- Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260019545
作品紹介・あらすじ
本書は、米国で生物統計家として20年の豊富なキャリアを持ち、「医療系論文に多用される統計」「論文査読でチェックされる要点」「医療者が研究に際し陥りがちなポイント」を熟知した著者が“できるだけ数式を使わず” 今日から使える統計学の知識を、各章に例題/具体例/サマリーを折り込みつつ読み物形式で伝授。論文を紐解くための統計学の極意がここに。大きな反響を呼んだ「週刊医学界新聞」連載、待望の単行本化。
感想・レビュー・書評
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160ページくらいの薄い本なので一気に読了。(しかし、医療と名のつく本はみんな値段が高いよぉ・・・)
交絡と交互作用の違いとか、症例数計算なんかは勉強になったけど、全体的に医薬品の有効性検証に関する内容が多かったから、自分としては検査の有効性の方に興味があるので後半のROCのところでもっと新しい知見が得られるとうれしかったかなと思った。
そういう意味では、reclassification法のところは気になったが、しかしこれって検査始めてから、その予後がわかるまでかなり気の長いデータ収集が必要な気がするけど、そもそも検査で陽性になった人が精検を受けるわけで、すべて対象のイベントが集まるまで待つ解析なんて本当に実用性があるんだろうか・・・。
感度、特異度のところは日ごろ感じていることが書かれてあったので「うん、うん、そうそう」とおもって読んでいた。
一つ疑問が残ったのは「パワー」っていうのは「感度」と同じような概念なんだろうか?検出力という意味で似ているので同じようなものとして読んでいたけど、使われる分野の違いだけでなく本質的に違うもの?症例数が増えれば上がるのはなんで?この辺はもう少し勉強しないとと思った。
<覚書>
第1章:統計の基礎知識
標準誤差は標準偏差をサンプル数の平方根で除したもの。中心極限定理。
95%の信頼区間は得られたデータの平均から標準誤差の±2倍。
帰無仮説がまどろっこしいのは、棄却する方が楽だから。
第2章:グラフの読み方・使い方
グラフからは余分な情報を取り除く。
棒グラフのエラーバーには信頼区間を。
第3章:単変量統計テスト
NIHの研究費の話、スピアマンの順位相関がP<0.001になるのは、横軸と縦軸がきゅっと締まった時に直線に並ぶから。
差を見るのか相関を見るのか。
対応しているかどうかは、薬の投与の前後とかなら分かりやすいが、同一人物じゃない検体の時でも対応してるとかどうやって判断するのよ?
t検定よりノンパラメトリック。
第4章:交絡と回帰分析モデル
交絡因子は、性別、年齢、既往歴など、コントロール群と疾患群両方に影響するパラメータ。
ランダム化比較試験は介入治療でないと使えない。
検体がたくさんあればマッチング法が可能。
一番一般的なのは、交絡因子を含めて重回帰分析すること。
ランダム化のない観察研究では回帰分析による交絡の補正が不可欠とのこと。
となると、必要最低限の症例数も増えることになる。重回帰なら15×因子数。ロジスティック回帰なら10×因子数、但し少ない群の必要数。
第5章:症例数とパワー計算
症例数を増やせばいつかは必ず有意差が出る。しかし、臨床的に意味のない差になることもある。
症例数は研究開始前に決める。解析プランは研究を始める前に決める。
実際に効果があればその効果を検出する確率を「検出力(解析のパワー)」と呼ぶ。
パワーってどうやって計算するの?(感度か?サンプル数を増やすと増えるか??)
「症例数は最低限に」というがそれは介入治療とかの場合では?
1型エラー(偽陽性)は5%以下、2型エラー(偽陰性)は20%以下。(1-SP)、(1-SN)と同じか?
1の方が社会的に重要というが、それは場合によるのでは?例えば検査とかは逆でしょ?
症例数を計算するフリーソフト「PS」。Rでも似たような関数があった?
第6章:多重検定
「見過ぎによる出すぎ」
検定を何度も繰り返すと、偶然pが0.05より小さくなる。
その場合、有意水準を小さくする補正を行う。
ボンフェローニ法、単純に検定回数(組合せ数)で割る。ダネット法、ホルム法は少し緩くしてある。
ANOVAはグローバルテスト。これで有意差が出ないなら多重検定は行ってはならない。
第7章:中間解析
中間解析を頻繁に行うと有意差が出やすい。
ペト法:有意水準を厳しくする。0.001
第8章:多変量解析-説明変数の選び方
データを見ず、文献や医学的見地を参照。
傾向スコアとマッチング、疑似ランダム化。
逆数重み法。
第9章:ランダム化比較試験におけるデータ解析
実現不能なので、興味がない。
第10章:インターアクション(交互作用)
交互作用はeffect modification。効果を増強、抑制する。
交互作用の解析は非常に難しい。有意差のみに着目していてもだめ。
パワーが要る。
第11章:感度・特異度
診断検査ツールの正確性をみるもの。
陽性的中度の計算。
個人差がある。
検証バイアスが生じる。多重補完法。
マーカーなど診断検査の有効性は必ず多変量回帰分析を用いて行う。
ROC曲線:カットオフ点を45°線との交点で規定してるけど、それホントに感度+特異度が最大になる点か?それだと必ずSN=SPになるのでは?カーブがもっと膨れてて偏ってたらどうなる?
calibration較正プロット:予測確率(ロジスティック回帰分析結果)vs実際の有病率のグラフが45°に並んでいるか否かを見る。
reclassification法:新マーカ以外の既存の臨床データによる予測確率(事前リスク)vs新マーカを加えた時の予測確率(事後リスク)
この辺、ベイズっぽいね。
第12章:同等性・非劣性の解析
同等性を示すには、同等性マージンを臨床的に決める。信頼区間で判断する。
非劣性の場合、片側区間で判断する。
必要な症例数は、非劣性試験では少なく済む。
第13章:カプランマイヤー曲線
これはワイブル曲線とかハザードプロットと同じもの。
MTTFが寿命。
原理が説明されている。 -
対馬栄輝先生もいいが、新谷先生もわかりやすい。
対馬先生の説明不足なところを補ってくれる印象。 -
試験デザインの理解が捗ります。中央値ってすごいんやなと思える一冊。
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野津伸治先生 おすすめ
36【専門】498.019-S
★ブックリストのコメント
新谷歩教授のEZRでの医療統計4部作。 -
難しい
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今まで読んだ統計の本で一番面白かった。ギャグも入ってるし。生まれ変わったら、統計学者もいいなぁ。
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優しいです。でも、難しい。
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医学原著論文読む時の疑問が解決できる良書
誤解しやすい点なども明快に解説されていて、統計学的思考だけでなく、臨床的評価まで指南していくれている。