- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784260042888
感想・レビュー・書評
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病気の辛さはもちろん、理解してもらえないことの苦しみが伝わってきた。
なってみないとわからない、確かにそうではあるけれど、少しだけでも想像力を働かせることができたら、そしてそれは病気だけに限らない。
自分の知ってることや常識だけが当たり前ではないことに気付かされた。
もし自分が病気になったら、きっとこの本の存在が大きな助けになると思った。 -
松本弘美先生 おすすめ
68【専門】493.46-K
★ブックリストのコメント
社会の中では同じ食事を一緒に食べることがコミュニケーションの一つとなっていて、それができないことがこのように影響をもたらすのかなど考えたことがなかった。潰瘍性大腸炎とともに生きる筆者のこの本から、食べることについて多くの気づきをもらうことができた。 -
強烈である
普通の日常が送れない程の病に罹患した者の孤独や苦しみがこれほどか
自分の人生がコントロールできなくなるという点では自分が専門の心不全とはやや異なるが、それでも似たような患者はすぐに思い浮かぶ
理解しようとしながらのケアが大事なのか-
2022/03/08
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食べて出す。
それがうまくいかないだけで人間の日常はこんなにも壊れてしまうのか。
20歳の時に潰瘍性大腸炎を患い、13年間入退院を繰り返した著者の闘病記。
絶望の底で、同じように絶望と闘いながら生涯を送ったカフカに共感し、カフカとその他の文学作品から多くの言葉を引用して綴っている。あまりにも引用が多いので気になっていたら「絶望名人カフカ」とか「絶望名言」の著者なんだ!なるほど納得。
口から物を食べられなくなったときに人はどう感じるのか、漏らすということがどれほど致命的なことなのかなど、リアルな経験が語られる。
難病で食べられませんと断っても善意から執拗に飲食を勧めてくる人々が多く存在するという話は怖かった。そんなこともあるだろうなと思うから余計に怖かった。
著者の長年苦しんでいる痛みについての形容、耐えにくい種類の痛み、未知の痛みというのも怖い。
「壮絶」の一言。 -
潰瘍性大腸炎の著者による。人によって差のある具体的な病態のほか、食べることのリスクや食コミュニケーションの圧力、病気が行動や思考を変え、孤独にも向き合わざるをえないことをカフカやヴェイユなどの引用を交えて綴る。読んでよかった。
終盤は治らない病気への向き合いかたで、痛みや苦しさは絶対的に個人のもの、他人には理解することができないゆえに孤独になる、読んでいるだけで苦しいし、病気だけでなくても今、生きていくだけで困難な人たちを想像した。 -
題名の通り、食べることと出すこと。
新生児でも本能で行うこれらの行為は、当たり前のこととして思われていることが、病気になってみてわかるのだと感じさせられた。
当たり前のことが当たり前にできなくなってからの苦悩とそれに関連しての考察が、文学作品を多々引用しながらどこかコミカルにまとめあげられていて、興味深く読めた。 -
食べることは受け入れること、コロナ禍でしみじみた考えさせられました。食べることや飲むことは、人と人の関係を結ぶ、一見違うことのようだけど、家族って食を共にすることが下地にあるのかな。食べることが、関係をつないでいくことにとても大事なことなんだなと思いました。
自閉症の人は偏食の人も多いけど、いろいろなことを受け入れることに難しさがあるのも、関係があるのかなと興味深くなりました。 -
潰瘍性大腸炎の苦しみを、永遠書き連ねてある本である。それでいて、病人にありがちな同情を引かせることなく客観的な語り口で不思議とうんざりしない。寛解時の苦悩と再燃を繰り返す難病。その過程ので、どんな反応をされ、どう感じたか。言うなれば、病人あるあるが語り尽くされている感じである。
あとがきに、自分のことを語る本書の執筆がいかに難しかったかが書かれていた。病気であることを隠し、幾重にも塗り固められ、とても掘り出せないと。初めから達観した見方ができていたわけでない事に妙に安心しつつ、さらに親近感が湧いた。 -
一つの経験談として、また他人の苦しみを理解することについて、新しく知ることが多い一冊だった。
各所に散りばめられた、文学作品からの引用も面白く、芋づる式に読みたい本が増えた。