警視庁心理捜査官 KEEP OUT II 現着 〈新装版〉 (徳間文庫)
- 徳間書店 (2021年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198946500
作品紹介・あらすじ
男社会の牙城ともいえる警察組織。何かというと、女はすっこんでろ! とドスを利かせた台詞が飛び交ったりするものだが、どっこい、この二人にはそんなものは蛙の面にションベン、右から左への吹き流し。下手すりゃ、言ったほうが大ヤケドを食らってしまう。警視庁心理捜査官シリーズの名コンビ、柳原明日香と吉村爽子。部内の権力闘争の結果、公安部から捜査一課に異動した明日香(『公安捜査官 柳原明日香』)。ある事件での規律違反を問われ警視庁捜査一課から所轄の多摩中央署に都落ちした爽子(『警視庁心理捜査官』『Keep Out』)。二人あるところに難事件あり。硬直した頭脳の持ち主の男刑事たちを尻目に、しなやかにしたたかに事件を解決に導く。ネオ警察小説の旗手が送る全三篇の事件簿。こんなに正々堂々と本筋で女が大活躍する警察小説、ほかに見たことがない!
感想・レビュー・書評
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黒崎視音『警視庁心理捜査官 KEEP OUT II 現着』徳間文庫。
新装版が刊行されたので、5年ぶりに再読。中短編3編収録のシリーズ第5弾。
シリーズ第1作は警視庁捜査一課に初めて誕生した女性心理捜査官の吉村爽子が主役の物語で、柳原明日香は吉村が尊敬する上司という役回りであった。第2作でも吉村爽子が主役を務めるが、第3作、第4作の主役は柳原明日香に代わり、この第5作では二人がダブルヒロインという設定になのだが、やはり元公安の女狐と呼ばれた柳原明日香の方が吉村爽子より遥かに上手のようだ。
『嗤う女狐』。時代的には『警視庁心理捜査官』のシリーズ第1作の前になる。柳原明日香の元に27歳の吉村爽子が転任するところから物語が始まる。元公安の女狐と呼ばれた柳原明日香が特殊詐欺グループのメンバーを手玉に取る。
『寝台刑事』。吉村爽子が捜査一課から所轄に左遷されてからの物語。一種の安楽椅子探偵物。マンションの五階から投身自殺を図ったと思われる不動産投資会社の男性経営者。しかし、男性の着衣や部屋の様子に不可解な点が見付かる。吉村爽子は風邪で寝込み、実際の捜査にあたるのは部下の支倉。ベッドで熱にうなされながらも、吉村は支倉に事件解決の的確なヒントを与える。
『嵐のなかで』。こちらも吉村爽子が所轄に左遷されてからの物語。若い女性が自宅の玄関で心臓を刺された状態で発見させる。捜査方針に異を唱えたことから所轄の中で孤立無援となった吉村爽子の前に現れた柳原明日香。警察の誤認逮捕も自らのチャンスに変えてしまう柳原明日香は生まれながらの女狐だ。
本体価格720円
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自分の気分だけで行動するってどうよ。それが犯罪なら、さらに気分悪い。ガッチリ捕まってホッとした。