有栖川有栖選 必読! Selection10 アリバイの唄 夜明日出夫の事件簿 (徳間文庫)
- 徳間書店 (2023年4月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198948474
作品紹介・あらすじ
オレのタクシーは、走る探偵事務所。
鉄壁のアリバイに護られた〈最高のレディ〉はシロ
か? それともクロか? 生前被害者を乘せたのが
縁で、初恋の人に再会したタクシードライバー・夜
明日出夫。三百キロ離れた遠隔地での不可解な殺人
事件の容疑者とされた彼女を救うべく、元警視庁捜
査一課の刑事であった彼は調査に乗り出す。名探偵
キャラを封じ手にしてきた著者が、作家生活三十
年目満を持して放ったヒットシリーズ第一作!(解
説 有栖川有栖)
トクマの特選!
カバー・口絵イラスト nowri
〈目次〉
Introduction 有栖川有栖
アリバイの唄 夜明日出夫の事件簿
Closing 有栖川有栖
感想・レビュー・書評
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生前の被害者を乗せたのが縁で、初恋の人に再会したタクシードライバー・夜明日出夫(よあけひでお)。300km離れた場所で起きた殺人事件の容疑者にされた彼女を救うべく、元刑事の彼は調査に乗り出す!
テレ朝「土曜ワイド劇場」でドラマ化された人気シリーズ『タクシードライバーの推理日誌』の原作がこちら!なんと1992~2016年39本も制作されたとのこと。これは観てみたい!タクシードライバーが元敏腕刑事で、警察に顔が利く上に、アリバイ調査にタクシーを使うという設定が旨味あり過ぎ!
初恋の人・大町千紗と再会できた日出夫。それなのに、千紗の身にかかる殺人容疑!刑事時代の親友・丸目平八郎は彼女を疑っている。千紗の無実を信じながら走るタクシーの目的地には驚かされた。インパクト絶大なトリックの裏に隠された人間の哀愁。何に価値があるかは自分で決めるものだ。笹沢作品ならではの味わいがあって、紙一重でリアリティを保たせている感は否めない。その解釈は勘で辿り着けるのか?とか、緻密なのか雑なのかよくわからない犯行と解決とか、動機についても何もそこまで…など、ツッコミどころが多めなのが玉に瑕か。
日出夫のキャラは軽妙で思わずニヤッとしてしまうセリフ回しやモノローグが多い。
「口争いの再開である。こうしたときには、興奮した客というものは運転手の存在を忘れる。少なくとも、運転手の耳を恐れない。だからこそ、おもしろい。退屈を紛らわせてくれるので、夜明日出夫は常に客同士の喧嘩を歓迎することにしている。」
「さあね。大脳皮質がある高等動物は、眠るようにできているんでね。おれも残念ながら、人間っていう高等動物らしい」
タクシーと一緒に物語を走らせるにはうってつけの名探偵キャラが登場!という力強さを感じさせてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示