- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784251066749
作品紹介・あらすじ
クラスで浮いた存在のエリックとサラ・バーンズは固い友情で結ばれている。高校生になって水泳部に入ったエリックは、サラ・バーンズ以外の友人ができたが、彼女との友情のため、とある決心をした…。現代社会をえぐり出すように描いた愛と勇気と友情の物語。
感想・レビュー・書評
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残酷な父親からの虐待で、顔に酷い火傷の跡を負ったまま生きることを強いられたサラと、「デブ」がゆえに嘲りの対象だったモービーとの、一筋縄でいかないけど固い友情の物語。それと併走するように、授業で扱う議論テーマとして、生命倫理や生死観や宗教観が織り込まれている。なかなか深く斬り込んだ作品だった。
私は、妊娠中絶を議論しているときに、エラビーが語ったことーー人間の生命の始まりに必要なのは、単なる精子と卵子の出会いではなく、その生命が「望まれた」ものであるかということには説得力を感じた。
それと、胎内の命の尊さを説くのなら、生まれた後の生命だって尊重されるべきだ。(実際は差別や暴力に晒されるじゃないか)という言葉も心に響いた。
この物語では、宗教観を振りかざすマーク・ブリテンやモーツ副校長が卑劣なキャラ設定だったので、保守的な意見が悪のように描かれたのがフェアじゃないと感じた。
それにしても、アメリカの高校の授業って、ここで描かれていたような感じなのかな? 一つのテーマを巡って、生徒同士が議論を深めていくというもの。面白そうだし、自分や社会のこと、様々な意見の存在を意識するのは、いいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか面白かったけど、スーパーマン(ランボーかな)の登場はちょっと鼻白むでしょう。もうちょっと地道に解決に向かってほしかった気がする。
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サラ・バーンズのため僕はデブでいる。
恋愛モノかと思ったらそうでもなく。
ほんとに子供たちの背負っているものが大きい。
それを見守り助けるかっこいい大人たち。そして、陥し入れ、傷つける大人たち。
ハッピーエンドなんだけど、考えさせられるというか、やるせないものもある。
児童書だけど、大人たちに読んでほしいかな。 -
友情 愛情 信頼がいっぱいのお話
アタマは堅くしてたらダメなんだよね 柔らか〜く 色んな人の言葉を聞き入れないと 自分も成長しないし 成長しなければ 明るい明日もやって来ない? なんて…^_^ -
人を信じることはとても難しいけど、とても大切だということがわかりました。主人公のエリックは、心を閉ざしてしまったサラに毎日毎日話しかけていて、ずっとサラはこのままかもしれないのにすごいと思いました。
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登場人物がとても個性的。
タイトルも原題の方が話し手の「ぼく」の個性・サラとの関係が見えて、ぴったりだったのになぁ(原題:「Staying Fat for Sarah Byrnes」)。「彼女のためにぼくができること」だと、繊細な、そして男女の恋とか、一途な感じがするんだけど…実際は、一途?かもしれないけど、ほぼ恋はなく、泥臭くて時々ザラリとする話です。
複雑な問題、差別、宗教、理不尽な暴力。
登場人物たちの言葉、行動に、その背景・理由がきちんと描かれていて、好感をもちました。
希望のあるラストもいいですね。
中学生というより、高校生におすすめです。 -
あきらめること。あきらめないこと。受け入れること。赦すこと。戦うこと。前にすすむこと。愛すること。この物語には若いうちに出会う様々なことがぎゅうぎゅうつまっています。力強いYA小説。
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顔に醜い火傷のあるサラ・バーンスと、でぶのエリック。中学の頃、お互いの身体的なマイナスを知力と毒舌でかわしてきた二人には、男女間の気持ちと言うよりも、共に闘う同志としての感情で結びついていた。
市民プールで泳いでいるときに才能を認められ、水泳部でたちまちヒーローになったエリックだが、サラとの友情は変わらなかった。ところがサラが、突然何もしゃべらず、反応も無くなり、精神科に入院してしまう。なぜサラは心を閉ざしてしまったのか。
父親の暴力、キリスト教的な理念、様々な議論を巻き起こし、エリックはサラを救出するべく奮闘する。
高校生と大人(親・教師・社会)、圧倒的な強と弱のなかで、親友を守るエリック。もちろん、要所要所に登場する信頼すべき大人の存在は、ちょっとかっこよすぎるけれど、結末にも安心を与えてくれる。
が、ちょっとヘビーな話。この著者の「ホエール・トーク」や「アイアンマン」も、米国の高校生社会を描いていて、好きな作家です。 -
デブで自分に自信を持てなかったエリックは、幼い頃に負った火傷のあとがあるサラと、コンプレックスを共通項として親しくしていた。
サラはとても強い少女で、自分を蔑む人に対しては常に攻撃的だった。
エリックはサラと行動することで、生きる勇気を与えてもらっていた。
そんなサラが突然心を閉ざし、入院してしまった。
エリックはサラのために、何とかしてあげたくて毎日病院に通ったが、サラの反応は何一つなかった。
やがてサラの過去を知ったエリックは、サラを救うために立ち上がる。
とてつもない恐怖に向かって・・・。 -
小さい頃からデブで、常にからかわれいじめられてきたエリックと、顔を覆うやけどの跡のせいで辛い人生を送ってきたサラ・バーンズは親友だった。高校3年生のある日、サラは突然あらゆることに反応を示さなくなり、精神病院に入院する。周りのすべてと激烈に闘い続けてきたサラがなぜ? エリックは病院にサラを見舞ううち、驚くべき事実を知る…。
アメリカが抱える問題をこれでもかというほど詰め込んでいながら、ユーモアとスピード感あふれる展開でぐいぐいひっぱっていかれる。登場人物の魅力(悪役も含めて)、結末の見事さ。うまくいきすぎ?希望は常にあるということだね。