- Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
- / ISBN・EAN: 9784255011080
作品紹介・あらすじ
「ここでしか書けない」言葉の在庫を放出した。
馴れ合いや戦略や俯瞰から遠く離れて、記憶を掘り起こし、違和感を継ぎ足し、書くことについて考える。
逸脱し、散らばった先でぶつかり合って、思索が自由に泳いでいく。
1年半にわたり続けられた「言葉への態度」をめぐる応答の記録。
感想・レビュー・書評
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無目的とタイトルにある通り、大きな命題がないともすれば曖昧なやり取りなんですが、印象的なことばだったり考えだったりが所々にあってメモしながら読みました。日頃ふと考えることも、もっと覚えておけるようにしたいなとなんとなく思いました。あと日頃、何も考えずに受け入れてしまっている色々なことも、それでいいのか?みたいな視点はもっていたい。
ふわっとしてる感じが心地よくて面白かった。
武田さんの本は何冊か読んだけど、又吉さんの本もちゃんと読んでみたいなと思った。
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二人の頭の中を少し覗けたようで面白かった。同じような出来事でも、こういう捉え方をするんだと新鮮に感じたり、確かにそうだなとハッとさせられたりする文章が多くて良かった。特に又吉さんの感性は優しく時に独特で、本を読んで面白くないと感じてもそれは自分が面白さをわからなかっただけじゃないかと思うと言っていたのが印象的だった。
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往復書簡。
子どもの頃、何となくずっと続いていた文通について、今の「どこからでも、すぐに繋がれる・返事が出来る」じゃない、相手が綴った近況の言葉をこちらが受け取るその時間の経過がちょうど良い距離だったんだろうなぁ、みたいな感覚で懐かしく思い出させてくれる本だった。
「既読」「未読」みたいな表示そのものが、面倒な時がある。そろそろ届いたかな、そろそろ読まれたかな、そろそろ返事来るかな、くらいの曖昧さや緩さが恋しい。 -
往復書簡という設定自体秘密を覗いてるようでわくわくするが、それもこの二人だから余計に面白い。違和感を感じた記憶や伝える事の難しさなどやりとりされる中に、はっとする言葉がたくさん詰まっていた。
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クスッとしたり、ひりひりしたり、ほっこりしたり。もやもやと漂っている感情を、諦めずに言葉にすることへの努力を惜しまない、誠実で才能あふれる2人だと思う。
その一方で、だらだらと気を遣わず、居酒屋でずっと世間話をしているのを、聞かせてもらっているような感覚もあり、ありがたい。
「劇場」に性描写がないのは不自然だと思った、何故ですか?との砂鉄さんからの問いへの回答のあたりはスリリングだった。わたしもまったく同じ感想を持っていたから。その回答、もう一度読みたいけど、又吉さんに怒られたみたいで、なんだか怖くて読めない、笑。
全ページを通して、すべてをちゃんと受け止めたい、理解したいという気持ちで丁寧に読めた。読み終わるのが寂しかった。第二弾はないのかしら。 -
又吉直樹の小説は読んだことないけれど、武田砂鉄と共に言葉の「トリミング」の仕方が好みな人なので、この2人の往復書簡はきっと好きだろうと思いながら読み進めている。
→ビンゴ!でした。
最近は読みたい本はまず図書館で読んでから、読み返したい本だけを買うようにしてるけど、これは絶対に買う。 -
『自分の名前で文章を書くことは、身体に文字を彫ることと似ている』と又吉さんは言う。
その言葉の重みに圧倒されてしまいました。
人の心はうつろうし、考えることだって日々変わっていく。
又吉さんにとって文章を書くというのは、その時その時の思いをちょうどいい熱量で
自意識と闘いながら言葉にしていくという作業なのだろう。
その途方もない困難さが、『スリジャヤワルダナプラコッテ!!(スリランカの首都)』と叫ぶ小学生の話に笑っているうちに、泣き笑いのように伝わってくるのです。
分かりやすい思考の方程式や、世の中が提示してくる『正解』を許さない二人のやりとりは
読んでいてとても刺激的で楽しかったです。 -
それぞれがエッセイのような論考のような日常の断片を書き、相手に何気ない問いを投げ掛ける。その問いに対しての回答と新たな問いを投げ掛ける。2人の表現と切り口が同時に味わえ、時に融合する世界が新鮮である。
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例えば〇〇が結婚した、〇〇が転職した、とか具体的な噂話が聞きたいんじゃなくて、ではそこから派生する、例えば結婚観や仕事観というと大袈裟だけど、そういう概念的な抽象的な話が好きな自分にはとても好きな本。
まさに「無目的な思索の応答」が好きなので、心地よかった。 -
学生時代にしていた交換ノートを思い出した。
どうでも良い話だったり、日常の引っかかりなど、
読んでて楽しかった。