- Amazon.co.jp ・マンガ (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784253271813
作品紹介・あらすじ
中世イングランド。白薔薇のヨークと赤薔薇のランカスターの両家が王位争奪を繰り返す薔薇戦争時代。ヨーク家の三男・リチャードにはある秘密があった。己を呪うリチャードは残酷な運命に導かれ、悪にも手を染めていくが……! ? ウィリアム・シェイクスピアの史劇「リチャード三世」を原案に描かれる運命のダークファンタジー!
感想・レビュー・書評
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成人してからすっかり少女漫画を読まなくなった。
花ゆめ系を読んでたのも随分昔の話になるが、菅野文さんはデビュー作の「ソウルレスキュー」が大好きで、当時は少年漫画っぽいストーリーや魅力的なキャラクターに夢中になった。
「薔薇王の葬列」は有名な薔薇戦争をモチーフにした意欲作。史実との相違点を挙げれば、リチャード3世が両性具有に苦悩する悲劇の人物として描かれている。彼(彼女?)はヒーローにしてヒロインなのだ。
話が薄っぺらいと少女漫画を貶すようなレビューもあったが、私は大いに評価したい。レビュアーは重厚な歴史ものを期待してたのかもしれないが現代には現代のアプローチがある。
薔薇戦争という世界史でもスルーされがちな、言ってしまえばマイナーな題材を扱うなら、それをより多くに面白く届けるアプローチが必要となる。「へー薔薇戦争の話かー薔薇戦争って何?」って読者も「えっ、リチャード3世が両性具有!?」となれば、とりあえず一巻は手にとりたくなるじゃないか。それでハマれば一気読み、ウィンウィンの関係だ。
肝心の作品のほうは菅野文さん特有のスッキリした絵柄が、耽美な雰囲気と相俟って独特のダークな世界観を構築している。ジャンヌ・ダルクの霊を彷彿とさせるような謎の存在も出てきて、史実と伝説の境目が曖昧な印象。
そんな清潔感ある絵柄に反し中身はドロドロ。
一巻では主にリチャード3世の家庭内での確執が中心となるが、両性具有の秘密故母に愛されない孤独、唯一の父を失った絶望などが描写され、屈折した人格を形成するに至ったリチャード3世の陰性の魅力にぐいぐい引き込まれる。
続く話では女の嫉妬や情念渦巻く愛憎劇に政治的な陰謀劇が交錯し、どんどん暗雲が立ち込めていく。
女の感情を否定できないリチャードも業が深いが、ヘンリー6世妃マーガレット、のちに兄嫁となるエリザベスは肉欲や相続が絡む分さらにドロドロ。比較的男性陣はお気楽(というか楽観的)だが、女性陣は怖い怖い。
女性陣の秘めたる暗部にぞっとする昼ドラ要素を盛り込みながら、男性陣の野心が戦況を左右する歴史物としての読みごたえもある。
リチャードは見た目中性的な美少年で、話し言葉や思考をはじめとする内面もどちらかというと男性的。故にヘンリー6世や男キャラとの絡みはBL色が強く、その手の作品が好きな人にもお勧めしたい。
余談だが「薔薇王の葬列」が面白かった人は「王国の子」(びっけ)も読んでほしい。
こちらはテューダー朝モチーフの架空の王国が舞台の宮廷劇で、ヘンリー8世やエリザベス、その臣下や姉妹が登場する。舞台設定こそ架空だが、人物名はほぼそのまま。
幼き日のエリザベス女王の影武者にされた少年が主人公の入れ替わり・身代わりもので、近年描かれた少女漫画の流れを汲む歴史漫画の中では本作と並んで高いクオリティ。
併せて読むとよりイギリス史に詳しくなれる。 -
歴史物というよりはお伽噺を読んでいる気分になる。
主人公は両性具有ということでヘンリーとの関係が疑似BL的。
前作(乙男)でも本当は男女の恋愛より男描くのが楽しいタイプの作者なのだろうなという感じはしていた。 -
さすがシェイクスピア原案。心抉る悲劇を堪能できる。
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「薔薇王の葬列」としての物語は完結をしている(らしい)。続編が出ているぽいけれど。
全17巻と先は長く、1巻の時点では序幕があがったばかり。人物相関はもちろん、個々のキャラもあまりつかめず。…というか名前と貌が一致しない…(人物相貌を覚えるのはとても苦手です)。
不吉な兆しやひとの悪意とか願望や欲望やらが渦をなしている。
若い頃、友人に感化されてシェイクスピアは読み漁ったけど、もう内容覚えてないな…小学生の頃だったからほんともう記憶の彼方。
とりあえず、先に進もう。 -
ファンタジーと思ってても面白い
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薔薇戦争は理解が難しいので、ある程度キャラクターに感情移入できる漫画で読めるのは、覚えやすく嬉しい。絵が綺麗なのと、キャラクターの表情が豊かなので、歴史もの、愛憎劇描くのに向いている先生だと思う。
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電子書籍で無料の期間に読んで、面白かったので単行本購入。
仕方のないことだけど、同じ名前の人がおおくて「誰…!?」ってなる。