べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784260332101

作品紹介・あらすじ

浦河べてるの家は、精神障害をかかえた人たちの有限会社・社会福祉法人である。昇っていく生き方はもうやめた。リハビリなんて諦めた。病気の御旗を振りながら、べてるは今日も明日も降りてゆく。苦労と出会うために「商売」を。悩みをとりもどすために「経験」を。「弱さ」と「語り」をキーワードにした、右肩下がりの援助論。

感想・レビュー・書評

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  • そのままでいい
    無理をしない、症状を受け入れる
    他者と共有する
    上ではなく降りていく生活
    もちろん上を目指すのはいいことです
    でも自分の力量をしって弱点を補うことは優しい世界
    障害者というくくりではなく、みんなが支え合う、許し合う世界  それはみんなが生きやすい社会
    障害者という言葉は、いりません

  • 「降りる生き方」「ありのままの肯定」「弱さを絆」には、べてるを読み解くキーワードです。語りのもつ力、リカバリーの可能性を実感できると思います。
    べてるショップで販売している「おつまみ昆布」のおいしさは格別です。
    どちらも楽しんで下さい。

  •  以前から、存在は知っていたが、パラパラ読みで統合失調症の人たちの話と知り、読まずにいた。ちなみに私はうつ病を患った。
     暇つぶしに図書館で手に取り、そのまま借り出して、一気読みした。
     あらゆる精神障害に悩む人、職場や家庭で悩みを抱えている人、生き方に悩みを抱えている人にお勧めしたいと思う。
     今の社会に静かに「No!」を突きつけ、別の社会のあり方を模索し、創り、実践している人たちの記録と思想が描かれていると思う。

  • 著者名が「浦河べてるの家」とあるにもかかわらず、向谷地さんだけが書いた本だと思っていた。それは自分の、社会が精神障害者に偏見を持っているという偏見の表れだなって思いました。当事者も言葉を持っている、持てるようになるってことを大切にするっていうのが、べてるの特色なんですね。

    単に理論だけの本ではなく、そういう理論ができてきた過程を、楽しいエピソードとして読めるのが面白い本だと思います。

    ほぼ引きこもりとして感じてきたことですが、社会復帰というのは、多く「正社員になること」を意味しますよね。その「社会」には健康な正社員しかいない。本当は、引きこもりだって精神障害者だって含んで社会なのではないか。

    それなのに、多くの人が何の疑いもなく「社会復帰」と言ってきますし、自分に対しても「社会復帰しなければ」と思ってしまう。口では「こんな社会に適応できるやつの気が知れない」って言いながら劣等感でいっぱいだった。

    この本を読んで「自分は本当はこういう苦労をしたかったんだ」って気づけたように思います。

  •  北海道浦河にある商人集団べてるの家の本(実話)です。障害者である彼らが真剣にぶつかりあいながら商売に取り組む姿は、覆面を被って生活している私達の方こそ、何かおかしなものあるのではないかと思わせてくれます。
     障害者と申しますと、過保護に腫れ物に触るといった有り難迷惑な態度をとりがちですが、これを読むと客観的に自分達の態度を見つめなおし反省し変われるかと存じます。
     楽しく非常に勉強になりました。この本と出会えて本当に良かったです。

  • 「失った苦労の醍醐味を取り戻す」
    向谷地さんのソーシャルワーカーとしての理念。
    そのためにべてるは商売を始めた。

    「努力の末に病気や障害を『克服』し『健常者』の社会に復帰する」という物語に切り捨てられた人たちが、新しい価値観をもって現実の中に飛び込んでゆく。

    「利益のないところを大切に」
    べてるの会社としての理念。
    利益、利益と追求して人間を粗末にするのではなく、利益のないところを大切にすることが会社の利益につながる。
    「降りていく」会社。

    今日も明日もあさっても、べてるは順調に「問題」だらけ!

    「障害」について、「社会」について考えるときに、留意しておきたいことがたくさん詰まった一冊。

  • 発想の転換で、これまで人は楽になれるのか。
    統合失調症の人のための支援施設、べてるの家。
    そこでの取り組み、そして集まってくる人を紹介した本。

    深刻なのに、ユーモラス
    支援されるはずなのに、別の人を支援している

    スタンダードを目指して、無理してがんばらなくてもいいことが、
    どの章からも伝わってくる一冊。

  • 正直、ごちゃごちゃして読みづらいですけど、理学療法士にとって大切なことが書かれています。

    "リハビリのために" 生きる人なんていませんよね。
    "なにかをするために" 生きてたら、結果として、その人のリハビリになっていた。

    私はそんなリハビリテーションを提供していきたいなと思いました。


    この本に出てくる べてるの家 では、それが『商売』だった。
    それだけの話なんですけど、なかなかこの発想には今の理学療法士の教育では気づけないのかなと思います。


    社会復帰、自立支援、、、
    そのために『商売』を活用するのは、とてもいいリハビリの1つ。

    「在宅復帰したあとのこと、
    その方が『生きる』ってことを考えて、
    その方の生きがいへとつながる働きかけができる」

    そんな理学療法士になりたい方はおすすめです!

  • 向谷地さんだけでなく、障害を抱える人や、べてるに関わる人たちが、自分自身の言葉で、感じた事・経験したことを文章に起こした一冊。
    自らの病気を人に話すことで、自分を客観視できるようになり、病気も弱さも受け入れて生きていけるようになる。

    特に、幻聴さん721人と付き合いながら暮らしているという大崎さんのお話は象徴的なエピソードだったと思う。
    クスリを変えるときは、勝手に決めないで幻聴さんに相談する。
    幻聴があることを受け入れて、関係性を築いていく練習をする。

    企業や経済を中心とした右肩上がりな生き方ではなく、自分をありのまま受け入れて、降りていく生き方にこそ、本当の人間らしい幸福があるのではないか?

    企業に務める自分にとっては、今まで目を向けてこなかった価値観。もう少しゆっくり咀嚼してみたい。

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