死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇 (徳間文庫)
- 徳間書店 (2022年12月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198948047
作品紹介・あらすじ
死を見つめる〝赤い麦わら帽子の女〟は誰か?
この真相は、誰にも読めない!
読みすぎ注意:中町信はあなたの安眠を奪います
真夏の十和田湖で起きたボートの横転事故を皮
切りに、次々に連続する死のドミノ倒し。背景
に深く関わる疑惑の四人の人妻たちも、飛行機
墜落事故で記憶喪失の生存者一名を残し三名が
死亡。偶然の連鎖か? それとも連続殺人か?
事件の真相を記す死者からの告発の手紙が、遺
された夫たちを疑心暗鬼の闇に突き落とす。叙
述ミステリの魔術師が放つ究極の騙し絵パズル
。
(『十和田湖殺人事件』改題)
トクマの特選!
イラスト 三卜和貴
〈目次〉
プロローグ
第一章 夏の日の悲劇
第二章 死者からの手紙
第三章 湖畔に立つ影
第四章 最初の容疑者
第五章 大空の記憶
第六章 空白の近景
第七章 盗作の殺意
第八章 書斎の死体
第九章 死者の告発
第十章 最後の容疑者
第十一章 もう一通の脅迫状
第十二章 偽りの構図
エピローグ
解説 辻真先
感想・レビュー・書評
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真夏の十和田湖で起きたボートの転覆事故を皮切りに、死が次々と重なる究極の騙し絵パズルミステリ!飛行機事故死した関係者の妻からの告発状の意味とは?!
叙述ミステリの魔術師という二つ名は伊達じゃない!叙述トリックと煽りがあるだけでネタバレでは?と思った自分が打ちのめされた一冊。とにかく構成が緻密!巨大な騙し絵パズルのピースは膨大!ドミノ倒しのごとく連なる殺人と人間関係が、一つの絵として完成するラストは圧巻!
ボートの転覆はただの事故なのか?!事故の最中、助けを呼ばなかった夫婦と赤い麦わら帽子の女は誰なのか。それを目撃した女性が転落死したのは事故か他殺か。謎だらけの事件の真相を綴ったはずの告発状!しかし、それを送った女性は飛行機事故死!ただ一人生き残った関係者も記憶喪失。疑心暗鬼の中で巻き起こる連続殺人。ああ、謎が多すぎる(笑) 数えればキリがないほどの謎と罠と愛憎劇を、これほど見事に繋ぎ合わせることができるなんて凄まじいとしか言えない。
主要登場人物が多く、夫婦間の関係性や、手元にある事実を整理するのが大変なのが玉に瑕。ただ、王道の展開に織り交ぜながら伏線回収を丁寧にしてくれるので、ぜひラストまで駆け抜けてほしい。余韻に浸りながら、もう一度読み直したくなる──そんなミステリ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
甘めだけど、この評価。普通に面白かった。
複雑に入り組む事件と見えていたことが全てではないけど、二転三転する様相は良かった。
まあやっぱり人は死にすぎだよね。とは思うけど。 -
プロローグで展開されるスリリングなシーンを、そのままに受け取っちゃいけないんだろうなあ、と裏を読みながら読むのはやはり楽しい。あちこちに播かれた、違和感のあるエピソードの意味が終盤一気に解き明かされていく快感は、これこそミステリという気がする。とはいえ、何かに気付いた登場人物がそれを伝えることなく死ぬというパターンが、しつこく五回も繰り返されるのはさすがに無理があるだろう。少なくとも四つめの死を防げなかった警察は、無能と誹られても文句は言えまい。トリックの仕掛けにおいてはこれだけ繊細な作家さんが、ここまで無神経な展開を是とするのはやっぱり不思議。