砂の巨人 (デュオセレクション)

著者 : 諸星大二郎

• 朝日ソノラマ

感想・レビュー・書評

[esotericaさんの感想 · 2017年2月21日]

『オデュッセイア』を元ネタにした「トロパゴイの難船」とサハラ砂漠が生まれる前のタッシリ・ナジェールを舞台にした話「砂の巨人」を収録。前者は最後のページまで何が起きているのかいまいちわからない思いに囚われるものの、ラストで全部の謎が解けて、『オデュッセイア』を知ってる人間ならにやりとしてしまう。後半は、現在のサハラ砂漠が牛の時代から馬の時代にへと変わったことをうまくエピソード化した作品。アフリカに関して文化人類学的＆歴史的な観点から描かれたマンガは他にないのでとても貴重。諸星大二郎以外には描けなかった作品。

著者プロフィール

1974年、「生物都市」で手塚賞入選。「週刊少年ジャンプ」で「妖怪ハンター」連載デビュー。民俗学、中国の古典、ＳＦ等を題材に、幅広い分野で活躍する漫画家。代表作に「暗黒神話」「マッドメン」「西遊妖猿伝」がある。その独創的な作風から、高い評価を受け、2000年に手塚治虫文化賞マンガ大賞、2014年に芸術選奨文部科学大臣賞、2018年に日本漫画家協会賞コミック部門大賞等、受賞歴は多い。ジャンルを越え、多くのクリエイターに影響を与えたとされる。

「2019年 『幻妖館にようこそ　』 で使われていた紹介文から引用しています。」