ってしまいました。碓氷峠を筆頭に運転体験はいまやすっかりポピュラーなイベントとなりましたが、ガチな動免養成を体験しようという発想はありそうでなかったし、確かにマニアを引き付けるものがあります。これ、規律訓練や企業理念の唱和もあるんでしょうか(笑)。

    もちろん、本作をそのまま現実化したら千客万来になるかと言えば、そんな事はないでしょう。駅に絵を展示して切符を配っても、その切符は記念に仕舞われて家族で車で見に来て、周辺は大渋滞&違法駐車、苦情の嵐、が普通の展開でしょう。だけど、こんな引き出しもあるんだ、あんな切り口もあるんだ、まだ鉄道は捨てたものじゃない、そう希望を抱かせてくれる面白さが文中からあふれ出てきました。

    ビジネス、こと主人公の前職である銀行にまつわる描写もリアリティがあって興味深かったです。ここの部分だけでもう1作書いて欲しい程ですが、ひょっとしてもう世に出ているのでしょうか?

  • 廃線が決まったローカル鉄道をなんとか存続させたいと、銀行支店長の河原崎とその部下でやり手の深田由希は銀行を辞め、元公務員の田中は二億円の個人資産を山花鉄道のために使いたいと言う。
    そして、3人は会社を立ち上げ、様々なアイデアで山花鉄道に人を集めていく。
    しかし、鉄道会社の社長である町長からは良い顔をされず…
    3人が第2の人生をかけた鉄道は存続なるか!?
    鉄道ファンにはたまらない、夢の詰まった物語だ。

    2018.4.29

  • 4月から働く環境がガラリと変わり、新たな気持ちでがんばろう思い選んだ1冊です。
    既存の概念を変えようとするときや新しいことを始めるとき、1人では成し遂げることが難しいと思うことも同じ志を持つ仲間と一緒だったら前向きに取り組むことができます。
    また、わたしにとっては仕事への姿勢を再確認できる物語でした。
    仕事はチームで進めるもの、段取りが大事、時代の変化にしなやかに対応する、縁を大切にする、等々、これらのことを全て完璧に実行することは難しいですが、頭の隅に置いておかねばと強く思いました。

  • 2年後に廃止されることが決まっていた山花鉄道
    そんな山花線を残したいという思いで会社を立ち上げ、奮闘する3人組の物語です。
    会社を辞めたり自らの資金を投資してまでローカル線の再建に挑む3人の行動力に感心しながら読みました。

  • 読んでいる途中で電車が好きだった子供の頃を思い出しました。

  • 中だるみが…
    終わり良ければすべて良し!
    ただ、仕事に関しての考え方とか
    役に立ちそうな発想が、今の自分
    にとても刺激になりました!

  • 途中からは特に谷の無い登るだけのお話だったから、手に汗握るっていう感じではなかったけど、そして、紅白はないわと思ったけど、楽しく仕事をするわくわく感は味わえた。
    出来れば黒字化と思ったけど、そんなに新しいイベントを目白押しにしてもなお、黒字化しないものなのかな?
    こんなに優秀なコンサルタントなら、是非とも一緒に仕事をしていただきたいものです。

  • アイデアを出しあっている時の楽しさ、安定した職場を捨てても良かったと思える充実感、混ぜて欲しい。

  • いすみ鉄道や銚子鉄道を題材にした、地方の慢性赤字鉄道が復活するストーリー。
    主人公は年齢や立場が違う三人組だが、ヒロインがメガバンクを退職してまでのめり込む理由がよくわからない。
    また、会社組織になっていない、もしくは設立したばかりの会社を役所が信用するはずもなく、都合よく全てがうまくいく展開はファンタジーそのもの。
    土地売却益の話しも消化不良で何がしたいのか…

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著者プロフィール

1954年東京都生まれ。東京大学在学中に野田秀樹らと劇団「夢の遊眠社」を設立。企業のエンジニアを経て、シリコンバレーのベンチャー設立に参加。99年「天使の漂流」で第16回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞。2005年『覇権の標的』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞優秀賞を受賞し、デビュー。主な著書に『D列車でいこう』『インバウンド』『横浜黄金町パフィー通り』など。『終電の神様』で第9回エキナカ書店大賞受賞。

「2022年 『終電の神様 殺し屋の夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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