ヤコとポコ(2)(少年チャンピオン・コミックス・エクストラ もっと! )

著者 :
  • 秋田書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253130370

感想・レビュー・書評

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  • 1巻と同時購入。

    この2巻もしみじみと切なくて涙腺は緩みホロホロと泣いてしまう。
    15、17、19(もう一組のヤコとポコというべきオリーブ翠とロダンがメインの回)話とオマケ漫画の「おしえて。ポコ先生」『回転‼わんぱくUFO』の回は泣くというよりも泣かずにはいられない。

    そして、新キャラクター レオンの何気ないセリフ。
    ヤコがポコにかけた一言。
    人気漫画家 オリーブ先生のアシスタントロボット ロダンが頑張り過ぎて……と、1巻での不安がさらに大きくなっていく。

    これってどう考えても最終回での悲しい結末を暗示してるとしか思えない。
    変に考えすぎといえばそれまでだが、どうしてもそう考えずにはいられない。

    ありきたりな言葉ではあるけど、ヤコとポコには幸せな笑顔で最終回を飾ってほしい‼

    3巻ではこれまでの不安が消えるような展開がある事を今は望むしかない。

  • 最後の話、泣けた。 自殺した弟の頑張り過ぎを検知できていれば…。私はダメモードなのに気づけなかった。
    せめてこれからできる大切な人の頑張り過ぎに気づくようになりたいな。

  • ポコの純粋な可愛さに癒され、ヤコのかっこよさに痺れる2巻。

    行動も思考もほぼ子供のポコ。お小遣いの範囲でゲーセンを楽しむ姿がいじらしい。子供の頃は自分もこんなお金の使い方だったことを思い出す。自由になるお金が少ないから、シビアな予算・残額判定をクリアした時だけお金を使えた。大体はまず我慢で、我慢の果てに欲しいものが買えた時はすごく嬉しかった。金銭感覚を身につけた、お小遣いの思い出だ。

    思い出といえば、ポコの「わんぱくUFO」の思い出はずっと大事にしてくれるといいな。自分の好きなものを大人が一緒に楽しんでくれると、なんであんなに嬉しいんだろう。思いがけず自分のところまで降りてきてくれた意外性、特にヤコは普段ゲームに全く興味がない点が、それをより強調する。ヤコが乗せてくれた驚き、憧れの乗り物に乗れた嬉しさ。いいの?と訝しみながらも乗れることが嬉しいポコ。二つの気持ちがぐちゃぐちゃに混じったまま夢心地で乗ったことを、きっと忘れないだろう。

    17話は、ちょっと毛色が違うシリアスパート。ヤコの仕事に対する姿勢がわかる。下手な馴れ合いを拒否するヤコはかっこいい。「次の巻でも…その次の巻でも もっと先の次回作でも…」「こういう事をしてもらえるような作品を描くべきだからです」「私と面識がなくても…です」。

    漫画家として働く以上、作品に対していろんな意見がぶつけられる。その自由な批評を制限するようなことをしてはいけない。「エスパー魔美」のパパが、魔美に語った台詞を思い出す。父を酷評した評論家を許せず陰口(+嫌がらせ)を言う魔美を、パパが窘めて言う。「公表された作品については、みる人ぜんぶが自由に批評する権利をもつ。」「どんなにこきおろされても、さまたげることはできないんだ。」「それがいやなら、だれにもみせないことだ。」

    言い換えれば、「プロ」とはそれを当たり前のこととして受け止める覚悟を持つ人だ。そんな中で応援してくれる存在はとても嬉しいし、その気持ちを伝えたいと思うのも自然なこと。でも、ヤコはその道を選ばない。作者と読者というはっきりとした境界、何のしがらみもないまっさらな関係。駆け引きない公平な目で自分の作品を判断してもらうために、その障害となるような、媚びともとれるような行動を拒否した。「とてもお礼が言いたいけれど」、だからこそ距離を置かなければならないと自制するヤコにいつもの緩い空気はなく、ストイックさ、芯の強さが伝わってくる。孤独だけれど、崇高だ。

