霧のなかの白い犬

  • あかね書房
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本棚登録 : 128
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784251065728

作品紹介・あらすじ

ジェシーは毎日鬱々としていた。大好きな父は外国からやってきた労働者に仕事をとられてフランスへ単身赴任。祖母が突然飼いだした白いシェパードの子犬に、ジェシーは大喜びしたのもつかの間、祖母の認知症が悪化し、犬を愛護センターに戻さなければならなくなりそう。ジェシーは祖母のためにも子犬を世話することを決意。そして、霧の中にいるようだと訴え、何かに怯える祖母を安心させたくて、原因を調べはじめるが…。

感想・レビュー・書評

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  • ・残酷な話だった。
    ・読みやすい作品だった。
    ・最後まで読むと、とても感動し、読んで良かったなぁ…と思った。
    ・嫌なことが次々に起こって、嬉しくなるようなことも起こったが、またすぐ悲しくなるようなことが起きて気分が良くならなかった。
    ・(でも)とても良い作品だった。

  • 途中まではあまり引き込まれなかったが、アウシュヴィッツの強制収容所の話が語られ始めたところで、胸にズドーンと来た。前半は退屈だったが後半は良かったと思う。

  • 白いシェパードのスノーウィを飼い始めた祖母が入所することになり面倒を見ることになったジェシーの周りに起きた人種差別、障害者差別などのお話や、祖母たちの戦争体験などについて書かれています。
    スノーウィのほか昔話の中でやはり白いシェパードのウルフィが登場しますが、キーポイントであるという程度です。

    ナチスの蛮行が現在の人々にどのように捉えられているかがわかりますが、日本ではどうなんでしょうかね。

  • 第二次大戦下のドイツで少女期を過ごした人は、多かれ少なかれ、傷を抱えて生きている。ジェシーのおばあさんも、その一人。
    その時代に生きて、ドイツ人の子どもたちは、幼い頃から嘘の情報で事実が捩じ曲げられ、価値観を変えられ、ナチスの正当性を信じる教育を受けていた。
    そんなナチスの情報操作の中にあって、迫害されている側は、どうすべきだったのか。ドイツ人は、どうすべきだったのか。
    学校でベンのおばあさんが語ってくれたように、真実を見抜くことは至難の業だったことだろう。
    「もし自分が彼らの立場にいたら、同じことができるかどうか。そこまで勇敢になれるかしら? あなたたちはどう?」
    でも、自分の家族を殺された人にとっては、たった一匹の犬を助けたぐらいでは許すことはできなかったことだろう。
    ベンのおばあさんも、その場で、とっさに呪いの言葉を吐く。
    「犬一頭を救って、殺される大勢の人間は放っておくって、どういうこと。わたしは永遠にあなたを許さない。あなたも永遠に自分を許せないよう祈ってるから」
    この言葉を、ジェシーのおばあさんは記憶に刻み付け、苦しみ続けたのだ。
    「許すことでしか前に進めない」

    ジェシーは、自分の身の回りに起きていた小さな偏見と差別、意地の悪いいたずらを見逃さず、それらに加担していた従姉妹のフランと対峙する。
    親しかったからこそ、身近な存在だからこそ、それは勇気のいることだったと思う。

    この物語の中には、車椅子の少女、ダウン症の少年、移民など、多くの差別の種となり得る人たちが登場する。彼らは、時に闘っているし、時に見守られている。差別に毅然と立ち向かう人もいる。
    いずれにしても、日常の中に、そういった多様性が存在していることが大事だ。
    本当は、日本の中にだってたくさんいて、隣に暮らしているのだが、そういったマイノリティは日本では見逃されて、無視されて、隠されてしまう。

    差別、偏見、いじめ、その小さな芽を、小さいうちに摘んでおくこと。
    どんなに小さなことでも、それを成し遂げるには勇気がいる。
    それを見過ごさないことは、大きなことなのだと思う。

  • 2020年5月24日
    司書さんに薦められた本。
    翻訳が直訳っぽいので、読みづらい。
    ミリアム、レビィさんが登場してからは、物語が楽しくなってきた。
    前半は、退屈で長い伏線だったのだなと、後から納得。
    戦争は善良な人にも暗い影を落とす。
    犬は好きな人にとっては抜群の癒しになる。、

  • 本年度の小学5・6年生向け読書感想文課題図書。帯のコピーを読んでもいまいちよくわからなかったので読んでみた。

    イギリスのロンドンからさほど遠くないと思われる郊外の小さな村に住む少女ジェシーは、父親の会社の倒産により今は賃貸住宅で母とつましく暮らしている。父親はフランスに出稼ぎに行っている。近くに住む父方の祖母エリザベスが突然白い子犬を買い始めてジェシーは喜ぶが、祖母は認知症が始まりかけていた。
    同い年の従姉妹フランは両親が離婚、そのために寄宿舎制の学校からジェシーの通う学校に転向してきたが、素行のよくないグループに入り、ジェシーとはあまり関係がよくない。
    ジェシーの親友ケイトは生まれつきの障害で車椅子で生活しているが、成績優秀スポーツ万能の活発な少女だ。

    移民問題、障害者のバリアフリー問題、高齢者介護等々、主人公を取り巻く人間関係、社会環境がまさに現代の文明社会を凝縮していて、小学生が高学年であってもかなり情報量が多い。そこに第二次世界大戦のユダヤ人虐殺が重なる。ナチスドイツの行った蛮行は、決して消し去ることの出来ない罪である。一匹の白い犬が過去と現在を結び合わせ、未来への希望を繋ぐ。

    タイトルからはイメージできないへヴぃな内容だった。それにしても、ナチスドイツは人間のことばを話す犬の研究をしていたとは。
    「知らなかったから仕方がない」「見てみぬ振りをする」ことが何より罪深いことを気づかせてくれるという意味では、こうの史代の「この世界の片隅に」にも通じる問い掛けがあるように感じた。

  • 2017課題図書小学校高学年の部。

  • 29年度読書感想文課題図書高学年の部
    大好きなおばあちゃんが、変わっていくこと、車椅子の友達、動物愛護、LGBT、移民など多くの社会問題を盛り込んでいて、それぞれを考えるきっかけにはなるが、この一冊で解決できるはずもなく、中途半端な気がした。単なるきっかけ作りとしても、テーマは絞った方が良かったのではないか?

  • 印象が違った…。

  • 高学年

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