十五年戦争小史

著者 : 江口圭一

• 青木書店 (1991年5月1日発売)

作品紹介・あらすじ

柳条湖事件の謀略から日本敗戦まで、戦争指導の実態や戦局の展開を含め、戦争の全体像を明快に描くハンディーな通史。精細な人名・事項索引、参考文献一覧を付す。

感想・レビュー・書評

[mokunokamiさんの感想 · 2015年3月24日]

　１９３１年の「満州事変」から１９４５年の敗戦・降伏に至る「十五年戦争」の通史。刊行から四半世紀になるが、現在も版を重ねるロングセラーで、大学の講義用テキストとしても定評がある。この時期を扱う一般向け通史は、日中戦争の過程に主軸を置く１９３０年代とアジア・太平洋戦争を対象とする１９４０年代に分かれていることが多く、類書がほとんどないという点で今もって貴重である。史料根拠を逐次注記し、学術的でありながら叙述は簡潔で読みやすく、初学者の入門書としての価値は高い。その後の研究の進展で細部では更新の必要な個所もないではないが、戦争の基本的史実を学ぶ上でまず手に取るべき好著と言えよう。