有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客 (徳間文庫)
- 徳間書店 (2021年10月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198946838
作品紹介・あらすじ
あなたはまだ〝新本格作家〟笹沢左保の恐るべき
実力を知らない!
有栖川有栖がセレクトした、笹沢左保のベストミ
ステリ。
多重トリックで翻弄する記念すべき長篇第一作。
【有栖川有栖さん、大推薦!】
密室×アリバイ×暗号×?
いくつものトリックと罠を埋め込んだ1960年代の
華麗な〈新本格推理〉。
この面白さは決して古びない!
裏切り者を消せ!――組合を崩壊に追い込んだスパ
イとさらにその恋人に誤認された女性が相次いで
殺され、事件は容疑者の事故死で幕を閉じる。納
得の行かない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗
り出すが……。アリバイ崩し、密室、暗号とミス
テリの醍醐味をぎっしり詰め込んだ、著者渾身の
デビュー作。虚無と生きる悲しさに満ちたラスト
に魂が震える。
〈トクマの特選!〉第一回配本。
〈目次〉
Introduction 有栖川有栖
招かれざる客
Closing 有栖川有栖
感想・レビュー・書評
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笹沢佐保さんの長編
容疑者の事故死で完結している事件に、納得のいかない倉田警部補が事件を追う(休暇中)
前半は事件に関する報告記録、後半は警部補の報告録形式
「男女の感覚」に時代を感じるものの、トリック、アリバイ、動機など複数の難題に向かっていく面白さがあり、題名の意味に震えた…タイトルがずしんと来る…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第1部(資料)商産省労働組合スパイ殺害事件。被疑者死亡,捜査本部解散。
第2部(刑事視点)倉田警部補が事件を執念で捜査。タイトル(招かれざる客)が犯行動機に繋がる。残酷な悲劇に胸が痛む。 -
トリックなどは面白いのだが、とにかく前半が読みづらい。
もし本屋で立ち読みしたら買わないレベルの読みづらさでした。 -
組合の計画を漏洩したスパイと、その恋人に誤認された女性が相次いで殺された!容疑者は固まっていたものの、その人物は不慮の事故死を遂げる!納得のいかない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗り出すが──。
物語の前半は事件の流れを追う捜査資料などが提示され、後半からは倉田が思わぬ偶然をきっかけに辿り始める真相への道が描かれる。犯人の目星はつく!だが、その道に立ちはだかるのはアリバイ崩し、密室、暗号など難問ばかり!提示された膨大な情報のピースがハマっていく後半が素晴らしい。
著者は1960年に本作でデビューを飾る。松本清張を起点とする社会派推理小説ブームの中で、密室など本格ミステリの醍醐味を両立した作品。トリックも鮮やかながら、その背後にある犯人の動機。「招かれざる客」というタイトルの意味を知った時に訪れる悲哀がなんとも重く苦い。完成した絵に浮かぶ虚無感が余韻として響く。
「裏切り」がテーマの本作。組合の寮建設要求を受けていながら裏切ろうとした商産省、組合を裏切ったスパイ・鶴飼、秘密裏に個人捜査を始める倉田など、この作品には多くの「裏切り」が潜んでいる。裏切りに見え隠れする利害、愛憎、信念。それを軸にして物語を振り返ってみると、また味わい深いものがある。
あと、装画がめちゃくちゃカッコいい!!今まで読んだミステリの中で一番好きかも。 -
裏切り者を消せ! ――組合を崩壊に追い込んだスパ
イとさらにその恋人に誤認された女性が相次いで
殺され、事件は容疑者の事故死で幕を閉じる。納
得の行かない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗
り出すが……。アリバイ崩し、密室、暗号とミス
テリの醍醐味をぎっしり詰め込んだ、著者渾身の
デビュー作。
ここまでトリッキーな作品だったとは。続刊も楽しみ。 -
後半の謎解きの章はすらすら読めたな。
タイトルの意味が分かると辛くなるな。状況には同情するけどやったことは計算高くて怖いな。 -
じぶんの読書地図を作ってくれた作家を挙げていくなら、有栖川有栖さんは欠かせない。そんなかたが選りすぐって撃ち込んでくれるという“必読! Selection”。迷ったが印象的な書影も相まって手を出してみた。笹沢左保さんは初めまして。さいきん読み慣れてきた派手さや特殊設定を伴うような小説ではなく、反対に地味な印象を受けた。ただこの地味さは当然ながらつまらないということではない。辛抱強く文字を辿っていった先に、非常に丁寧に謎の答えが並ぶ。この丁寧さも新本格の醍醐味のひとつであり、作家独自の魅力をあらわしていた。
(令和に読むにはキツイ価値観もあったが、そこはさすがの有栖川さん。イントロダクションでさらりと一言を挟むことでショックを和らげてくれている。あの一文があるかないかで、作品を読み進められるかどうか変わってくると言っても過言ではないとおもう。常々有栖川さんの作品にある品性を心地よくおもっているが、今回も心構えができるようにとの配慮に感謝したい。)