高原のフーダニット (徳間文庫 あ 59-1)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198939069

作品紹介・あらすじ

「分身のような双子の弟を殺しました」臨床犯罪学者・火村英生に、電話の男は突然告白した。そして翌日、死体は発見された。弟に加え兄の撲殺体までも……。透徹した論理で犯人を暴く表題作はじめ、推理作家・有栖川有栖の夜ごとの怪夢を描く異色作「ミステリ夢十夜」、神話のふるさと淡路島で火村を待ち受ける奇天烈な金満家殺人事件「オノコロ島ラプソディ」。絶品有栖川ミステリ全3編。

感想・レビュー・書評

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  • この作者にはいろいろ不満がありながらも、僥倖の良作を期待していたのだが。残念だ。表題作はトリックがつまらないし、「ミステリ夢十夜」は夏目漱石に及ぶべきもない。構想のない思い付きを書いただけだ。それに、やっぱり探偵役の火村英生に魅力が足らない。

  • 表題作の高原のフーダニットが個人的に好みだった。やはり火村有栖コンビの雰囲気は読めば読むほど好きになる。

  • 今回は中編2本にショートショートを加えたちょっと特殊な仕立て。

    中編2本も楽しかったのだけれど、個人的にはショートショート10本が面白かったなー。
    火村シリーズでは絶対に有り得ないであろう展開のものも沢山あったし、何より登場人物がオールスターな感じで「おっ、この人ここで出てくるんだ!」みたいな楽しみがあった。

    そして「高原のフーダニット」で最後に語られるアリスにとっての探偵論に物凄く納得して頷いてしまった。
    私も探偵はそうだと思う、最近は本当にそういうタイプの探偵もちらほらいるけれど(というより作者の別シリーズにもいた気がするけども)。


    もうそろそろこのシリーズも読破してしまいそうな感じだなぁ、早く読みたいようなゆっくり読み終わりたいような……。

  • 有栖川有栖の火村シリーズは大体読んだ筈なのだが、私が長編好きなのもあって時折読み漏れがある。
    「高原のフーダニット」はこれまで未読の中編集(「ミステリ夢十夜」は中編と呼んでいいのか分からないが)。
    叙述トリックの話題を枕に、禁じ手に近いアリバイ工作が暴かれる「オノコロ島ラプソディ」。本編中に何度かラプソディ・イン・ブルーが流れるからラプソディなのか。「ラプソディ」という響きはなんだか使いたくなる響きである。日本語にすると狂詩曲でミステリっぽいし。
    「ミステリ夢十夜」はちょっと意表をつかれたというか、意欲作ではあるのだが、型に嵌ったミステリ好きな私には戸惑いの方が大きかった。むしろアンソロジーとかで組んでくれた方が(この中編集の真ん中に置かれると落ち着かない)。
    表題作「高原のフーダニット」は正真正銘の本格ミステリ、フーダニット。ミステリ好きならフーダニットは通じると思うのだがそうでもないのか。所謂「論理で相手を詰めて『あなたしかあり得ない』と突きつける」タイプの推理で、火村英生はこういうものが多い。一生懸命読者が考えて理解するタイプのやつだ。探偵にも色々ある。
    共通するのは、助手アリスのなんでもない発言が探偵火村に閃きをもたらすことがあり、そしてそれを火村がアリスに期待していること。ポアロにおけるヘイスティングズである。探偵と助手の理想型であろうか。学生アリスシリーズだと、「凄いけど腰が重い江神二郎と、侃侃諤諤に議論して推理する他EMCメンバー」という感じがあるのでやはりテイストが違うなと。ところで学生アリスシリーズはいつ完結しますかね...

  • 『オノコロ島ラプソディ』『ミステリ夢十夜』『高原のフーダニット』の三篇からなる火村とアリスのバディものの短編集。

    『オノコロ島ラプソディ』
    淡路島に骨休めに来ていた火村准教授に届いた事件の報せに、仕事が行き詰っていたアリスが強引に息抜き兼助手業に押し掛ける、作者いわくドタバタミステリになる予定だったミステリ。
    ちょうど家族で淡路島に遊びに行ったあと読み始め、おお知ってる場所だ!とひっそり楽しかったお話(笑)

    『ミステリ夢十夜』
    "こんな夢を見た。"の一文から始まるかの有名な夢十夜のアリス版。どの夢もきな臭い事件に巻き込まれるアリスは今日もたぶん変な夢を見て、友人の犯罪学者と解決しているのだろうか。ちょっとうらやましくもあり、職業病だよね、とも思い(笑)2,3,4,9夜がとくに好き。これが読みたくてこの本を読み始めたんだった。

    『高原のフーダニット』
    二年前に関わった事件で容疑を晴らした縁のある双子の兄のほうから火村に電話がかかる。自分は弟を殺してしまった、自首するつもりだが一日待ってほしいという彼の言葉を受けた火村。その翌日、しかし事件は思わぬ展開を見せる。兄も誰かに殺されていたのだった。
    いつもと違う火村の犯人への怒りを感じて、読み応えのある一篇だった。

    それにしても、アリスのやわらかででも矜持のある語り方がものすごく好きだ。火村と言う人が弱いとは思わないけれど、たしかにアリスの存在が安定の底辺にしっかり組み込まれていることが微笑ましい。それがアリスに伝わっていることが、微笑ましい。

  • ミステリ夢十夜がいつもとは違って楽しめた。

  • 有栖川作品は文庫なら(笑)、ほぼ全部よんでいますが、今回も安定の有栖川さん。いつも通り、読みやすくてサクサクと読み進めた。オノコロ島ラプソディより表題作の高原のフーダニットの方が好き。間のミステリ夢十夜はフワッとしててはっきり決着しないので私的にはあまり好みではなかった。
    (2023/10/8、他の読書管理サイトからお引越し。レビューは読了当時の記録。)

  • 1.オノコロ島ラプソディ
    現実的ではないトリック、フィクションだからこそできる作品。

    2.ミステリ夢十夜
    これまでとは毛色の違う作品で、好みが分かれそう。

    3.高原のフーダニット
    兵庫県の風薫る高原で起こる殺人事件に火村とアリスのコンビが挑む。小難しいトリックがある訳ではなく、出てくる証拠を淡々と整理していくような感じ。

  • 中編小説3つが収録。 

    『夢中夜』は夢のお話ばかり、
    10編あります。
    奇怪だったりホラーだったり、ギャグだったり。

  • かなり毛色の変わった作品がひとつ。
    夢のやつ。
    異色ゆえに記憶に残った

    2020.11.1
    109

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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