ストーリーで楽しむ日本の古典 (13) とりかえばや物語男装の美少女と、姫君になった美少年
- 岩崎書店 (2016年2月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265049936
感想・レビュー・書評
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平安時代末期に書かれた作者不明の物語。
さいとうちほさんの『とりかえ・ばや』が面白かったので、原作を手っ取り早く知りたくてこの本を手にしました。
男性が無理やり迫り、女性は受け入れ好意を寄せていく、などなど、現代のモラルとはかけ離れているので、ツッコミ満載です。読み仮名つきの小学校高学年から中学生向きの本なので、よい子が読んじゃダメ!と思ってしまいます。
この物語を読んで、平安時代の人々達の道徳観念が気になってしまいます。
もしかしたら、当時の人々はこの物語のような考え方だったかもしれないし、それともこの本は今でいうのエロ小説のような位置付けだったのかも…と想像が膨らんで、さらに古典が読みたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[江東区図書館]
返却棚にシリーズが数冊あったので手に取ってみた。百人一種系を読み漁った際にこのシリーズの存在も知ってはいたものの、その際には特段手に取った記憶はなく。当時探していた本のターゲット外だったのかパラ見で興味を持てなかったのだろう、と思いつつもふと「伊勢物語」を手に取って読んでみた。
すると、なかなか面白い。同シリーズの他の本も同じ造り(母娘の会話形式で母が娘にこういう物語なのよ、と教える形式)なのかと次に「枕草紙」を手に取ってみると、こちらは筆者が直接教えとく、いわば「大学の講義内容」のような造り。伊勢物語形式の方が面白いけれどこれも悪くない、と「百人一首」を手に取ってみると、これは流石に全員分の紹介はできなかったのか?恐らく数人の著名歌人に焦点を当てて読者が興味を持てるよう、歌のエピソードに限らずその歌人に関して書かれた短編物語。今回たまたま開いたのは清少納言と紫式部に関する章だったが、これは恐らく完全フィクションの物語で、単にこの時代の雰囲気とか両歌人に対して親しみを持つためには楽しく読めて身近に感じられるようになっていいかもしれないけれど、ちょっと本の趣旨("百人一首"に関する本)としても、収録範囲(一部のみの紹介)としても、いただけない。だから記録に残っていなかったのか…?
但し、こうなったらままよと目を泳がせてやっと本書の題名に思い当たった。近年気になっていた"さいとうちほ"の「とりかえばや」。あの漫画は古典出典だったのか!?あわてて本書を手に取る。マンガで読んだ粗筋がどこまででどうなったかもうろ覚えだったが、ちょうど開いたのは四の姫と青空の君の不義を主人公が知るあたりで、何となく思い出した。ちょうどその後は知らないな、とそのまま最後まで読み切ることができて、この本(作品)に関しては今回のように単に現代小説風の書き換え、ならびに小学生向けの話し言葉でのツッコミ注釈(当時の通い婚や嫁の実家の後ろ盾あっての婿の立場などと、それを踏まえた上での"浮気"とはやや異なる意味での多重婚のシステムの説明など)形式は良かったと思えた。ただ、そのシステムを理解できたとしても、当時の人々の心情というか、現代に照らし合わせての共感を呼ぶ納得は無理かもと思われる話運びと簡潔なシステム紹介であり、現代とのギャップを埋められるまでの理解を促すまでの丁寧な説明、話の持っていき方ではなかったから、もしこの時代の話を初めて読んだのなら、一人で理解するには注意が必要かもしれないな。 -
時代とジェンダー。
女であることの圧倒的不利に泣けてくる。
平安末期に改作されたものだそうですが、この時代にこの物語が作られていたっていうのがすごい。
性による扱いの違いについてここまで嘆かわしく描いているということは、作者は女性かな。作者不詳っていうところからもあやしい。性問題について、平安時代にも違和感を感じる人がいたのでしょうね。 -
男女逆転モノの原点。こども向けだから読みやすい
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こちらもイラストで。
絵が麗しいので、それぞれの部分が良いですね。
青空の君、あまりいいことなくて哀れ…。
あまり原作に忠実なものは読んだことないのですが、彼の扱いはどうなんでしょう。
あと、かぐや姫もそうだけど、そこだけ宇宙人に記憶修正されちゃってんじゃない、という展開。なぜに平安時代の話って、ぶっとんでるんだろうなぁ、と思います。
氷室冴子のでは後半が面白かったけど、こちらは前半が好みです。