    ヤコは、自分にも周りにも厳しい。ドライで感情変化もわかりにくいけれど、時々見せるポコへの思いはとても母親的だ。18話で、寝ぼけながらこいのぼりにすっせと健康を願うポコに、健康だけでいいよと呟く。厳しくしたりもするけれど、ポコが元気でそばにいてくれることを一番に願うヤコに、「お母さん」の姿を重ねてしまう。ヤコの「頑張りすぎないでほしい」という願い。この話の後に、ヤコの危惧したことがロダンのエピソードで具体化される。みどりに喜んでもらいたい一心だったロダン、ポコだってヤコのためならきっと限界まで頑張ってしまうだろう。ロボットがゆえのひたむきさは、時にそれを限界と気付かせない。

    17話の中で、ヤコとポコの住む時代は現代より少し先(パラレルワールド?)であることがわかった。あわせて、ちょっと退化したようなレトロな世界観の理由も判明する。「革命」があったこと。それまではみんなパソコンや電話を身につけて、人と人との距離感がめちゃくちゃだったこと。

    その「革命」前の社会が、まさに現実世界における今である。人と人との距離感がめちゃくちゃかどうかについては意見が分かれるところだが、水沢先生は現代の過剰な情報化社会に対して疑問を抱いているのだろう。人と人とが常にネットワークで繋がって、息をつく間もないうちに次々とコミュニケーションが交わされていく。誰かと繋がっていないと不安を感じるようになり、一人ゆっくり考える時間もなく疲れ果てた人間は、次第に個というものを失ってしまう気がする。人はネットワーク間の単なるターミナルと化して、相手と自分の境目がわからなくなっていく。

    「革命」とは、そういう喪失感に対する反動として起こったのかもしれない。人と人とのやりとりはちょっと不便になり、対照的に時間の感覚はゆったりする。七夕やこいのぼり(?)などの年中行事を楽しんでいる描写があるのは、そうした時間感覚や対人関係の変化からだろうか。現実においても、今の情報社会が破綻したらいつかこんな近未来がやってくるのかもしれない。

  • 爆笑!あかん、これはオモロイわ
    でもって、ちょいちょい切ない
    SF的ファンタジー的味付けも変わらずいいね

  • 「みどりとロダン」、本誌でも泣いたけど、
    また改めて泣いてしまった。

    あとオリーブ翠の本名が「織部みどり」なの地味に笑った。

  • じわっとじわじわと伝わってくる胸懐がねそっとね伝えてくる慎ましやかさがね。優しく触れ撫で下ろす温もりある情感がね「あぁ」と思わず唸る感慨が堪りませんよ。

  • 1巻も読んでるのに、2巻でレビュー。いや、タイミングってあるじゃないですかー?
    だから、2巻の感想ではなくてこれまでの作品全体の感想です、すみません。

    「革命」が起こって、ケータイとかスマホとかインターネットとか?なくなった未来。ちょびっとアナクロなんだけど、ロボ技術だけはとても発展していて、このロボ達が健気で健気で。もう、設定だけで泣けるんですけれども。
    どのロボもご主人にひたすら従順、を通り越してもう大好き、というか慈愛の域に達しているというか。ちょっとくらいご主人が(愛ゆえの)意地悪をしても、全部包み込んでしまうのであります。うう。

    よくね、子どもはどんなことされてもお母さんのこと大好きなんだよ、とか言うでしょ?でも私はそれにはちょっと違和感があって。(いや、ウチの子に愛されてないというわけではないのよ〜ふふふふふふ〜)
    そういうふうに必ずしもプログラムされてるわけじゃないと思うの。嫌う権利だってあると思うよ。
    どっちかというと、母の方がそうなんじゃないかな〜と思うんだけども、壊れちゃってるとしかいいようのない人も中にはいるみたいだからなあ、そうでもないのかなあ…

    閑話休題。
    つまりね、ロボは完全にプログラムされてるので、絶対に絶対にご主人のこと好きなんです。しかも水沢さんの超可愛い動物型ロボなんですよ?
    そんな夢の存在。夢の世界。です。
    ちょっとくたびれて甘やかされたい時にぜひ。あまあまです。

  • この世界観に召された

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