銀晶水 (秋田文庫 9-5)

著者 :
  • 秋田書店 (1998年5月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784253172448

感想・レビュー・書評

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  • お耽美もの、ファンタジー、サスペンス、SFの4篇を収録。
    木原作品はどんなに暗い話でも、根底に明るさがあって救われるところがいいと思う。
    一番気に入ったのは、『花かんむりの牢屋城』。
    おとぎ話を信じられる心が物語をハッピーエンドにもっていくが、それにはやはり健やか部分があってこそだと思う。
    おとぎ話のパロディで、はちゃめちゃなギャグなのにきちんと感動できるところがあるのがすばらしかった。

  • 寄せ集め感の漂う統一性のない一冊だが、美しいので許す(笑)
    昔読んだ「黄昏のシンデレラ」をまた読みたくなって、
    これが収録されているというので購入。
    表題作を含め、他の3編はお初でした。
    「黄昏のシンデレラ」は遺産相続に纏わるサスペンスもの。
    「銀晶水」は15世紀のブルゴーニュを舞台にした妖しい恋模様。
    ドキドキしてしまったぞな……(赤面)

  • 木原敏江さんの作品で、すごく好きなお話に異類婚のお話があるのですが、「花かんむりの牢屋敷」は、そのテーマがかなりストレートに出た初期の作品だと思います。

    根底には、「おとぎ話」を信じる心というのがあって、それは、実は、他のすべての木原作品にも通じている気がします。

    表題作の「銀晶水」は、異常な欲望のお話ですが、そこに「おとぎ話」としてのそれでも根底に流れる「愛」が語られています。

    異常さに目を背けて、否定していくのではなくて、それをふくめた上で、物語として昇華させていくということは、他人を理解していく上でも、かなり大切なことのような気がします。

    そこは、自分自身もっとも見たくないところでもあり、誰かに理解して欲しい傷口であったりもします。

  • 「銀晶水」「黄昏のシンデレラ」「花かんむりの牢屋城」「夜想曲(ノクターン)」の4篇を収録。

    【銀晶水】15世紀半ばのブルゴーニュ大公国が舞台。お耽美。美青年への縛めものは趣味じゃありませんが…救いのないラストに見えるのに、すっきり美しいのはDOZI様ならではの手腕。

    【黄昏のシンデレラ】NYが舞台の、遺産にからんだサスペンスもの。途中で犯人読めたけど、面白かった。“トートに牙を隠して”。

    【花かんむりの牢屋城】爆笑!思わず「これはひどい」タグをつけたくなってしまった(もちろん、愛をこめて)。良くも悪くもDozi様節炸裂!童話パロディ風のごった煮。クローホーガン兄が良い。(このネーミング!)

    【夜想曲】エレベーターを出たら、そこは平安時代だった・・!な、ラブコメ。大学生の男女が一緒にタイムスリップしちゃうのがミソ。帥宮敦道(そちのみや あつみち)と和泉式部とか、紫式部とか清少納言とか色々出てきます。笑

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著者プロフィール

木原敏江

1948年(昭和23年)、東京生まれ。1969年「別冊マーガレット」に掲載された『こっち向いてママ!』でデビュー。77年、旧制高等学校に通うふたりの少年を描いた『摩利と新吾』を発表する。この作品は、その後7年間にわたって描き継がれ、明治末から大正、昭和と、三つの時代を舞台に展開する一大大河ロマンに結実した。84年『桜の森の桜の闇』『とりかえばや異聞』の発表で始まった連作「夢の碑」シリーズも、97年まで執筆が続いた大作。85年、同シリーズにより第30回小学館漫画賞を受賞。『アンジェリク』『大江山花伝』『紫子―ゆかりこ―』は宝塚歌劇団で舞台化された。そのほかの作品に『どうしたのデイジー?』『エメラルドの海賊』『銀河荘なの!』『天まであがれ!』『杖と翼』などがある。

「2021年 『ワイド版 マンガ日本の古典28 雨月物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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