わが指のオーケストラ 4

著者 :
  • 秋田書店
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253102599

感想・レビュー・書評

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  • 最期の一冊を読み切った。
    生涯、聾者にとって最善の聾教育を志し、
    手話教育を守った 高橋 潔氏。
    強い信念、真のやさしさに打たれました。

    あとがきの依子さんの言葉にも。

  • 高橋潔、生涯をかけてろう者の未来のために、口話法主体の時代にも手話を残した男。その一生を4冊でまとめた。

    娘、依子の手記を漫画にしたものであり、タイトルのオーケストラは、娘の一言がヒントかと思えば違うそうだが、「個性の違う先生方をうまく調和させ素晴らしい学校というオーケストラを演奏させねばならない」と父が言っていたそうだ。

    4巻は潔の後輩、大曽根が、渡米や欧州へ旅立ち、アメリカではヘレンケラーから話を聞くことができた。
    それぞれから持ち帰ったもので、市立ろう学校は教育法を定め、手話と口話法と使い分け、ろう者に寄り添った授業ができるよう、全国で残りの一校になっても手話を守り抜いた。

    妻が病に臥しても、全国聾唖学校校長会総会のために東京へ。そこでも最後まで一人で戦い抜く。

    室戸台風で校舎は半壊し、一作と松江の挙式は1年後となる。
    高橋の意志を組んだ学校方針は、大曽根らと共に守られていく。

    一方で口話法の西川も、娘のように喋れる子どもが増えずに悩んでいた。娘はま子もまた、手話を習いたいと思い、大阪まで訪ねてくるものの、断られる。西川の思いを汲んだ高橋の優しさだった。が、その後西川を自死を選ぶ…この話も辛い…

    最後まで苦難で小さな光を絶やさないよう、努力した人々がいて、今に至ると思うとなんと膨大な時間がかかっているのかと。

    この漫画に出会えてよかった。
    また他の本も読んでいきたい。

    今普及している指文字は、大曽根式と呼ばれる、ヘレンケラーと約束してできたもの!


    アメリカで併用法を提唱したのは、1860年代   E. M. ギャローデット
    口話主義は聾、を人間の異常な状態ととらえ、口話法によって、話す人間、という正常な状態に近づける事を目的とします…
    手話、指文字の否定は、教育そのものの否定につながると考えた…

  • 主人公の方がお風呂の中で手話を練習しているのは、言葉を話す人が美しい言葉を話せるようにするのと同じこと、とのセリフにはっとした。
    「わが指のオーケストラ」と題した意味がここにもあると思う。
    大きな強い流れに与するのではなく、たとえ少数派であっても聾者のためと信じる道を進んでいく、高橋先生の生き方に襟を糺される思いがした。
    巻末にあった先生の娘さんの手記も素晴らしい。

  • 高橋先生は音楽を諦め、音の無い世界に行きたくてろう学校へ行った。だけど、校長先生に「音楽を教えて欲しい」と言われる。高橋先生の手話は綺麗でまるで音楽を奏でているようだった。


    手話がこんなにも否定されている時代があるとは知らなかった。高橋先生が沢山世間に働きかけたから今のかたちになっている。この先生がことあるごとにベートーヴェンの第九番交響曲を聞いている場面が良い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「まるで音楽を奏でているようだった」
      判り合えるコトの素晴しさが良く表された作品。小学校の図書室に必ず置いて欲しいでしす。
      「まるで音楽を奏でているようだった」
      判り合えるコトの素晴しさが良く表された作品。小学校の図書室に必ず置いて欲しいでしす。
      2012/05/01
    • なっちゃんさん
      こんな時代があったなんてびっくりしました。でも、漫画だからか学校の図書館ではあまり見かけません。。。
      こんな時代があったなんてびっくりしました。でも、漫画だからか学校の図書館ではあまり見かけません。。。
      2012/05/01
  • 最後まで手話を守り通した高橋。聞こえる人の価値観で、聞こえない人の教育を変えてしまうことに無理があるよなあと思いつつも、西川の生き方もやはり素晴らしかったと思う。はま子がどんな思いだったのか、終盤で知ることができたのはうれしかった。どんな障害も受け入れられる社会でありたいなあ。

  • 全1~4巻読了
    大正時代のコメ騒動(サイゴン米輸入でしのぐ)
    から関東大震災を経て室戸台風、昭和30年代まで

    手話と口話の関係、ちょっとだけ知ってはいたけれど
    実際は大変だったんだなあ

    一巻、物にはそもそも名前があると教えること
    「花」を知るシーンは泣かせる

    西川家の教育の普及とその後
    ヘレン・ケラーと言葉、指文字など

  • チビ1号、移動図書館にて

  • この巻は泣かなかった
    でもいっぱいだな
    手話、がんばるから

  • 大阪市立聾学校の校長、高橋潔さんのお話でした。<BR>耳が聞こえない人達の教育にこんなに紆余曲折があったとは知りませんでした。<BR>私は手話ができませんが、テレビのドラマで手話がでてきたり、手話ニュースもあるし、講演会には手話通訳さんもいるので、耳の聞こえない人には手話が当たり前の言葉なんだと思っていました。<BR>けれども手話を否定していた時代もあったんですね。(今も?)<BR>確かに一般の人たちと会話をするには、口話の方が便利だし通じるけれど、手話を否定する必要はないですよね。<BR>むしろ、私たちも外国語を勉強するように手話を勉強すればいいんじゃないのかな?

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